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サブタイトルの「真実」とは、旧約聖書の、神の、そして人類の歴史の“真実”を意味している(無論この物語世界において)。
終盤、クリストファーの言葉によって明かされるその“真実”だが……著者もアメリカ人なので一応はキリスト教徒(プロテスタントなのかその諸派?)ではあるのだろうが、フィクションとはいえよくもまぁここまで書けたと思う。
さぞ物議を醸したのでは。況してやイスラム教、特にユダヤ教徒の人間ならば噴飯ものの内容だし、本気で怒る人がいてもおかしくないような。
その一方で、“ヨハネの黙示録”(第8章7-12節)にある通りの大災厄―凄まじく無慈悲な破壊と十数億の死が描写されていく。一年前も、そして今年もテレビで繰り返し放映される巨大津波とその後の惨状の映像と、どうしてもオーバーラップしてしまい、正直軽い眩暈や嘔吐感すら覚えたほどだった。
かたやフィクション、かたや現実の大災害なのであって、それを重ねてしまうことは不謹慎なのだろうが、だからこそ本書の内容は生々しく、ひたすら怖い。
詳細はこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2012-03-13