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夏帆写真集 帆風だより2006−2011 みんなのレビュー

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紙の本

夏帆ちゃん20歳の集大成。「夏帆ちゃんらしさ」を知り抜いた玄光社だからできた最高の里程標に謝意を捧げたい。

2011/07/19 02:09

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:光森長閑 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 2003年のデビュー以来、8年間彼女を応援し続けてきた私ですから、2011年6月30日という日に夏帆ちゃんが20歳の誕生日を迎えることは当然承知していました。この節目に写真集は発売されるのだろうか、もし発売されるのならどの出版社になるだろうか、希望的観測を含め、いろいろと思いを巡らせていました。
 このたび玄光社から夏帆ちゃんの写真集「~帆風だより 2006-2011~」が発売されました。同社のCM専門誌「CM NOW」の別冊としてです。
 常日頃同誌を愛読してやまず、同誌の別冊も随分本書評で取り上げてきた私とすれば願ったり叶ったりですし、まさしく本望です。
 それだけではなく、同誌と夏帆ちゃんがこれまで紡いできた歩み、そして「相性」というものを考えれば、同社以上に記念の写真集を発売するにふさわしい出版社は思い当たりません。今回の結果となり心から良かったと思います。
 同誌では2006年から夏帆ちゃんの連載が始まりました。当初はインタビュー記事から答えを探り出すクイズ編、2008年からは夏帆ちゃんがいろいろなロケ地へ出かける散歩編となり、現在に至っています。
 この間の連載の総集編というのが本誌の一つの柱です。うまく見やすくまとめられていますから、見逃した人などは必見でしょう。
 また、この間に同誌に掲載されたグラビアも秀逸な物ばかりで、改めて唸らされます。
 本誌のもう一本の柱は、文字どおりの写真集としての顔です。シーン1から3に分け、現在・過去・未来の夏帆ちゃんを撮り下ろしています。
 「現在」ではまさにイメージどおりの夏帆ちゃんをスタジオで撮影、「過去」では夏帆ちゃんの出演作「天然コケッコー」「砂時計」のロケ地となった島根県を訪れています。「未来」では「背伸びをしている感じ」を前面に出したイメージで装っていますが、ナチュラルメーク以外の夏帆ちゃんというのは想像以上に違和感があり、随分冒険した印象です。
 もちろんインタビューに加え、企画も充実しています。夏帆ちゃん自らによる自身のパーツの分析や思い出の逸品の紹介など興味深いものばかりです。なかでも映画「砂時計」の原作者・芦原妃名子さんから贈られたという自筆色紙は、たいへん貴重な物を見せていただいたという気分にさせてくれます。
 写真集としても、企画物としても、2本の柱がしっかりしていますので、非常に安心して楽しんで見ることができます。
 この写真集で来歴を振り返れば、夏帆ちゃんと言えば世に出たきっかけは「三井のリハウス」ですし、明治製菓のCMでは新垣結衣さん、大沢あかねさんと、キヤノンのCMでは山田優さん、蒼井優さんと共演され、話題作にも多く出演しています。そのキャリアはCMと切っても切れない関係にある夏帆ちゃんですから必然的に同誌への登場回数は多くなりますが、その折々に撮り下ろされたグラビアを見ると、雰囲気がほとんど変わっていないことに驚かされます。
 いわゆる子役出身ではなく20歳にして芸歴8年というのは長いほうではあります。ですが、それ以上にこの間浮き沈みがほとんどなく、安定して実績を残していることのほうがはるかにすごいことです。
 確かに夏帆ちゃんと同年代で、大きな実績を挙げている方はいらっしゃいます。ですが、生き馬の目を抜く芸能界ですから、そういた方々には往々にして「押し」の強さ、言い換えれば「アクの強さ」があります。
 反面、年齢を重ねるにつれ、当初の清らかさを維持できなくなり、苦戦される方もいらっしゃいます。
 夏帆ちゃんのように万事控え目な印象でアクの強さがなくても、第一線に立ち続けられた方はあまり思い当たりません。かつ、これほどまでの清らかさを20歳となった今も持ち続けている方はさらに思い当たりません。
 この写真集の最後のページには「未来のわたしへ……」と題して夏帆ちゃん自筆の手紙が掲載されています。全文をご紹介することはできませんが、実に夏帆ちゃんの人柄がうかがわれる文面です。硬くならない言い回しを選び、根底にはお母さんによく言われているという「感謝の気持ちを忘れずに」という思いがあることが理解できます。
 夏帆ちゃんの魅力とは、容姿の清楚さという単なる外見的な要件だけでは決してありません。夏帆ちゃんしか持ちえない純粋性とは、それを支えている夏帆ちゃんの「徳」であり、「強さ」の産物なのではないかと思います。
 夏帆ちゃんのようなタイプの女優さんは決して旗色が良い時代ではありませんが、だからこそこの写真集には一層意味があるはずです。
 変な言い方ですが、高禄を望むよりも、夏帆ちゃんにはいつまでも夏帆ちゃんらしくいていただくことが最大のファンサービスであるように感じます。現にこれまでもそれをし通していただきました。夏帆ちゃんには20代となったこれからも変わらぬ輝きを放ち続けていただけると信じています。そして、高らかにその里程標を記していただいた玄光社には心から感謝の意を捧げます。

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