紙の本
子規は宇宙人
2011/10/21 08:12
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
子規は宇宙人だ。
わずか34歳という短い生涯ながら、しかも後半生はわずか六尺の狭い空間に仰臥しながら、俳句革新、新しい日本語の創造など膨大な業績を残した。それはまるで宇宙の広大なエネルギーを集約したかのごとくである。
それに、死後百年以上経ちながら、その本が続々と出版されるという現象はまるでけっして消滅しない生命体のごとくなのだ。
明治という時代に子規のような人物が現れたこと自体、奇跡だ。
子規は生前二万四千ほどの俳句を詠んだという。本書はその中から「おかしみの強い句、笑える句」を広告コラムニストでもあり松山市立子規記念博物館名誉館長でもある天野祐吉さんが厳選し、それに南伸坊さんが軽妙な絵を描いた、俳句本である。
子規の代表的な俳句のひとつに「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」があるが、柿が大好物だったという子規の満足そうな表紙装画を見るだけで、本書全体が持っている雰囲気がわかる。
紹介されている「笑える句」でお気に入りは読者それぞれが持てばいいが、私の好みはごく普段の会話がそのまま俳句になった「毎年よ彼岸の入に寒いのは」であったり、「ツクツクボーシツクツボーシバカリナリ」といった句だ。
前者は子規の母親のつぶやきが原型だそうだが、布団にふせながら、ほくそ笑む子規の顔が浮かぶようであり、後者はカタカナ表記が蝉のうるさい鳴き声をうまくとらえている。
これから俳句をはじめたいと思っている人には、俳句の持つ妙味を実感できる入門書になるだろう。俳句をかじった人には、あらためて俳句の原石を味わえる一冊だろう。
こういう俳句をよむと、ますます子規が不思議でならなくなる。
投稿元:
レビューを見る
「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」という句は有名です。
正岡子規は二万四千もの俳句を作ったのですね。
句に付けられた天野祐吉氏の短文にもほっこりさせられます。
投稿元:
レビューを見る
私の好きな句
えらいひとに なったそうなと 夕涼
・・・いい脱力感ですね~♪こう
ありたいもんです。
極楽は 赤い蓮に 女かな
・・・語るまでもなし!!!!
投稿元:
レビューを見る
子規さんは教科書に載っているのや、有名な句しか知らなかったのでこの句集は新鮮でした。彼のユーモアに惚れますね!
投稿元:
レビューを見る
子規記念博物館の名誉館長になった天野祐吉氏が、博物館前に毎月掲げた俳句を中心に、有名なものばかりでなく、おかしみを感じられる俳句を選んでまとめ、イラストレーターの南伸坊氏の挿絵とともにまとめられた本書。
子規というと、有名な句のいくつかや、野球の名付け親(厳密には違うらしいが)だとか、脊椎カリエスで苦しんだとか、そのあたりのことしか知らないが、実に二万四千もの句をつくり、そのなかにはユーモアのある俳句も結構含まれているのだとか。そもそも俳句の「俳」の字には「おどけ」「たわむれ」の意味があるのだそうだ。へ~知らなかった。
何気ない日常の一こまを切りとって描き出して見せる時、わずか17文字の小さな世界の中に、言葉ではない何かが滲み出て文字のむこうに別の世界が見えてくる、そんな見事な手腕を堪能させてもらった。
南伸坊さんのほのぼのとしたイラストもすこぶる良い。句に添えられた天野さんの勝手な書き付け(ご本人いわく)も楽しい。
時節柄、この句になんだかほっとした。だからって、安心してちゃだめか!
「大三十日(おおみそか)愚なり元日猶(なお)愚也」
投稿元:
レビューを見る
子規の俳句といったら、「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」と「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな」くらいしか知りませんでした。
この一冊、天野祐吉さんの選で南伸坊の挿絵がとても良い雰囲気。こんなに個性的な俳句を沢山書いていたなんて、素敵!!
投稿元:
レビューを見る
国語の教科書に載っている正岡子規を思い浮かべるとこの本は面白くないかも。でも、坂の上の雲に出てくる”のぼさん”をイメージするとこんなにしっくりくる本はないかも。
「柿くえば~」に代表されるように写生的な俳句が多いが、悪く言えば小学生のに近い。でも、なんというか俳句として美しさもあるし、洗練されている気がする。
俳句って嫌いだったけど、この本読んで好きになったかも。
投稿元:
レビューを見る
私の大好きな俳人、正岡子規の句集。子規の俳句の後の一言がユニークで、、また南伸坊さんのイラストがとても愛嬌がありました。
子規は短い生涯だったけど、たくさんの俳句を残してくれました。お気に入りの句もあったので書き写しました。
一番お気に入りのが
ツクツクボーシツクツクボーシバカリナリ
笑っちゃいました。不治の病を抱えながら前向きでひたむきな句を作ってくれた子規。尊敬します。
松山にある子規記念博物館には訪れてみたいです。
投稿元:
レビューを見る
おかしみの正岡子規ってのもまた一興。でも「坂の上の雲」で見た子規の最期を思うと、おかしみの中に潜む哀しみが見えてきて少々切ない。
投稿元:
レビューを見る
南伸坊さんのゆる~~いイラストと、天野祐吉さんの解釈(前書きでは句解では無い、勝手な書きつけであると仰って居ますが、多分大体合ってるような…)が、絶妙。正岡子規はじめての人には入門書として、もとより大好き!って云う方にも改めて共感を得られるような素敵な一冊でした。
もう少しボリュームが有ったらなあ、と欲張ってみたり。
投稿元:
レビューを見る
天野祐吉さんと南伸坊さんのコンビ、
贅沢な本を楽しんだ。
南伸坊さんの絵の味のあること、
もうひれ伏したい気持ちになる。
投稿元:
レビューを見る
正岡子規の俳句の中から、天野祐吉さんがおかしみの強い句、笑える句を選りすぐって、句解ならぬ「それぞれの句から思い浮かんだあれこれ」を書きつけたという一冊。確かに子規にはユーモアのセンスがあると思うけれど、天野さんの「あれこれ」がそれを上回るほど粋なんだな。南伸坊さんの挿絵も絶妙で、思わずニヤリとしてしまう。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りた本。
イラストレーションも、いい感じ。
俳句と言う入り口に、正岡子規さんを、身近に感じる事ができる。
投稿元:
レビューを見る
鐘つけば銀杏散るなり建長寺(漱石) この数ヶ月後、柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺(子規) 「笑う子規」、2011.9発行。 ①めでたさも一茶位や雑煮餅 ②毎年よ彼岸の入に寒いのは ③行水や美人住みける裏長屋 ④秋の蚊のよろよろと来て人を刺す ⑤家にまつ女房もなし冬の風