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小説現代に連載されてきた読み切り短編7編を収録。
いずれも幸福とは縁の薄そうな人々の一人語り。不幸な人生に訪れたふとした転機をきっかけに、それまでの来し方を振り返る問わず語りの連作だ。
ドラマチックな展開あり、しんみりとしたヒューマンドラマあり。中でも表題作の「嫁の遺言」は、若くして亡くなった妻への想いが垣間見える秀作でなかなか泣かせる作品。
「いちばんめ」は初恋の相手との思わぬ再会で、時を越えてほろ苦い思い出を噛みしめる物語。若い頃ってそうなんだよなと、思わずため息をつくほど同感。
三作目以降は、設定にあざとさが見えて、やや感動を強要されるような違和感あり。
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いくつか面白い短編が散りばめられている。チョット上手く書け過ぎな感もあるが楽しめた。
「いちばんめ」は、初恋を幼いプライドやら恥ずかしさ、臆病さでボタンをかけ違ってしまったことが友人の結婚式でわかり、胸キュンの秀作。
「あの人への年賀状」は、二世帯住宅の建設を巡って、自分の両親の結婚の形を知り、母に女の部分があって、幸せの形も色々あることに思い出したように気付く息子の話。
「嫁の遺言」は、妻を亡くした夫ってわびしいんだなと思う。きっと死を受け入れるためには、形があるかないかではなく、自分の心の問題なんだと思う。
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市井の片隅で不器用に生きる人々を追う短編集。
標題作の「嫁の遺言」が一番好きでした。
子どものない夫婦の妻が若くして病気のため逝去。夫の語る関西弁の独白はもちろん悲しいのだけど、なんか、ほろ苦い笑いも呼び起こしたりして、うん、優しいお話になっていました。
死んでしまった妻が、電車の中や、エレベーターの中で、ふと夫の手を取ったり、くすりと笑い声を耳元で聞かせたり。
で、なんでそんな風に亡き嫁が出てきてしまうのか。
ネタばれ・・かも。
「なあ、いつかのあれなぁ、嘘やってん」
と野球帰りの夫に囁いて、妻は去ります。
「阿呆やなぁ、ほんまに」とつぶやき、そこで初めて、あいつ、死んだんやなぁ、と泣くことができた夫の気持ちが切なくて・・・。
こんな時の関西弁って優しくて、悲しくて、いいなぁ。
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死んでしまった嫁の存在を感じるときは、まだまだその嫁のことを忘れていない。
彼女の思いが伝わったときから、すこしずつその傷が癒えていくものだから…
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市井の片すみで生きる幸せとは縁遠い人々の一人語りの短編集。加藤元はじめて読んだけど力のある書き手。旨すぎるところもある。タイトルにもなっている「嫁の遺言」も悪くないが、私は「いちばんめ」と「あんた」が好き。どちらの作品も頷けるところばかり。加藤元これからも注目。
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ちょっと切なさを感じる短編集。
日常に紛れている切なさ。
きっとこんな切なさは誰の中にもあるんでしょう。
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加藤元さんの本始めて読みました。
短編集で読みやすくて、方言語りだったり、1人語りだったりと楽しめました。
「いちばんめ」はキュンと来たけど、えっ?今なん?なんやそれ?とも思いました。
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加藤元さんのことはまったく知らないで読み始めました。
数ヶ月前に新聞の書評を見て、目をつけてましたから。
短編集はあまり好まないのですが、最初の関西弁には
やられました~。
そして、女性作家なのですね。
あまり情報を入れないで読むのもオツかと。
日々の当たり前の中にあるほっこりとした幸せに、
触れたような気分です。
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表題作は、夫が生前の妻とのやり取りを明るく語っていくストーリーで、読むうちに温かな気持ちなっていくとてもいいストーリーでした。
続く6篇もそれぞれが、とてもいい話だったけど途中からだんだん読むのが面倒になってきました。
7人から間をおかず、延々と身の上話を聞かされている気分。みんないいけど、全てがもどかしく感じます。いろいろ考えてはみたけど、他の言葉が思いつかないです。。。
いいストーリーだったのに、重たい気分で読み終わりました。
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「加藤 元」って女性だったのか・・・w 短編集。読みやすい。どれも、それぞれいい感じ。そして奇しくも、ラストは、またジュリーww
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図書館にて。
いい小説を書く人だなとしみじみ思った。
この作家の本を読むのは2冊目だが、前回は長編だったので、短編はうまみがぎゅっと凝縮されている感じでお得だなと思ってしまった笑
どれも良かったが、「いちばんめ」は心の底の大切な部分をぎゅっとわしづかみにされた感じ。いやもう、だめだろうこれは。泣いてまう。
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7つの短編集。
・嫁の遺言
・いちばんめ
・あの人への年賀状
・不覚悟な父より
・あんた
・窓の中の日曜日
・おかえり、ボギー
【いちばんめ】と【あの人への年賀状】が感情移入して涙が止まらなかった。
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7編からなる短編集。
どれもちょっぴり胸が切なくなる。
ただ雰囲気はそれぞれ違っていて、加藤元さんの作品は初めて読んだのだが、引き出しの多い方だなと思った。
特に好きだったのは「いちばんめ」
しばらくこの世界の余韻にひたってしまった。
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いちばんめ、あの人への年賀状
この2篇が印象的だった。が、全体的にこの方が描く男性像が好みとかけ離れているため他は響かず。
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『嫁の遺言』はほわんとした夫婦のお話。『いちばんめ』はとてもグッときた。学生の頃の元カレに友達の結婚式で再開した話。大人になってわかることと17歳には戻れないこと、わかっているけど切なかった。