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風呂屋(といっても遊郭のようなものなのですね)を舞台とした、ひっそりとした怪談話。「ぼっけえ、きょうてえ」に似た雰囲気だけれど、こちらの方は穏やかで優しく、あまり怖くは感じません。いかにもな「怪談」ではなく、明らかに「作り話」というスタンスで語られている部分も大きいかも。
お気に入りは「籠の鳥」。いちばん「作り物めいた」物語に思えるのですが。その分いろいろと想像させられてしまいます。
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8章から成る書き下ろし。
元和年間の岡山城下、「和気湯」という男客専門の湯屋の湯女である「お藤」はとても人気があった。
小早川秀秋の御落胤とも、朝鮮から連れて来られた姫の子とも噂される二十歳の美しい娘が半裸で体を洗ってくれ、望めばその後で床を共にしてくれるのだが、それ以上に喜ばれたのが巧みに語る不思議な物語りだった。
夢を見ると自分と同じ名前の異国の王妃になり、死んだ夫の棺を持つ行列をつれてさまよう話。
お藤に似せて黄楊で彫らせた木の湯女が、男の精を吸って命を得、彫った男と駆け落ちした話。
耳が聞こえず口もきけない湯女からお藤が読唇して聞き出した、異国の王様が人に似た鳥をかわいがりすぎたため、王妃が嫉妬して鳥を殺して出奔し、人に似た鳥になって日本に来たのが自分だという話。
湯屋に来た客が、自分は秀吉の朝鮮出兵で戦って鼻を切り取られた朝鮮人陶工で、日本に来て仇が小早川秀秋だと知り、その娘と噂される湯女を殺そうかと思ったが、敬慕する朝鮮王族の姫にも似ていて悩んでいるという告白話。
「備前風呂屋怪談」という副題が付いているが、幽霊話ではなく怪しい不可解な物語で、そのストーリーも嘘や、改変、別の解釈などが織り込まれて展開していく。あたかも、全体が小説のありようを語っているかのように。
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夏だし「ぼっけぇ」話でも、と思い、タイムリーに図書館に入ってた岩井志麻子さんの新作。・・ですが、「ぼっけぇ」というより不思議な怪しい話の短編連作集でした。漱石の「夢十夜」みたいな。
雛には稀な湯女「藤」が寝物語に語る怪奇譚。
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表紙の女性が怖くて怖くて、
読みながらチラチラ見てしまいました。
とくにその目が怖いのです。
怖いもの見たさの心境も味わえる本でした。
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数年ぶりの岩井作品。
飽きずに読めたけど、伏線張りすぎで期待が膨らみすぎたのか、終わりが尻窄みだったかな。
あと、句読点の位置が気になる。特に句点。
作者の癖なんだろうけど。
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不思議な「湯女」のお話。
作風が似ているせいか、流して読んでしまいました。
トークは面白いのになぁ・・・
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ぼっけぇきょうてぃに続き大好きな甲斐荘楠音の表紙に惹かれて読んでみました。
岡山の湯女お藤から語られる不思議な話、湯屋での寝物語だから少し色っぽい内容なのですが怖すぎないのでホラーはちょっと…という方でも読みやすいんじゃないんかなと思いました。
行燈の光が届かない暗闇のような話を作るのは流石岩井志麻子さんだなと。