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副腎に注目してストレスによる疲労を説明したものといったところか。副腎内の具体的なメカニズムは最終章に書かれている。
副腎は腎臓の上に位置し、髄質と皮質から構成される。髄質はアドレナリンとノルアドレナリンを分泌する。皮質は4つの帯から成り、性ホルモン、コルチゾール、アルドステロンを分泌する。アルドステロンは、ナトリウムとカリウムの濃度、体液の平衡を制御する。コルチゾールは、脂肪、タンパク質、炭水化物の代謝を制御して、血糖値を維持する。性ホルモンは主に卵巣と精巣で作られるが、副腎が補助的な役割を果たす。
コルチゾールの分泌は、視床下部、脳下垂体、副腎の相互作用によって制御されている(HPA軸)。視床下部の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)によって、脳下垂体が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を分泌すると、血流に運ばれて副腎細胞壁に付着し、細胞内でホルモンが生産される。ACTHの刺激を受けてからコルチゾールが血流を介して体のあらゆる部位に循環するまで1分かからない。コルチゾールは視床下部にも届いてフィードバックされ、分刻みで濃度が測定される。
コルチゾールは、血糖濃度のバランスを保ち、ヒスタミンなどの炎症性物質の放出を抑制してアレルギー反応を抑え、白血球に作用して免疫反応に影響を与え、循環器系や中枢神経系へも効果を及ぼす。
アルドステロンは、血液中、間質液、細胞内の水分の維持、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルの濃度に関与する。アルドステロンの分泌が低下すると、血中のナトリウムが水分とともに尿として排出される。細胞内はカリウムとナトリウムの比率を15:1に保とうとする。血中の塩分が不足すると、間質液、細胞内のナトリウムが血液に移動するため、細胞内からはカリウムと水分も奪われて、脱水状態になる。アドレナル・ファティーグの場合は、水分と塩分を摂る必要がある。
身体的、精神的なストレスが多すぎると、副腎を消耗させてコルチゾールなどのホルモンの放出が減少し、アドレナル・ファティーグになる。アドレナル・ファティーグは、日常的な作業をこなし、努力して頑張る人が患いやすい。
バナナなどのカリウムを多く含む果物は、アドレナル・ファティーグを悪化させる。
チョコレートが食べたくなるのは、マグネシウムが不足している可能性がある。マグネシウムは、昆布、アーモンド、カシューナッツなどのナッツ類、茶色のゴマ、全粒小麦、豆などに多い。