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「ゲド戦記」の著者によるいろんな機会に行った講演、スピーチを集めたもの。わかりやすくて、彼女の作品世界への入門書としても読める。それよりも、あっと驚くおまけがついている。これがなかなかユーモラスでよい。
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古今東西のファンタジーを挙げて論評しつつ、ファンタジーの効用と役割について語る。
ファンタジーは小さな子どものためのものだと文学の括りから外して語ろうとする世の批評家を、バッサリ斬っている。以前に「夜の言葉」のほうを読んである程度女史の辛口に耐性がついていたので、今度は平静な心持ちで読めた。
恥ずかしながら、挙げられているファンタジ‐作品に知らないタイトルが多数あったため、あまりぴんとこない箇所もあったけれど(これは自分の勉強不足の問題)、動物たちを描く小説に対する考察など、興味深かった。読んでみたいタイトルがいくつかあったのであとでチェックするつもりだけれど、邦訳されているといいなあ。
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『ゲド戦記』作者の評論集を翻訳したものです。講演も含まれます。ファンタジーは子供だけのものではないと強調しているのが印象的でした。私自身、ファンタジーの日本での扱われ方に疑問を感じており、これを読んで少し勇気をもらったように思います。物語を「紡ぎ、語る」ことの大切さを、あらためて噛みしめました。
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21ページに引用されているシルヴィア・タウンゼンド・ウォーナーの詩は、一見はっとさせられるが、誰もが共感し得る2面性を持っているように感じる。
現実は小説よりも奇なり、というが小説(とりわけ動物物語についての考察があるが)は現実よりもリアリズムが要求される。調査書・レポートから課題を読み取り、未来を設計する力は場数によってある程度身に付く。しかし、現実を思い通りに出来ない以上、ファンタジーによる想像する力・イメージさせる力は決して蔑ろにすべきではない。
「メッセージについてのメッセージ」を読んでいて、全てに意図と理由を求める人に対して感じていたモヤモヤの理由が分かった気がする。
あと、個人的に江戸川乱歩の小説観(?)をふと思い出した。小説と現実を混同することは小説を書かない人の言葉といえるのではないかと思う。
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魔法を使っていい。
ドラゴンだって存在していい。
動物と話をしてもいい。
物語になってさえいればね。
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ファンタジーと言うと魔法使いや竜などが出てきて戦う空想だけの世界というイメージが強い。しかしこの本を読み進めるとファンタジーとは、善と悪の戦いを描くだけでなく善と悪の違いがわかる方法を教えてくれる貴重な宝物かも知れないと感じさせてくれる。
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確かに私も含めミステリ好きは掃いて捨てるほどいるけれど、まず最初にファンタジー好きと言う人は少ないかもしれない。日本ではアニメやゲームのおかげでもっと身近な存在だとは思うけれど。メッセージを伝えるために作品を作っているのではない、と仰られていたのが刺さった。そりゃそうですよね。「作者が何が言いたいのかわからない」「作者がこのセリフで伝えたかったこと」などの声は何か違うと感じていたので。『ゲド戦記』読まねば。