紙の本
緩やかに変わる心
2015/08/27 10:55
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
三並英太は高校生にして人生に熱を失っていた。その理由のひとつは彼の家にいる。兄・景介の彼女である有美だ。英太が小学生のころから家に出入りしていた彼女に密かに恋をし、そしてその時点から失恋をしていた。そんな経験が、彼から熱を奪ってしまったのだと思う。
そんな英太が図書委員をやっている理由、それは図書委員が一番楽だからだ。クラブ活動が義務付けられている学校で、図書委員をやっていればクラブに入らなくてもよい。そして図書委員は、週二回の窓口業務をこなせば良かった。
図書委員における彼のパートナーの東雲侑子は、いつも黙々と本を読んでいる。窓口でも、教室でも、帰宅時の路上でもだ。ある日、英太は彼女が西園幽子という名前で小説家デビューしていることを知る。
英太があるお願いをしたことから、その見返りに、彼女の取材活動の一環として付き合っているふりをすることになった。一緒に帰ったり、デートに行ったり、家に遊びに呼んだりしているうちに、彼は自分の心が変化していることに気づく。これまで無意識に避けていた有美に、普通に接しられる様になったのだ。
激しく何かが変化するのではなく、静かに、密やかに、自分でも気づかない間に変化していく心が物語の中心にある。その変化を、章ごとに差し込まれる西園幽子の短編「ロミエマリガナの開かれた世界」が表現している。
英太が侑子に魅かれるのは分からなくもないが、一方で侑子が英太に魅かれる理由が今のところ明らかになっていない気がする。そのあたりをフォローしつつ、次巻を楽しみにしたい。
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派手さはかけらもない、事件なんて起きない、ただひたすらに純度の高いボーイ・ミーツ・ガール。
友達というほど親しいわけでもなく、他人というほど無関係というわけでもない。クラスメート、そして図書委員会の同僚。
この淡い関係、距離感の少年と少女が少しずつ互いを認識していく、その日々の描写がたまらなく愛おしい。
物語に寄り添うようにそっと挿し込まれる作中作『ロミエマリガナの開かれた世界』もなかなかに意味深で、ちゃんと目を通しておくと後半じわじわと響いてくる。
で、東雲侑子は短編小説をあいしている。~その後のハナシ~はいつ出るのさ?
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凄く普通の恋愛小説だった。
FBonlineで最後まで読んだら、「続きは本で。」って言われたので馬鹿正直に購入。そもそもアレ全部読んでる人少ないだろうし、どうせなら釣られてみようかと。
恋愛小説とかあまり読まないんだけど、たまにはいいんじゃないかと思った。
東雲が要所要所やけにあざといのは、読んだ恋愛小説を参考に振舞っているからかな。ロミエマリガナ?にも真似してみたって記述あったし。
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素晴らしいお話だった。
主人公の有美への、そして本への向き合い方の変化が丁寧に書かれている、よく出来た青春小説だと思う。
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これぞ甘酸っぱい青春、もどかしくもステキなラブストーリーでした。ドストライクでした。たまにこういう何の飾りもない、混じりけ無しの話を読むと胸がキュンキュンしますね。こんないい青春や恋してみたかったものです(苦笑)続きが読みたいというより、寧ろコレはここで終わってくれるほうが綺麗かも。それでももし続巻出たらもちろん買うでしょうが(笑)
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もどかしく甘酸っぱいストーリーでした。
東雲の心情がまったくわからない状態だったので、私も三並と一緒に手探り状態でした。
最後まで、東雲の気持が憶測でしかわからず、二人の今後が気になります。
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ビンゴさん新作書いてたみたい。
始末網以来、俺的に当たりがないのだが、
今回のは純恋愛モノで評価も高めみたいなので期待。
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んー甘酸っぱい!
手の感触とかにどぎまぎしたり、初々しい二人が微笑ましくて、もどかしくて、可愛い。
森橋先生と言えば心理描写が巧みなイメージがありますが、今作もそれは健在でした。主人公の一人称で話は進められていくのですが、ヒロインの心理描写も合間合間でうまく表現されています。
挿絵もとても可愛いです。
東雲に萌えた人はきっと多いのではないでしょうか。
続きが出ているようなのでそちらも読みたいです。
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久々にまったりした感じで読めた作品。全体的に単調な内容だが登場人物達の雰囲気にあっていて、それがよかったと思う。
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物語に入りやすいよう主人公(男)は平凡なキャラというのが多々ありますが、その意味では感情移入度高めでかなりの「ビンゴ」でした。 微妙な距離で揺れる二人の関係がたまらない!
しっとり淡々とした雰囲気の中にもどかしさとじれったさがあるこの作品。 奇抜な設定や派手さはないけれど、こういう純粋なラブストーリーも大好きです。
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2011 11/7読了。WonderGooで購入。
馴染みのラノベ書評ブログで絶賛されていたので買ってみた本。
兄の彼女へ幼い頃に抱いた恋心とその終わりから、何事にも無気力になっている主人公と、短編小説しか書かない作家の少女が、長編恋愛小説の「取材」のために付き合う話。
ヒロインの東雲侑子はいつから主人公のことが好きだったんだろうとか、どんな気持ちで短編を書いたんだろうとか、その短編の結末が悲劇になってないことはどう捉えたらいいのかなとか、なんで飛び道具を繰りだそうとしたんだろうとか、いろいろ想像が巡らせられる、恋愛小説。
ラノベレーベルだけど特に奇抜な設定とかはないです。それがいい。
あと主人公の兄とその彼女もいいキャラしてるので、そっちも気になるね。なんで兄はこんなリアクション薄いの、とか。
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本屋に行ったときにたまたま見つけて、裏表紙のあらすじを読んで面白そうだと思ったので買ってみた本。
部活に入らなくて済むから、なんて理由で図書委員になった無気力な主人公、三並英太が、クラスメイトで同じ図書委員であり、作家である東雲侑子に長編の恋愛小説を書くための取材として付き合って欲しいと言われて協力する話。
これといってすごい事件が起こるわけでもないのだが、そのぶん読みやすくてどんどん読み進められた。全体の雰囲気が良かったし、英太と東雲のやり取りなんかが結構面白かったと思う。
主な登場人物も4人ぐらいと少なめなのも、その分1人1人が丁寧に書かれるので良かったと思う。
続きが出るらしいので読みたいな。
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ひさびさに良いもの読ませもらいました。
ちょっとずつ近づく二人の関係とか、関係が曖昧だからこそそこに不安を感じたりとか……
最高!
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ええいもどかしい!←ニヤニヤしながらこれが出る時はだいたい上質な青春恋愛モノw 序盤に義理の姉のNTR(ryとか思った自分の首絞めたいほんとうにw
主人公の主観以外で東雲の心情がわかりづらいのも、章ごとの東雲の短編小説を際立たせてくれてる。お話に引き込まれて一気に読んじゃった。2巻が手元にあるのが楽しみw
あと、Nardackさんの表紙絵が麗しすぎる。
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設定がぶっとんでいないラノベを読みたくて、試読の末購入。英太の心理描写にうんうんと頷きながら読み進めていった。侑子と景介のやりとりが英太にとって不安の種にしかならなかったことや、侑子が有美のようになれるかなと言った描写など、もし自分の立場であれば英太と全く同じことを思っていただろう。しかも、英太は有美が好きだった経緯があるわけだし、なおさらだ。そして、最後の多分恋人同士という距離感はそれこそ愛い愛いしく、好感が持てた。