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貴族政治から大衆民主政治、旧外交から新外交へと政治・外交の在り方が大きな転換期を迎え、ヨーロッパの君主たちが軒並み時代のうねりに飲み込まれていった19世紀後半~20世紀初頭。
本書はそうした困難な時代に君主としての職務を全うし、次々に押し寄せる荒波を乗り越えてイギリス帝国を正道へと導いたジョージ5世(在位1910-36)に焦点を当てる。
個人的にはグラッドストンやロイド=ジョージ、マクドナルドなど歴代首相に対する国王目線の人物評価が新鮮だった。また、ヨーロッパ各国王室の血縁関係も理解でき、精彩を欠く私の近代西欧史の知識に彩りを添えることができた。
王室から見たイギリス・ヨーロッパ近代史としても読むことのできる良本。
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ヴィクトリア女王の孫として生まれ、兄の突然の死で王位に就くこととなり、「いとこたちの戦争」と言われた第一次世界大戦を経験したジョージ5世。大英帝国が拡大していく中で王としての地位を確固たるものとしていき、「この世で最後まで生き残る国王は5人だけ。トランプの4人の国王とイギリス国王のみ」と言われた、まさにそのイギリス国王。第二次世界大戦に向かっていく不穏な世の中を生き抜いた王様らしい王様を駆け足で理解するには打ってつけの本です。
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「英国王のスピーチ」の主人公「ジョージ6世」
の父親の話。
まだ2大政党へ移行していない立憲政治、王様による
外交から大衆政治への変転、戦争のあり方の変更
などなど時代の大きな転換時期に君主として
対処した王様。素晴らしい人格者であり普通の人です。
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この間読んだ「ビクトリア女王」の孫に当たる。
出版社は異なるが、偶然同じ著者だった。
新書版だからそれほど深く突っ込んで書いていないが、とても読みやすく要点を上手くまとめて書いている。
客観的な描写を重ねているのだが、人物に対する著者の思い入れをかなり強く感じる。
イギリスという視点からだが、大英帝国が発展する過程から、帝国に陰りが出て来る第一次大戦前までのヨーロッパ全体を知る上で、この2冊はとても役立つ。
立憲君主制の良さとその難しさもよく分かる。
日本も天皇を頂く立憲君主制といえるが、国民の考え方の違いが見えて面白い。
偶然手に取った2冊だったが、ヨーロッパに興味がある人にとっては必読の書といえるだろう。
オススメです。