紙の本
辛辣な勇気ある行動...でもちょっと脱力感が...
2011/11/08 07:49
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「官僚的」という言葉は、「利己的」とか「閉鎖的」「旧態依然」という意味でつかわれることが多い。考えてみれば、自分の住んでいる国を代表して、そのかじ取りをするエリートであるはずなのだけれど(「エリート」という言葉も、ネガティブなイメージがありますわね)、マスメディアのせいなのか、国全体を覆う閉そく感のせいなのか、或いは、「見た目」でダメさがわかる政治家と同一視してしまうせいなのか、自分の利得に目が向いている感じは否めない。
本書は、自分の持っている「官僚」に対してのそんなイメージを増大させる内容だった。「そこまで!?」というものは多くはないけれども、「やっぱり...」という彼らの生態を見せつけられる結果に...本来は「国」「国民」に対して目を向けているべき存在であり、その志を持った人たちが、東大から官僚になるものだと思っていた。人ごとのように言うのは、自分とは無縁の世界であり、到底なれるものではない、と最初から別世界としていたから。ただ、そこにあるのは、利権や出世、安泰、といった「自分」に目を向けている姿しかないようだ。「伏魔殿」と発言して物議をかもした大臣がいたが、この本を読む限りは、言い得て妙、としかいいようがない。
エリートだって、官僚だって人間だから、自分の利益を求めるのはフツーである。聖人、仙人になるべき、とは言わない。中小企業だって、自分の利益だけを追い求めて、本来目をむけるべきお客様にまったく無関心な(無関心ならまだいい。単なる財布と思っている輩も少なくない)経営者もいるだろう。でも、官僚はそうであってはならないよね。だって、税金ですよ。彼らの「サービス」に対しての対価として、民間の自分たちが稼いだ金を捧げているわけで。正しい使い方や、将来を考えた使い方をしていただくなら一向に構わないのですが、なにせ問題は「見えない」ことですね。
政治家なら「選挙」があるので、またメディアの矢面に立つので(メディア報道のやり方の是非は別にして)、いい悪い、ってある程度判断(イメージ)がつく。でも官僚は出てこないからなあ。ヤミの中で何をしているんだか...
とはいえ、深夜まで残業しているというのを聞いたことがあった。たとえそれが政治家の答弁資料の作成であっても(つまり意味のないことであっても)それはそれで「仕事」しているように思っていたが、これとて、本書によれば「虚像」にすぎないようだ。「ポーズ」というのですかね。ワンマン経営の中小企業みたいだ。目を向けている先が完全に誤っていることを分からないのですかね?或いは分かっていても行動できない「縛り」が存在するのでしょうか。
「震災を増税のチャンス」と考えている官僚が存在する、という事実に驚愕です。もはや夢も希望もありません。じゃあ、いち個人として何ができるのか...選挙はないしね。でも政治家センセたちに「改革」してもらうしかないんだろうか...あー行き詰まり感が...
著者は2011年6月の管内閣末期の経済産業省の退職勧奨を受けた一人。唐突な、何の意味があるのか、っていう人事だったけど、なんとなく「オカミ」の思惑も透けて見えたような...
【ことば】「もう何を言っても変わらないさ...」結局、そう思ってあきらめている国民が多いのだろう。選挙の投票率があれほどまでに低いのは、そうした意思の表れなのかもしれない。
これが一番大きな問題かと。「変わる」「変える」と意気込んだ2年前の政権交代が、こうも裏切られてしまった今、「じゃあ、どうしたら?」という気持ちになるのは自明。「公」に頼ることはもはや絶望的なほど、無い。ということです。
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とにかく「あとがき」に古賀さんの決意が詰まっている。一応本が出版された時はまだ経産省に居たはずだが、現役の官僚がああいう文章を書くのだから凄い。これからは著作活動や講演など、メディアで頑張って下さい。
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日本人はやはり力をいれるべきところを間違っているのだ・・・とあらためて自覚させられる書です。内容は平易であり、原因の分析はとてもわかりやすいのですが、提案には稚拙さがあるような感じで残念ながら同意できない。 しかし、とても問題であるということをほんとうに認識させられる本だと思います。
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正直、高級官僚の内幕暴露本かと、興味本位で読んだけど、なるほどと思えることがそれなりにあった。一部だけ切り取ってバッシングネタにするのではなく、全体像を理解しなければならない。この本も、公務員も。
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2011/7/23 Amazonより届く。
2011/8/19〜8/24
仙谷氏との確執で干されてしまい、大臣官房付としてマスコミにも頻繁に登場するようになった古賀氏の著書。
現役改革派の官僚の著書ということで、いかに官僚達が自分達の利益のみを考え、日本の国としての発展を妨げているか、ということが良くわかる。日本で一番頭のいい人達が全力を挙げて、国民をだまそうとしているわけだから、それは並大抵のことでは現在の官僚制を打破することは難しいのだろうな。暗澹たる気持ちになる。が、それはやはり政治家の力の無さなのであろう。古賀氏も最後に提言しているように、真に強い意志を持ち、既得権益にすがる団体と戦い、国を繁栄させ、国民を豊かにしたい、という政治家達の登場を待つ、いや、そういう人物を国民が良くみて、選んでいかないといけないのであろう。震災対策、原発事故対策もろくに進まない今、そろそろ日本人も本気で怒った方が良いのかもしれない。
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東大卒エリートの“アウトロー”官僚が書いた霞が関の実態であるが、文章が東大卒には見えないくらい幼稚に見えてしまった。
理由は官僚は国民目線ではなく、天下りという自分や省庁の利権だけに走るということが延々と書かれていた。ところどころに改革案を示してはいたが、役所批判をチクチクと言い続けている印象が強かった。
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話題の官僚の本ということでやや期待していたが、意外と普通のことを言っている。そんなにセンセーショナルな印象は受けなかった。
公務員制度を中心に様々な問題への対応策を並べており、若干まとまりに欠ける。
課長級以上の幹部が全省的に異動するべきという提言には共感する。
1番印象に残ったのは、年金制度関連の話題。年金制度が開始された時の平均寿命が今よりも短かった点、今の高齢者は収めた額よりも多くの年金をもらっている点など考えさせられる。「働かないで15年くらい面倒を見てもらうという、こんな仕組みが成り立つわけがない」
農家についても良い議論。個別所得補償によって国際競争力が低下すると
総じて、公務員制度改革の話よりも他の話のほうが面白い。
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オビを見ると、つい週刊誌的なセンセーショナルな内容を期待してしまいがちですが、極めてまっとうでよく知られていることばかりですよ。
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改めて古賀茂明氏の腹の据わった考え方に感銘しました。おかれた環境がその人の能力、感性、思想までも変えてしまうことに怖さを覚えます。
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元官僚の方の本だなんて言ったら難しい感じかと思ったけど、内容は凄く読みやすい文章だった。最後の方、読んでて震えた。これは日本国民全員が読んだ方が良い!既得権益にしがみつく官僚の恐ろしさ!古賀さんの義憤が伝わって来て、ホントに震える思いがした。このままで行けば復興支援さえも、官僚の権益拡大のネタなんだって!
古賀さんはテレビではいつも控えめで、他の出演者にさえぎられて全然しゃべらないけど、本では誰にも邪魔されないので、初めて古賀さん1人の言葉を、通しで聞けた気がします。
古賀さんが言いたかったのはこういう事だったんだなぁと。
日本中枢の崩壊も、ハードカバーで重そうだけど絶対読むーーー!!
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本当に日本の事を考えていらっしゃると感じた。
言うことが非常に辛辣だが、的を射ている。日本を救うには、大胆な改革が必要であることは疑いがない。
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民主党批判から脱原子力までと、話が多岐にわたるので賛否両論が出そうですが、古賀氏といえば「公務員制度改革」なので、その点については平易でわかりやすい内容です。
それにしても右肩上がりで、皆で分け前を分配できた(=いい加減なことでも許された)時代は終わったのだとつくづく…。いまだ右肩上がりの古臭い官僚制度の解体は不可避ってことですね。
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改革をしようという気風は大好き。しかもそれを既得権益の恩恵を受けまくる中央省庁キャリア官僚が声を大にして言っているのが、非常に痛快。
全国の公務員の中にも、古賀氏に刺激される人も多くいるだろう。この本の出版は大きな意味を持つ。
しかし、「ちょっと可哀想な人は救わない」というのは、この福祉国家の中ではいかにも世論の反発を受けそうな…。国民ウケ第一の政治家がそんな法案通すわけがない。そういう意味では少し政治的実現性が低いのでは…。
現存の社会システムが崩壊しかかっているからこそ、既得権益を破壊しないと日本に先は無い。
全国の公務員、政治家、そして国民が改革への意識を持たなければ変わらない。
今はもう経産省を辞めてしまった古賀氏。「内部からの改革者」から「外部からの改革者」へなり、今後の活躍に期待される。
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日本の官僚が優秀だなんて、そもそも誰が言ったのか?多分城山三郎の『官僚たちの夏』あたりが出典になっている気がするが、それって40年前の話だ。規制と資源配分をベースにした産業政策で国内産業を保護しつつ大きく育てたが、その成功譚の背景には高度成長があることを忘れてはならない。官僚も企業も、昔は良かった。その昔の良さを忘れられないところに官僚の悲劇があるのだろうし、 本書でも現役キャリア官僚である古賀さん自身が、官僚は日本最高の頭脳集団だなんて幻想に過ぎなかった、と率直に認めている。
本書で迫力があるのは、筆者のライフワークである公務員制度改革。天下り廃止にこぎつけた安倍政権の意気込みと、事業仕分けから先に進めなかった民主党政権。歴史は公平に評価する必要があることが内部告発によりよくわかる。そこまで言える筆者ならば、安倍政権が一年で崩壊した裏側まで、報じて欲しかった。
それ以外は迫力不足の箇所がいくつかある。官僚には専門知識がないという批判の矛先は、残念ながら筆者自身にも向けられるのが公平だろう。例えば長妻大臣の方向性を評価するなら、巷間語られるレベル+αの評価で満足しないで、大臣の主張を詳細に検討していればもっと面白くなったのだろうし、不用意に財政の話を持ち出したりしたことで折角の主張が「素人臭く」なってしまった気がする。
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官僚の体質について一気に読むことが出来た。ベストセラーの「日本中枢の崩壊」をすぐにでも読みたい。それにしても2006年に大腸がんの手術を受けられていたとは衝撃でした、1955年生まれなので51歳頃か。実は私は1952年生まれですが、2011年3月11日まさに東日本震災の起きた最中に同じ大腸がんの手術を行い、肝臓に転移しているため現在、抗がん剤治療を行っております。大腸がんが「つなみ」で、転移が「原子発事故」に当たる訳で早く原発事故終息するように願って私の転移も早く終息すべく現在前向きに治療致しております。