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みんなのレビュー24件

みんなの評価3.8

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24 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

ヨーロッパにおけるクラッシック音楽への怨念とも言える音楽ミステリ

2011/11/23 21:15

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「芸術は娯楽で、娯楽は芸術です」

 これは、以前、ある映画祭で、ロシア人の映画キュレーターのトークイベントでの言葉です。
21世紀になってからのロシア映画についてのお話でしたが、最後にまだ若いキュレーターは
「映画は娯楽が芸術か?と昔から言われていますが・・・」とこの言葉でトークを終わらせて、
会場から大きな拍手が起きたのを覚えています。

 この物語は映画ではなく、音楽、特にピアノについての芸術か娯楽かというものをしつこい、と思うほど
追っています。
作者はピアニストであり、作家でもありますから、その音楽への傾倒ぶりは本格的です。
ドイツではこの本に出てくる音楽を作者が演奏したCDも発売されて話題になったそうです。
音色や調べと書かずに音を「和音」と書くところなどそのこだわりがよくわかります。

 主人公は、パリのカフェで覚醒する。アルトゥアは50年後の世界にいきなり生き返って
しまった幽霊なのです。アルトゥアは50年前は、ピアニストでした。ピアニストと言っても
生活は、貴族や成金、金持たちの社交界に出入りし、パトロンを見つけ、ピアノを弾き、愛人の
ような生活をしていて、デカダンスを満喫という暮らしぶりです。
友人のパヴェルも何故か、同じ1999年に覚醒してしまった幽霊でピアニスト。
同じような生活をしていた、性格は違うけれどいつもつるんでいた仲です。

 小説で音楽を描くことは難しいことです。映画だったら、音響というものがあるのでその曲を
直接流せばいいわけですが、文字だけで音楽を語る、そしてその音楽が軸になってミステリが
起きる・・・しかし、2人が覚醒した現代のクラッシック音楽なるものは昔とは大いに違っています。
どちらかというと演奏を聞いても辛辣な2人。曲の解釈というものが時代によって変わっていって
しまったことを痛感せざるを得ない。
2人は不思議と宗教にはすがらず神というものは不在で2人にあるのは、ピアノ、そして音楽です。
音楽が信仰であり、すべてです。
ですから、その音楽と芸術をめぐるすさまじいまでの成り行きはミステリ要素もありますが、真の芸術とは、
と考えるヨーロッパが主体のクラッシック音楽の怨念すら感じます。

 ヨーロッパ映画というのは娯楽といってもどちらかというと重いものが多いので、アメリカ型、
または日本のテレビ局制作の大作映画のような「すっきり」を求めるのは無理というもので、
ずっと陰鬱なムゥドが貫かれていて、まるでヨーロッパ映画を観ているよう。
美しいものと落ち着いたもの、というのがほとんど同義であるというあたりもヨーロッパ風であり、
また、散りばめられる音楽論、芸術論は深いものがありますので、音楽の世界を知らない人はここら辺、難しく感じるかも
しれません。

 音楽しかない人というのは、才能があるということでもありますが、やはりどこか特殊です。
アルトゥア自身、12歳から演奏会に出ていて、どんなに田舎では神童でも、都会の音楽大学に
行けばもっとすごい人たちがいて、その理想が粉々に打ち砕かれる場合もあることを知っています。
そして恐ろしいまでに自分に自信を持って信念を持っていますが、そのぐらい自己が強くないと
やっていけないのが音楽の世界であり、世界が狭くなってしまうのは仕方ないこと。
そんな狭い、深い世界にしか住めない音楽家たち。
その姿は時に滑稽であり、時に醜悪ですらあります。そんな「音楽家の芸術家ぶり」も作者は冷ややかに見ていますが、
同時に、音楽を奏でられる音楽家しか得られない天啓のようなものもたっぷり描ききっています。

 事件が起きて、不思議が起きて、音楽をめぐる争いがあって・・・そして戦争の影。
構成もなめらかで、ぎくしゃくとしたところがないし、音楽というものを深く知った作者ならではの、
ヨーロッパならではの音楽の描き方。日本にどう受け入れられるか興味のあるところです。

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2022/07/13 21:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:MissWhite - この投稿者のレビュー一覧を見る

訳者の酒寄さんの文章が好きで、
他の訳書にて紹介されていたこちらの本が気になり読んでみました。

最初の20ページくらいで、
「お、この本は当たりだな」と思い読み進んでいくうちに、
扱っているテーマの重さに圧倒されそうになりました。
が、その反面、登場人物のキャラの掘り下げがあまりされていない印象が拭い去れませんでした。
「もう本の半分を過ぎたけど本当にこれを解決できるのか?」と思ったら、ジェットコースターのクライマックスみたいに物語は終了しました。

せっかく出てきた個性豊かな音大生たちのそれぞれのキャラが存分に生かされていないまま終わってしまった感じが少しもったいなかったかな。
作者の伝えたいことはそこではなかったのかもしれないけど、
物語を楽しみたい一読者としては最後の方の急ぎ足が気になってしまいました。

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2011/07/20 13:07

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2011/08/08 21:34

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2011/06/21 19:16

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2011/07/27 13:15

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2011/09/08 17:49

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2011/11/18 14:51

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2011/11/23 12:45

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2012/02/12 22:05

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2012/03/26 11:55

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2012/05/18 23:40

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