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ヨーロッパに伝わる昔話に、取り換えっ子(チェンジリング)がある。人間の子どもが妖精やゴブリンなどと入れ替えられてしまうという昔話。この本は、その昔話を下敷きに、取り換えられた子と入れ替わった子の双方かを語ることで、二人の成長を描く。
自分自身も過去に取り換えられ、森で同じ運命の子どもたちと暮らしてきた主人公は、ヘンリー・デイという少年と入れ替わりヘンリー・デイとして成長していく。成長とともに、元の自分の記憶や森で取り換えられてしまった仲間たちと暮らしていた記憶は、徐々に薄れていく。大人になるにつれ、自分の過去を知りたいともう一人の自分を探し始める。一方、取り換えられた元ヘンリー・デイも、やはり同じ運命の取り換えられた子どもたちと、次に人間の子どもと取り換えるチャンスを待つ。
ヘンリー・デイになった者と、ヘンリー・デイだった者。過去を忘れたくない、本当の自分を知りたい、過酷な運命の中で成長していく二人のヘンリー・デイを描きだす。
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タイトルの通り取替えっ子の物語。チェンジリング。
興味深く、そして面白い。
人になったホブゴブリンと、ホブゴブリンに替えられた少年。最終章はほんとにどきどきした。予想と違う方向性だったなぁ。
現代の物語なので、ホブゴブリンの生活がリアル。ホブゴブリン側に意識が向いてしまう。人の描写が薄い……もすこし人側濃いのも見てみたいと思った。少しずつ人の生を手に入れて味わう描写とか。そういうの。でも、そうすると長くなってくどいんだろうなぁ。
なかなかに読み応えがあるので、活字中毒者以外にはお勧めしにくいけど面白かった。
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人間の子供が妖精によって攫われ、妖精と入れ替えられてしまう、
というヨーロッパの伝説がベースになっている物語。
日本で言えば神隠しのような、間引きにも通じるところがあるような話。
この作品では、
人間の子→コブリゴン(妖精?)→人間の子。
という様に、妖精が元々人間の子供というのが現実感があるようで非現実的なちょっと変わったファンタジー。
妖精の、見た目が子供で中身が大人、という設定に、私の中で“えなりかずき”が邪魔をしてイメージしづらかった(笑)
なので、映画化されたら是非観てみたいです。
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取り替え子伝説を題材に描いた物語。
ある日突然ホブゴブリンとして生きることになったエニデイ。
何年も待ち続けて人間の子に戻ったヘンリー。
彼らの視点から交互に物語は綴られていきます。
人間の子に戻ってなお試練と苦悩に苛まれるヘンリーと、森の中で厳しい孤独を生きるエニデイ。
れまでの記憶や感性が徐々に薄れ、現在の運命を人生を受け入れて成長していく姿は痛々しくも力強く逞しい。
好きなのは森の魅惑的な世界と奇妙で愛らしい妖精たちの場面。
おぞましく残酷な物語のはずなのに、温かく煌めきに満ち溢れた自己探求と彼らの成長物語。
(2011年7月読了)