紙の本
堂々たるデビュー作
2023/02/26 23:51
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投稿者:yino - この投稿者のレビュー一覧を見る
エラリー・クイーンのデビュー作。劇場内にて起こった殺人に、警視である父親、小説家である息子のクイーン親子が挑む。「なぜ現場に被害者の帽子が見つからないのか」を追及することでロジカルに真実に到達しようとする点が読み応え抜群ですが、クイーン親子の人物像も魅力的。有栖川有栖氏の解説も素晴らしい。
紙の本
見取り図はテンション上がります。
2022/11/04 07:04
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投稿者:まんだかず - この投稿者のレビュー一覧を見る
劇場で起こる殺人事件。被害者は殺されても仕方がないクズ。
劇場の見取り図にテンションがあがります。
警察のクイーン警視、その息子のエラリー・クイーンが
難事件に挑みます。
仲の良い親子関係がほほえましい。
記念すべき「読者への挑戦状」という読者への犯人捜し。
物語はおもしろいです。しかし、論理的か?と言われればよくわからない。
紙の本
国名シリーズ第一弾!
2022/02/23 21:09
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投稿者:藍花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
帽子は何処へ消えたのか?というシンプルな謎から犯人を絞りこんでいくロジックは見事でした!クイーン父子の会話も楽しい。
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緻密にして精緻。驚嘆した。
殺人は冒頭の一件のみ。
それでも最後まで飽きさせず、解決まで引っ張る力量は流石。
一番犯行が無理な登場人物を犯人に設定して、そこから論理的に破綻なく物語を紡ぎ出した驚異的な逆算の作話。
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「Lipstick」の日本語訳は、「棒紅」から「口紅」へ。
自分が持っているのが1960年度版なので、翻訳がどれくらい違っているかを確認するために購入。冒頭はその一例。
この程度の変化は予想していたけれど、ジューナの説明が「新人類」になっていたのにはちょっと紅茶をふきかけた(笑) ええええええー?
海外ミステリーの中でも、この一冊は、個人的に非常に思い入れが深かったりする。内容やトリックがというのではない、邪道な観点からで申し訳ないのだけれど、作中、重要参考人に目された貴族の令嬢のハンドバッグの中身をリストにした際の一文、
「……という名前を、きれいに銅版刷にした数枚の名刺、二枚残ったレースのハンカチ、白粉をいっぱいにつめたヴァニティー・ケース……」
これが子どもの私には、ものすごくひっかかっていたのだ。
「二枚【残った】レースのハンカチ」って、どういうこと? ハンカチって「残す」ようなものなの? それも「数枚持っている」って、どういうことなの?
この疑問が氷解するのは十数年たってから、つまり大人になって、友達の影響で西洋骨董に興味を持つようになってからのことだったのだけど―――
(当時、上流階級の女性は名刺代わりに、瀟洒な刺繍をみっちりとしたレースのハンカチを数枚持つのが普通であった。
→こんなの http://www.angelcollection.jp/favohome/favo21.htm
これらのハンカチは洗うことが出来なかったため、基本、使い捨てとなる、と。アンティークレースのバイヤーさんに教えていただきました。つまり作中の令嬢の所属階級と裕福さが、この描写から説明されているわけです)
その時代背景をひもとくことによって、はじめて見えてくるものがある。
そんな、タイムスリップ的な読書の楽しさを教えてくれたのが、この一冊だった、ということで。
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新訳ということで数十年ぶりに再読。旧訳版の記憶がかなり飛んでいるのでどこがどう変わっているのか確認はしていませんが、1920年代の古き良き時代の空気感を残しつつ、言い回しや用語など読みやすくしているんじゃないですかね。すいすい読めました。
エラリーとお父さんのラブっぷりが良い感じです。エラリーが思いのほか大人しい印象なのは1作目だからか。
なにはともあれ、やっぱりクイーン作品は大好きです。来年のフランス白粉の新訳も楽しみです。
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初、エラリー・クイーン作品である。
いとこ同士の共作ということも初めて知った。そして、探偵がエラリー・クイーンという名前なのも…
と、古典名作であるにも関わらず、初めてづくしの作品だった。
しかし、普段翻訳物を読み慣れていないせいか、単に日常生活が忙しかったからか、読み終えるまでにひと月もかかってしまった。長かった…。
エラリー・クイーン(作者)は、読者に挑戦を投げかける。
なるほど、堂々と小説であることを楽しむものなのだと感じる。
父は警視、息子は小説家のクイーン。息子の能力を絶賛する父が良かった。
現場から消えた帽子は一体どこへ。
一見単純な問題に見えるかもしれないが、謎は全てここにある。
順序を追って考えられていく論理的な推理。どんな小さな出来事でも、可能性を追及していく。そうして見えてくる真実。
もちろん、自分には犯人は分からなかったが。
エラリーの推理を聞いていくと、なるほどこれ以外には考えられなかったのに、と感嘆させられる不思議。
個人的には、解説の有栖川有栖氏のミステリ論とも言えるべき話を、もっと聞いてみたかった。
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エラリイ・クイーンの国名シリーズ一作目。確かデビュー作だったかな。ぶっちゃけ内容覚えてないんですよ。
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エラリー・クイーン・シリーズ
弁護士モンティー・フィールド殺人事件。ローマ劇場で毒殺されたモンティ・フィールド。現場から消えた被害者の帽子。強請屋である被害者のシルクハットに隠された秘密。劇場に招待されていたモンティー・フィールドの元共同経営者ベンジャミン・モーガン。モンティー・フィールドに強請られていたベンジャミン・モーガン。被害者のポケットにあった小物入れの持ち主フランシス・アイヴィス・ホープ。彼女の婚約者で役者のスティーブン・バリー。モンティー・フィールドの強請りのネタの隠し場所。
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国名シリーズ第一巻
少し公平さに欠いた気がするものの、初の読者への挑戦状つきなんだから文句は言えない
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本格ミステリの巨匠クイーン、颯爽と登場
“読者への挑戦状”を掲げたデビュー長編
ローマ劇場、上演中の毒殺事件
遺体のそばから消えた帽子(シルクハット)の謎
エラリー・クイーンのデビュー作にして、
リチャード警視と推理小説作家エラリーのクイーン父子が難事件に挑む、
「国名」シリーズの第1弾。
その魅力は解説の有栖川有栖氏が述べている通り、論理にこだわりぬいた作風だ。
「クイーンが選んだ探偵法は、ヴァン・ダインの対極と言える。つまり、論理的思考を尽くして、唯一無二の解答に至るというものだった。
そこには、不確かで移ろいやすい人間の心理=感情が入り込む余地がない。
そんなものは捨象して、人間にはプログラムされたコンピュータのごとく論理的=合理的に動く側面があることを認め、そこから推理を巡らせるのである。」
完全には同意できないものの、その論理の詰め方には、やはり唸らされる。
と同時にそこまで検証もしなければならないのねと、実作者に対する同情心のようなものまで芽生えてくる。
この作品は「なぜ犯行現場から被害者の帽子がなくなっていたのか?」というシンプルな問いが柱となっているが、
その謎がもやもやした霧のように不気味にずっとつきまとう。
冗長感があるものの、これぞクイーンと思わせられる傑作です。
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エラリー・クイーンどころか、本格ミステリーに足を踏み入れるのも初めてですが、新訳で、装丁もなかなか好みだったので思いきって一歩踏み出してみました。
結果、読むのにけっこうな時間を要することになるのですが。
冒頭と、そして半ばに読者に語りかけてくるのが、「挑戦状」っぽくて良いです。
登場人物のリストや殺人現場の見取り図なども冒頭に用意してあって、つまり事前に容疑者リストと犯行方法を考えるヒントが与えられているということで、エラリー・クイーンの小説が、物語よりも推理に遥かに比重を傾けていることが窺えます。
で、肝心の内容ですが、案の定というか、自力では犯人特定には至らず。消去法で絞り込むところまではいったのですが、途中でエラリーが漏らす何気ないようで重要なヒントを軽く流して、あとで見直して「あ」ということ数回……。
観察眼を養えってことですかね。
人物によって作中の注目度も違い、そこはもうちょっと説明しようよ!と後になって突っ込みたくなる部分もあります。徹底した推理は確かにすごいのかもしれないですが、挑戦受けて立っている読者からすると若干のブーイングもやむを得ないのかも。
でも少なくとも、最後まで容疑者の人と、容疑者から外せる人は薄々と分かりますよね。「挑戦」なのだから意外性を狙ってくるはずであって、王道パターンは省かれる、という具合で。
そして探偵役となるエラリーとリチャード・クイーン親子。
父親のクイーン警視(リチャード)の性格が捉えどころなさすぎて不気味で、それでいてエラリーいないとただの弱々しいお爺ちゃんになってしまったり、読んでいてちょっと疲れます。
一方のエラリー(作中でも作家)は、ちょっと浮世離れした感じで古典のセリフを叫んでいたりするマイペースな本の虫。
現実的で行動の人で熱しやすい父親と、そのサポート役で、冷静に頭で考えるタイプのエラリーのバランスは絶対的な安定感。
あとは、タバコの種類が異様に豊富だったり、当時の文化的背景も随所に出てくるので、なかなか勉強になります。
帽子の謎、ということで、当時のファッション事情もけっこう出てきたりして。
なんだかんだで、最後まで面白く読んでいたのでした。
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図書館で借りました。
ああ、こいつが犯人だと思ったのよね、と最後の謎解き辺りで思うのがこの頃の自分の悪い癖だなあと思いました。昔は劇場で観劇する際、紳士は皆シルクハットを被ったんだなあ…と時代を感じながら読みました。
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とても読みやすい新訳だった。私は高校生の頃(まだ文庫で翻訳モノをほとんど読んだことがない頃)、『Xの悲劇』に挑戦して「???」となり、挫折して以来、クイーンを読んでいなかったのである。
その訳が悪かったのか否かは今となっては不明だが、読んで「さっぱり意味がわからない。これ、日本語か?」と思ったことは覚えている。今になってわかる訳の重要さ。
さて、肝心の内容であるが、とても面白かった。
もってまわった推理にあまり共感できない動機、長い捜査・・・と全体的にやや冗長な印象も受けたものの、「謎解き」の醍醐味が味わい深く、またキャラクターがみなキビキビしており、物語を引っ張ってくれた。
なるほどエラリーの推理は演繹に演繹を重ね、論理に論理をかけたものであり、考えると頭が痛くなってきそうだ。しかし、それほどまでに偶然を排除し、考察を重ね、可能性を突き詰めていくことで得られる「ロジック」には大いに説得力を感じ、またそれこそが本作の読みどころであると思った。
シンプルにして唯一の答えを得るための、想像力無限のロジック探求。なるほど美しいミステリーである。
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クイーンの国名シリーズ第1作目にしてデビュー作の新訳版。
高校時代国名シリーズに出会ってクイーンにはまり、クイーンはそれなりに読んできたが基本的に学校で借りて読んでいたので本棚に入っているのはほんの数冊しかない。そのなかの一冊がこれだが、新訳プラス有栖川有栖氏の解説につられて去年買ったきり積ん読かれていた。で、二作目の「フランス白粉の謎」が出たらしいという情報を後れ馳せながらキャッチしてようやっと手にしてみた。結果、犯人はなんとなくおぼえていたものの、大満足の本格ミステリという認識にはいささかもヒビが入らなかった。まあ、クイーンには(も)思い入れがかなり強いので★は甘いかもしれないがそんなことはかまやしない。
とまあそれはともかく。
角川からも国名シリーズが出てるみたいなのだけれど、あっちはどうなんだろう? あっちの訳は越前敏弥氏が共訳になってるみたいだから気になるんだ。越前氏は「ダ・ヴィンチコード」の訳の人だから、読みやすいんじゃなかろうかとクイーンではちょっと苦手なレーンシリーズもやっぱり角川から新訳で出されているし、それもまたすっかり忘れていたが気になってたんだった。
まあそれより、国名シリーズ第2弾が先かな? フランス白粉の謎ってどういう話だったか今のところまったく思い出せてないし次も楽しみだが、年一冊だとラストまで十年は追っかけろってことか?
あ、そういえば。
レーンシリーズで思い出したが、本作「ローマ帽子の謎」のなかにバーナビー・ロスの名前が出ていてちょっとびっくりした。当然、高校時代にはまったく気づいていなかった。さすがクイーン。