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今の日本の状況を的確に表している。
何のために働いているのか、ある意味当たり前のことだが、日本の経営者はなぜ気づかないのだろう
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ドルもユーロも財政不安、通貨不安に陥っており、世界経済は今後数年間、リーマンショック時以上に混迷の時期を迎えるようである。人類史の長期的スパンで事態を観察すれば、これくらいの経済不況、かつて数回は起きていたはずだし、経済各誌や経済学者たちがけたたましく叫んでいるほど悲観する状況でもないはずだが、世界的不況のインパクトは、日本をも襲う。アメリカは長期デフレ、財政赤字の「日本病」に陥ったとも言われているが、世界経済の激動期において、腐ってもGDP世界3位の日本経済が果たす役割は大きい。
本日取り上げる『日本経済が何をやってもダメな本当の理由』は、一般的な日本経済論とは異なる角度で日本経済の問題点を突いている。多くの経済評論は、日本経済は輸出中心型の産業構造だと主張する。著者は、高度経済成長を遂げているにもかかわらず、未だに輸出中心、外需依存であることが、日本経済の問題点だと指摘する。
<印象的な箇所>
・日本経済は高度経済成長を遂げているのに、相変わらず輸出主導、外需依存型で、輸入、内需が育っていない。
・発展途上期の国は、外貨保有高も、自国の内需も少ないから、商品を輸出して、外貨を増やす。貯めた外貨で、他国の優良な製品を輸入し、消費を楽しむようになる。内需を増やしていけば、輸出・外需依存型から内需主導型の消費国に移行する。
・日本はずっと前に先進国の仲間入りをしたけれど、いまだに個人は真面目に働き、貯蓄に励んでおり、消費をあまりしない。日本は経済大国だけれど、個人は豊かさを実感していない。
・日本の内需が増えず、供給過剰なのは、日本国内消費者のニーズにそう商品が売られていないから。
・日本経済はずっと供給力過剰。企業はコストを切り詰めて、高機能なよい製品を作り続けているが、市場のニーズとマッチしないため、売れ残りが発生する。
・消費者が稼いだお金で輸入品を買い、消費生活を楽しむようになれば、デフレを脱却する契機になる。
・貿易赤字(輸出より輸入が多い)でOK。商品を輸出するのは、輸出でお金を稼いだ後、世界中のすばらしい商品を輸入して、生活を豊かにするため。円高になった方が、輸入で豊かになれる。日本人は輸入を忘れて、輸出ばかりしている。
・円高を嫌う論調が強いのは、輸出主導でずっと語られてきたから。円高にもメリットがある。
(所感)
輸入で楽しむ人が少ないと言われても、日本人が海外ブランドを買い漁る姿は、世界のジョークになっている。女子高生やスーパーで買い物をしているおばさんが、ヴィトンのバッグや財布を持っている日本は、輸入を十分楽しんでいるのではないかと思えるが、他国と比べれば、確かに日本は貯蓄率が高い。しかし、ここ数年日本の貯蓄率は下がる一方で、かつて世界に誇った日本の貯蓄率の高さは、最早過去の話になりつつある。
この本と意見が対立している三橋貴明の本を並行して読むと面白い。
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知人の推薦で読んだ本。著者の主張は日本の経済を語る、分析する際にGDP成長を軸にしてはダメだということ、そして、日本に必要なのは、外国への輸出による成長ではなく、内需(特に医療や介護等国民が必要となる分野)を拡大すべく取り組むべきという主張である。一般的には当然と言われている日本の貿易黒字が日本のためにまったくなっておらず世界全体でみれば各国の成長を阻害し、日本に跳ね返って不況になっているという論は面白い。
しかし、内容的には上記のことを各経済分析の項目から述べ続けている本でどうすればいいのかはほとんどない。その点は著者は「自分はマクロの専門家で個々の分野の対策は各専門家がやっている」と最後に記載があるが、マクロの専門家であり、GDPや国民所得の数値には意味がなく、その内容に意味が隠されていると主張しているのであれば、どういう指標がありうべきなのかを議論してほしかったと思う。
日本は必要以上の輸出で黒字を稼いでいることを問題にしているが、その黒字をせっせと国民は貯めこみ、そしてその貯金をせっせと国が国債を媒体に公共事業に詰め込んでGDPが膨らんでいる現状にはほとんどふれていない。こういう問題もGDP指標等をうまく改正すれば数値で分析できるのはないか?
私としては、国の経済を考える際に、GDP何%成長ではなく、その個々の内容を細かく見ていく必要があるということはこの本を読んで感じた。しかしながら、経済は個々の企業や個人の自由な経済活動の集積と思えば、経済分析や予測は意味があるのかなとも同時に感じた。