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生活習慣病は、世界中で発生している重大な病気である。
日本では生活習慣に起因する疾病として主として、がん、脳血管疾患、心臓病などが指摘され、それらは日本人の3大死因ともなっている。肥満はこれらの疾患になるリスクを上げる。また肥満自体が生活習慣病のひとつともされることがある。
これらの病気は食事制限や運動などの自己管理が必須。
しかし、私たちの社会にはその管理を阻む誘惑で満ち溢れている。
昨今急速にオートメーションが進み、それまで自分たちの体を動かして行っていたことが、機械に代替され、その必要もなくなる。
一方で、体を動かす機会を阻まれた肉体は、さらに意識して肉体をコントロールする必要性が大きくなった。
その管理手法として、『7つの習慣』をあげていることに本書の特徴がある。
『7つの習慣』とは、スティーブン・R・コヴィーによって書かれ1996年に出版された書籍。
この本には、成功するための基本的なルールが7つ書かれています。そして、そのルールを繰り返し意識し、行動することで、「習慣」にすることができます。そうしていくうちに、他の習慣のように、やがて意識しなくても成功するための基本的なルールに基づいて行動することができるようになる・・・というのがこの本の趣旨。
本書ではこの方法を、ケアワーカー、特に医者の職業に実践的にあてはめている。
例えば、従来の医者と患者の関係性は、患者が受動的だった。
つまり、患者が医者の言うことを聴き、その方向性に患者が従順に従っていく、というのが従来の関係性だったが、昨今は、インフォームドコンセントという言葉を皮切りに、医者は患者をサポートして、よく話を聞いて、患者さんに治療の意味や目的をきちんと理解する、という時代に入ってきた。
そこで七つの習慣を用いて、患者に病気と闘うことに対して動機づけをし、主体的に病気に向かいあうことを促している。
遠くを見つめて目的意識を持つ。もっとも大切な事柄を、日々、実行しようと誠実に努力する。
7つの習慣にきちんと従うことができたら人格を磨くことができる。
というのが本書のメッセージだろう。
本書では実際にこの手法を活用している医師の具体的な事例を交えており、とても実践的であると感じた。
ただ、昨今、遠くを見通すことが叶いにくい社会の中で、この手法を用いることは多少なりとも困難があり、そしてそれは徐々に大きくなるだろうとも感じた。
今後この習慣が社会変動に伴ってどのように進化していくのか、特に医療界での変化にとても興味がある。