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この作品は、実にユニークな空間・建築論を盛り込んだ、大人も楽しめる児童・ファンタジー文学案内。これはまさに、長年建築に携わって来た植田さんにしか書けない、物語の背景として描かれている建物や空間がそのストーリーに与える影響について深く考察された文学論でもある。 植田さんは「住まいの図書館出版局」の編集長として、斬新な編集方針でユニークな執筆者を起用、長年続く「住まい学大系」シリーズを刊行し続けている。自身もこのシリーズの中に、この作品の前身である「真夜中の家 絵本空間論」(1989)を上梓、そのユニークな文学論が各メディアに注目され、幾多の連載執筆へとつながっている。今回は、その中から三誌へ連載された32編を収録、大人の鑑賞に堪える名作を紹介してくれている。
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結論としては、子供向けといわれている本の大人向け読書案内本。「建築」はサブテーマなのか、著者の感想を綴った観念的な表現が多すぎの感がある。
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(2011.11.30読了)(2011.11.24借入)
副題が「物語に潜む建築」となっていて、物語の中に登場する建築要素にスポットを当てた本ということになっていますが、読んでゆくとどんどん普通の書評本というか、本の紹介の要素が濃くなっています。
興味をもたれた方は、個人で購入して読むにはちょっと値段が高いので、図書館から借りて読まれることをお勧めします。
他の書評本と同様、この本を読むと読みたい本が増えるので、積読が増えそうですので、積読の多さに困っている方は、読むのは控えた方がいいでしょう。
章立てと、と取り上げられている本は以下の通りです。
Ⅰ、物語の地誌
「ナルニア国ものがたり」ルイス
「塀にある扉」ウェルズ
「ムギと王さま」エリナー・ファージョン、(「薔薇の名前」エーコ)
「家なき子」エクトール・マロー
☆「ハイジ」ヨハンナ・スピリ
「小公女」バーネット、(「小公子」バーネット)
☆「グリム童話集」(「ラプンツェル」)
「アッシャー家の崩壊」ポオ
「地底の冒険」ジュール・ヴェルヌ
「ひこばえ」日影丈吉、(「家」ロバート・マラスコ)
「聊斎志異」蒲松齢(ほしょうれい)
Ⅱ、住いの辺境
「山荘綺談」シャーリイ・ジャクスン
☆「アンネの日記」アンネ・フランク、(「マウス」アート・スピーゲルマン)
「箱男」安部公房、(「砂の女」、「方舟さくら丸」)
「木のぼり男爵」イタロ・カルヴィーノ
「ミザリー」スティーヴン・キング
「泥鰌庵閑話」滝田ゆう
「破獄」吉村昭、(「パピヨン」)
「シューレス・ジョー」キンセラ
Ⅲ、追憶の文体
「幼ものがたり」石井桃子、(「幼年」「少年」大岡昇平)
「グリーン・ノウ物語」ボストン
「トムは真夜中の庭で」フィリパ・ピアス
「ムーミン童話全集」トーベ・ヤンソン
☆「クマのプーさん」ミルン
☆「ゲド戦記」ル=グウィン
「エーミールと探偵たち」エーリヒ・ケストナー
「ワルシャワで大人になっていく少年の物語」シンガー
「たのしい川べ」ケネス・グレーアム
「風の中の子供」坪田譲治
童画家・初山滋の仕事
絵本作家・八島太郎の軌跡
モーリス・センダックの絵本三部作
●ユダヤ人の隠れ家(74頁)
「マウス」アート・スピーゲルマン著、晶文社、1991年
積み上げられた古靴の山のなかに、また工事現場の穴の中に、大きなごみ箱の底に、それこそ鼠のように隠れていたユダヤ人たちが恐ろしいほどの現実感で描かれている。
●「木のぼり男爵」(81頁)
主人公コジモは12歳になったばかりの時、昼食に出されたエスカルゴ料理を嫌って親から叱られ、ぷいと部屋を出て行って庭のかしの木に登り、それきり二度と地上に降りてこなかった。
木の上で長い生涯を送るのだから、一つ一つの問題が解決されなければならない。木の上では毎日どうやって寝るのか。日々の食事はどうして得るのか。火を使う料理はどうするのか。洗濯は、体を洗うのは、排泄はどうやりくりするのか。生活用具や書物はどこに置いてあるのか。
●「ムーミン・シリーズ」(122頁)
トーベ・ヤンソンのムーミン・シリーズの読者は二つのグループに分けられる、と決めたい。読んでいない人と、全部読んだ人と。
一、二冊は読んだよという人も「読んでいない」グループに入れたい。
登場する動物や虫たちの奇抜でかわいい絵を見て、これは幼児だけを相手にした物語と判断するからだろう。第一巻、第二巻を読んでもその第一印象は、まあ変わらないかもしれない。しかし三巻目まで進むと、今度は全部読まずにはいられなくなる。つまり大人の本であることに気がついて驚くのだ。
●モーリス・センダックの絵本三部作(186頁)
「かいじゅうたちのいるところ」1963年
「まよなかのだいどころ」1970年
「まどのそとのそのまたむこう」
☆関連図書(既読)
「博士の本棚」小川洋子著、新潮社、2007.07.25
「こどもたちは知っている」野崎歓著、春秋社、2009.10.20
「名著講義」藤原正彦著、文藝春秋、2009.12.10
「世界を知る101冊-科学から何が見えるか-」海部宣男著、岩波書店、2011.06.09
(2011年12月5日・記)
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『住まいの手帖』と同時刊行の運びとなった本書は『真夜中の家――絵本空間論』(住まいの図書館出版局)の続編にあたるファンタジー・児童文学論
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さまざまなファンタジーを「建築」や「家・住まい」、そして
「生活空間」というフレームを通して紹介するエッセイ集。
読んだことのある本については楽しく、読んだことのない本に
ついては興味を引かれるという点で、紹介本としては合格点。ただ
一作品あたりの紙幅が少ないのが残念。
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読んでない本が半分くらいあって、よく分からない章が多かった。
読んだ事のある本についても、あまり建築とか空間についての記述じゃないように思えて、正直期待と違った感じ。
ただ木のぼり男爵は読んでみたいと思った。