紙の本
この小説のテーマは純愛だと思う
2019/01/23 22:29
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品については、ラウル・ジュニア(バレンティン役)、ウイリアム・ハート(モリーナ役)のアメリカ映画が85年に制作されていて、ラウル・ジュニアはすでに故人であるという知識はあったが、内容についてはほとんど知らなかった。モリーナははたして、バレンティンを裏切るのか、裏切らないのかということが私にはよめなかった。最後までバレンティンを裏切らなかったモリーナは、組織によって消されてしまうのだが、これは純愛がテーマの作品と言っていいのかもしれない。こんな愛らしいことをいっても、最後はバレンティンを裏切るのだろうと思っていた私はやはりかなりひねくれている
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かわいいオカマをぜひ
2014/03/22 15:30
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投稿者:ほにょりー - この投稿者のレビュー一覧を見る
刑務所の独房の中、1人の男と1人のオカマの会話で物語はすすめられる。
情けない男とかわいいオカマの相性がここまでいいとは思わなかった。ただ話してるだけなのに、次のページが読みたくて読みたくて仕方なくなくなる。
オカマの話す映画の話も負けず劣らず面白い。
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斬新な手法とかではなく、純粋に面白い作品。
地の文がないため、登場人物の心情や状況はあまり詳しく語られないが、その分、読者に想像を許すため、広がりが生まれる。
一口にラテンアメリカ文学と言っても、ガルシア・マルケスとは全く違う。
翻訳もこなれていて読みやすい。
(2011.6)
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一風変わった、アラビアンナイト異譚。
二人の関係は監房という狭い空間の中で様々な対比のメタファーをまとって現れるけれど、結局のところ「男と女」ですべては説明できるのではないかという気にさせられる。下世話な話、あるあるだったりもする。
登場人物も、情報量も、ミニマルだからこそ異様な濃さがあり、こちらを引き込んでくる。モリーナの魅力には抗いがたいぬめりが満ちている一方、読後は妙に爽やかでありました。
画にするなら萩尾望都がいいなあ。
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ラテンアメリカ十大小説で紹介されていたので読んでみる。地の文が無く、全編2人の会話文であり、その2人の状況も普通では無く、会話内容の大部分は映画のあらすじを聞かせるというもの。自分は映画も見るのだが、小説の中で描かれる映画というものにはあんまり親和性を感じない。
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地の文が一切無い、ダイアログだけでできた珍しい小説。小説…なんだよな?まだるっこしい風景や感情の描写が無いので一気に読めてしまうんだけど、言ったことが全て、ではない筈で、でもその解釈は作中ではなされなくて… もやもやもや。注はほとんどフロイトとかの性的嗜好に関する議論を紹介するもの。国家体制、抑圧、ジェンダー、映画の解釈、等々、テーマはちらほらあるんだが。まあそんなこと考えなくても、本文がめっぽう面白いので良い。モリーナのキャラがすごくいい。原文では彼のセリフはどんなかんじなんだろう。もうこの翻訳を読んだ後じゃ、お姉コトバ以外考えられないけど!
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(再読中)
長いこと絶版だったが待望の文庫復刊。映画も有名。ホモセクシャルのモリーナと政治犯ヴァレンティンが独房の相部屋で語りあう。出だしは状況がつかみにくいが、だんだんと明らかになるお互いの過去、モリーナが語る映画のイメージが作品の中で交差し合い、読者は物語のどこかに連れて行かれてしまう。
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繰り返し接することによって対象のものが好きになります。それを心理学のタームで「単純接触効果」と言います。モリーナとヴァレンティンはお互いの極限状態において同性でも好意度が高まりひとつの物語を生んだ――それはまるで作中で語られる映画のようで。
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初めて読んだのは20年以上前か。いきなり映画の筋の語りから始まる本書は、
会話をしているふたりが誰なのか、どんな状況にいるのか、まったく分からない
手探りのまま読み進めていた。
読み進むうちに刑務所内での会話であること、ホモセクシャルのモリーナと
政治犯のヴァレンティンが同じ房にいること、ふたりの背景にあるものが徐々に
明らかになって来る。
そして、いつの間にかモリーナが話す映画の内容に引き込まれ、聞き手である
ヴァレンティンのように映画の続きが気になって来る。
シェヘラザートのようなモリーナの話に、ページをめくる手が止まらない。そして、
書体を変えた独白部分が多少の謎を秘めて、物語は重く哀しい結末へ向かう。
改めて読み終わっても、やはり名作である。モリーナの優しさ、切なさが心に
沁み入る。妖しくて、温かい物語は時代が経ってもいいものだねぇ。
実家の書棚にあるはずなのだけど、昨年、改訂版が発行されたのを機に
再読してみた。あぁ、小説もたまには読まなきゃ。
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身動きがとれなくなるのは、蜘蛛にからめれた獲物ではなく、自分の糸でがんじがらめになった蜘蛛女のほうだったとは。
読んでいた間、南米の濃密な空気を感じることができた。先に映画を見てからの読書だったので、映画ではカットされていた細々とした事柄も知ることができてよかった。
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(ネットでの紹介で読んでみて)求めていたものとは違ったけれどでも結局は同じことだな、と思いました。感覚的にちょうど2人の真ん中にいたので両者に惹かれて後半はじわりと。
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悲しい話だった。
小学生のような文句しか出てこないな、どういうわけか。
強烈なインパクトのある本ではない。
ラテンアメリカ文学にありがちな読みづらさもない。
さらりと読めて、面白くて、感情は後からゆっくりと追いついてくる。私の場合は。
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地の文が一切登場しないこの小説を読むというのは、壊れたラジオが偶然傍受してしまった2人の会話にそっと耳を傾ける事に似ている。情景豊かに語られる映画譚に魅了されれば、次にラジオから漏れてくるのは2人の内面の声。その互いに交わらないイメージにどうにも感傷的になってしまう。本編が終始モリーナが生み出す慈愛のムードに包まれているのに対し、明らかに意図的に、不自然に付けられた脚注では実在しない博士の名を借りてまで同性愛への誤解や偏見に対する反論を行っており、その毅然さはまるでバレンティンが乗り移ったかのようだ。
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会話ばかりでストーリーが続く一風変わった小説。
ラテンアメリカの作家さんですが、
日本でいうと岡嶋二人あたりのミステリ作家がやりそうな、
変則的なストーリーの進め方に、
なるほど、こういうのもあるのか、と思いました。
会話のなかで語られる数々の映画が、
それぞれ登場人物の願望やストーリーの展開を暗示していて、
この形式ならではの面白さがあります。
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基本的に、ふたりの会話によって物語が進行します。
革命分子バレンティンに自分が観た映画を夜毎に語る、同性愛者のモリーナ。
何から何まで対照的な両者ですが、次第に心を通わせていきます。
それと同時に、モリーナに感情移入している自分に気付きました。
読了後、じわじわと胸が締め付けられるようでした。
何故か、張愛玲の短編、「色、戒」を思い出しました。