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スパイス、塩、茶、シャンパン、ジャガイモ、チーズなど、ヨーロッパで愛されてきた食材の歴史を描いた本。今はスーパーで手軽に手に入れられるこれらの食材だが、大航海時代などはこれだけで館が建つ程の貴重な品々だった。そしてスパイスひとつにも命がけである。
その昔、人目につかない厨房は、地面に藁などを敷いただけの簡素な場所だったという。食事の場所は綺麗なタイル貼りだったりするのに、貴族に従属する者の場所は例え料理人だとしても容赦ない。面白いと思ったのは、藁などに混ぜて病気や腐敗防止のためにハーブも混ぜる場合があったという。生活の知恵だ。
人間生活の基本であり、その時代の歴史が分かる食文化。日々の生活から歴史を考察するこういう本が私は大好きだ。
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今の時代、一般の家庭の食卓にも、あって当たり前な塩やスパイス(香辛料)、茶、カカオ、コーヒーなど、それぞれが中心となる時代、どれほどの価値をもっていたのだろうか? また、今のような食文化になったのはどのタイミングなのだろうか? フランス人である著者が、実在するそれぞれの時代を生きた人々にクローズアップする形で記述している。
エジプトのミイラに使われていた香辛料、塩で傭兵の給料を払っていたローマ時代、香辛料を得るために新しい航路を目指した大航海時代、ルネサンスを経て、やっとこさ現在の食卓の原型ができてくる。17、18世紀の貴族の食卓のために発達した野菜やフルーツの栽培のしくみ、更に19世紀になって、シャンパンやカマンベールチーズの登場によって、更に充実してきた『食』にレストランで食べるという形の定着が合わさり、現在のような豊かな食文化が形成されたんだと納得できました。
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「白い粉」はいつの時代も人が求めている。「白い粉」といっても、塩や佐藤のことだ。怪しい粉なんて今まで見たこともなければ、吸ったこともないからなあ。昔は塩を手に入れるのも大変で、また持ってくるのも大変だった。支配する側としては、塩税という形で課税して収益を上げようと躍起になった。その一方で、手に入れる側も密輸して手に入れようと必死になった。今流行の「即席密売人」なんていたのかと思った。当然、塩だけに苦しくつらいものだった。塩は、料理になくてはならないアクセントの1つだ。
今では、お高くとまっているフランス料理も、今のイタリアからカトリーヌ・ド・メディシスがフランス王朝に嫁いで来なければ、今でもフォークを使わずに手づかみだったかもしれない。フランスは、イタリアに感謝したら。
モクモク羊にはないと生きていけないものがある。それはコーヒー、紅茶、チョコレートだ。コーヒーや紅茶を飲んだり、チョコレートを食べて幸せな気分に浸る喜びがあるのとないのとでは違う。
チョコレートやコーヒーは、ヨーロッパに伝わった当時は、歓迎されていなかったことを知って驚いた。摂取してよいものかどうか議論の的だったとは。確かに見慣れないものがやってきた時の反応はそのようなものになる。今では、自動販売機で売られ、パティシエのおいしいチョコレートが売られるとメディアで話題になったりと、扱いが昔と今では大違い。
今回の本は、ラジオ・フランスのニュース専門局フランス・アンテールで、2011年10月まで10年以上にわたって放送されていた「2000 ans d’Histoire(歴史2000年)」がもとになっている。この番組はかなり人気があったそうだ。フランス人が考える美食の歴史を手軽に読めるので良かった。
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帯文:"「教養ある人にして初めて食べ方を知る」~ブリア=サヴァラン~" "食はいかにして芸術となったか"
目次:お通し、第1章 スパイスの道、第2章 テーブルへどうぞ!、第3章 指からフォークへ、第4章 塩―王の白い黄金、第5章 ラ・カンティニ氏の梨、第6章 司厨長ヴァテルが自ら命を絶った理由、第7章 刺激的な嗜好品―茶,コーヒー,それともチョコレート?、…他