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本書を一言で言い表すなら、人々の意思決定にはアイデンティティが大きく関わっているので、経済学にもアイデンティティという概念を取り入れましょう、ということ。訳者解説にもある通り、仮定と結論が同じ(アイデンティティが関わっていると仮定→色々な調査を実施→やっぱりアイデンティティが人々の決定に影響を及ぼしている)ことが、物足りなさを感じさせる。
最近は行動経済学が流行っているが、もしかしたらアイデンティティ経済学も何年後かには経済学の一つの分野として確立される…かも?
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人は自信のアイデンティティによって意思決定する.だからアイデンティティから経済学を考えてみよう.
本書で紹介されているアイデンティティは教育環境,性別,学歴など.それらが関係してどういう考えを持っているかを示していた.アイデンティティから生まれた考え方は主に労働に関するものであったので経済というよりも経営の方がしっくりくるのではないかとも思う(本書の場合)
ただそういう観点からも意思決定の違いがあるということがわかってよかった
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日経書評 ノーベル賞受賞者の経済学者とエスノグラファーによる共同研究の成果。かつては、高所得の男性と結婚した女性は仕事を続ける可能性が低下したが、最近は、報酬を目的とせず、どういう人生をおくりたいかというアイデンティティから働くか否かを決断していると指摘。
この社会的動向を洞察するに限らず、経済分析にこのアイディンティティの認識がどう作用しているかを加えているのが、共同作業である本著の特徴。
働く人々が自分自身をインサイダーと認識しているか、アウトサイダーと認識しているかという、自己認識の違いが、生産性向上に決定的な影響をもった例が紹介されている。
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プライス・ウォーターハウス対ホプキンス裁判の判決にキャッチ22状況が出て来るところがアメリカらしい。つかみはよし。読む気になる。
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レビューはブログにて
http://ameblo.jp/w92-3/entry-11074959944.html
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訳者によれば、アイデンティティ経済学の発達は妄想だという。しかし行動経済学の興隆のなか、あり得ないこともないらしい。アイデンティティ経済学というものが確立してほしい。面白そう。
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本書は経済学にアイデンティティを組み込んだ新しい経済学の入門書である。
いわゆるsocial normの話で、アイデンティティや社会規範を効用関数に入れたらどうなるかということを、直観に訴えやすい形で事例(例えば組織、教育、人種差別など)を用いながら解説している。
従来の経済学では語られることの無かった具体的な人間の属性をアイデンティティという概念を用いて具現化し、周りの環境を(ここでは)社会規範として、効用関数の内生変数として表している。応用例には、プリンシパル・エージェント問題を主に使用し、その中で上記の効用関数を用いて表している。
本書でとりあげているこの「アイデンティティ経済学」は、今まで経済学の中で説明されてくることの無かった部分を明らかにするという点で、(行動経済学と同様)評価できる。
一点気になる点を上げるならば、本書は行動経済学とは違い社会規範やアイデンティティを取り扱っているという指摘があったが、行動経済学は言わば効用関数の見直しを例えば実験経済学等のいくつかの手法を用いて行おうという試みであり、そうして具現化された各々の効用関数をaggregateすればそれらは当然social normとなり、ひいてはアイデンティティを形成するという考え方も可能である。そのためこの「アイデンティティ経済学」も、ひとつの行動経済学と見なすことはできるのではないだろうか。このロジックを指示するものとして、アレシナの「fairness and redistribution」の研究があるが、これは人々の公平感が再分配にどう影響するかという行動経済学の見地からの研究であるが、これはまさしくsocial normに通ずるものである。従って「アイデンティティ経済学」も行動経済学の一派と見なす方が自然なように思われる。
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金銭の損得では説明のつかない意思決定について、アイデンティの要素を取り込んで理解しよう、平たく述べるととそういう内容です。
訳者のあとがきにもありますが、なぜビジネスマンは真夏にもスーツをはおりネクタイを締めるか、それはビジネスマンとしてのアイデンティティ効用を満たすため、仕事の効率とトレードオフして、と説明される訳です。
個人的には「労働インセンティブのアイデンティティモデル」という項が興味深かったです。
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経済学にアイデンティティの要素を取り込んで理論としてまとめた本。分析のフレームワークとして性差別や人種差別、教育などを取り入れているのですが常識の範囲を超えていない、直感や経験でわかるような気がするのは学生の頃レモン市場を習ったときも感じました。
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従来の経済学に、人種や性別、国籍、所得階級といった個人のアイデンティティを取り入れて理論化した経済学の入門書。一般人向けのためか難しい数式は一切出てこない。行動経済学に続き、より現実の経済活動を分析する上では面白い考え方。最初に登場したのは10年前らしい。
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自己認識を組み込んだ新しいモデルを構築する(帯から)
旧来型のモデルでは説明しきれなかった事象も自己認識を組み込んだモデルだとスッキリ解説
そんな話なんだがざっくりと読んだだけでは説明しやすいようなモデルを作っただけだよねって感想。仮定と結論が同じ。
訳者解説によると筆者たちもそのへんは認識しているらしく、弁解としてそういうことを想定したことが重要なことらしい。
非金銭的なインセンティブの1つとして「アイデンティティ」に注目するのは面白い考え方と思うし話の内容も腑に落ちるんだが、それで?って話で終わる印象。
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俺たちはこう考えるけど、会社はいつもこうだからよ、と「俺たち」と「会社」を切り離して語る部長がいた。
自分はそれに違和感を感じて共感できなかったのだけど、「インサイダー」と「アウトサイダー」の分類で腑に落ちた。
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行動経済学の分家というか新しい発展系。
経済学で使われる「効用」に、アイデンティティの概念__「アイデンティティ効用」__を入れると経済学がどのように見えるのか、というお話。
テーマ自体は非常に面白い。経済学の名前が付いているが、数学は一切出てこない。
しかし、もう一つ、という感じ。
確かに、人の行動とアイデンティティには大きな関係があることは確かだ。問題は、それをどう規定するか、というところ。
アイデンティティとは一体なんで、それがどのように形成されるのか、また複数のアイデンティティが存在する場合、表に出てくるアイデンティティは何なのか、という事が掘り下げられれば、アイデンティティ経済学も現実的な応用ができるのだろう。
本書で提示されているビジネスケースでの実用は、ドラッカーが組織について提示していたことと通じる。そこに数字的裏付けが付くか、つかないかという差でしかないような気がする。