紙の本
登場人物には、全員幸せになってほしい
2019/07/06 23:36
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2001年に第124回直木賞を「プラナリア」で受賞しているが、2003年、40歳の時にうつ病を発症し、治療のため執筆活動を中断していた。この作品集は2002年に発表された「アカペラ」は発症前、2007年の「ソリチュード」、2008年の「ネロリ」は再起後の作品。そういう前提で読んでみて「アカペラ」とその後の2作品には何か違いがあるのか考えてみたが、こじつけで何か変化があると書いてみてもいいのだけれどとくに何の変化もないように思える。彼女の作品には弱者へのいたわりが感じられる、というか「私たちを弱者と決めつけるな、そんなやわに生きていないわ」という叫びが感じられる。「アカペラ」のたまこ、「ソリチュード」の一花、「ネロリ」の日出男、みんな幸せになってほしい
紙の本
物語が終わっても、人生は続く
2015/08/31 09:30
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投稿者:くまくまりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
中編三作品を収録。いずれも、長編小説ならラストシーンとなるような鮮烈なエピソードがあるが、そこで話は終わらない。たとえば、痴呆が続く祖父に恋して駆け落ちを決行する女子中学生。しがらみや常識を振り払うような、人生のクライマックスのあと、思いがけない現実に直面して、疾走は終わっても人生は続く、と思い知る(「アカペラ」)。あるいは、従妹との恋と父親との確執からくる閉塞感から逃れた家出少年は、天性の女たらしの才が開花し、東京の夜の世界でしたたかにのし上がっていく。それだけでも刺激的な物語なのだが、「ソリチュード」では、そんな虚飾に満ちた日々に行き詰った男の帰郷と従妹との再会、追いかけてくる日常、退屈な地方都市での、どうにもならない不細工な時間が描かれる。
病を得て六年間、小説を書けなかった筆者だから得ることができた、小説のような物語のあとの、ほんとうの人生の物語。不格好で悲しい、それでいて目が離せないストーリー。
電子書籍
すごいなーと素直に。
2021/07/02 14:09
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投稿者:すぱこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の本をよみあさった時期があったのに、この本は見落としていた。
自分が病気や人生の大きな転機など経験したあとに
読めるタイミング良く出会えたことに感謝!
最近の著書も読んだのですが、この時代の本が好みです。
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たかが1週間前くらいに読んだのに、もうよく覚えてないけど、わりと好きなタイプの中篇が3編入った作品集。
「ネロリ」以外はどれも、あまりタイトルと中身の関連性があるようには思えなかったけれど、まあそんなことはとりあえずどうでもいいかな、って思うくらいに惹き込まれるところもあり。
ただ、ちょっと奇をてらったというか、今までの著者の色を変えようとしたのかな~?っていう作為みたいなものを感じたような、感じないような(私だけかもw)。
女流作家っぽい作品だけど、ちょっとスパイスも効いてるかな、という作品集。
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ちょっと風変わりな家族模様を描いた3つの中編。祖父と孫娘、母親と息子と従妹、中年の姉と弟 の切なくも穏やかな物語は心和む。好みは自分と重なるダメ男が描かれた「ソリチュード」かな。小泉今日子さんが書評で取りあげる作品に外れはないと思う。
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すきな本と電車の釣り広告で出会った感動。
文庫化!
自然に再びめぐり会うとは。
手元に置きたいと思っていたので、本屋を探してまわって手に入れました。
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久しぶりに大人の女性が主人公じゃない物語。文緒さんの女の子が主人公の話もとても好きです。
ラストの少し切ない終わり方も心に残りました。
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結局,3編通してすべてに関係するのは血縁との交わり?大きく言うと関わり。1編目は祖父と孫娘,2編目は従兄弟同士の,3編目は姉弟の交わり。
しかし,その背景を流れる空気感に禁断,背徳・・・的なものは一切感じさせない。むしろいっそすがすがしくさえある!
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表題作を含む3編の中編小説集。
登場人物がどこか癖があったりダメダメだったり、
とにかく普通とは違う人たちだけれども、自分たちのそんな不完全さを
受け入れながら日々生きている姿は逞しいとさえ感じる。
欠点を直そうと躍起になるより、よっぽど前向きで「生きているんだ」という
感じがするのは私だけだろうか。
読み手の置かれている状況によってもいろいろ違うだろうけれど、
私は今の自分や周囲の人間と重ね合わせられる部分があったのも
とても興味深かった。
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3つの中編小説。1話目は女子中学生が主人公。2話目は中年男性が主人公。3話目は40代後半の女性とその弟、その彼女。
久しぶりの山本文緒作品だったので、1話目の語り口にはビックリ。こんな作品を書く人だっけ?と。
個人的には2話目が好み。山本文緒はモテモテのダメ男が好みらしく、この40男もいろいろとだらしない。けど、そのダメ男の周りの女の子がすごくいい子なんだよな。うらやましい限りである。
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成就しない恋の話が3つ。
寂しい物語。
表題作の「アカペラ」は、女子中学生と中学教師の語りの違いが面白い。
ただ、なんともやるせない話。
3話とも感情移入が困難。
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非日常的とも思える恋愛。
決してハッピーではないのだけれどどこか最後に
ジーンとくるものが。
ネロリは結末が予想外だったけれど、
うるうるしてしまった。
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中編が三つ。評価は3.8くらい。いや3.9…4.0でいいか。
主人公は勤労中学生女子、優柔不断な流浪の社会人、近すぎる姉弟と様々だが、いずれも居場所を失ったり失いかけたりする人たちだった。
平易な筆致でありながら、じっくり読ませる作品群。
勤労女子中学生のお話がもっとも気に入ったしあれこれ考えた。
じいちゃんの最初の奥さんになることで自分の居場所を見出したのに、じいちゃんが夢から覚めて主人公の女子中学生を自分の孫と認識することによって、再び主人公だけの場所は失われてしまった。
じいちゃんが死なずに済んで嬉しいはずなのに、なんだか途方に暮れてしまう結末だった。
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「アカペラ」「ソリチュード」「ネロリ」の3話。
ちょっと変わった人間関係のなかの
ちょっと変わった恋愛模様。
アカペラが一番すきかな^^
でも山本文緒は長編の恋愛小説のがおもしろいな!
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ねっとりじめじめ、なまぐさい。うわあ、いやだいやだ、と思いながら読み進めるのをやめられなかった。
ある程度歳を重ねた大人のひとたちに読んで欲しいな。
学生さんには、まだ、はやい。