紙の本
選者のコメントで「生きたもの」として立ちあがる日本のベストコピー500点。泣けた!
2012/01/26 08:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月乃春水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ま・さ・かこの本を読んで泣くとは…まったくの想定外でした。
戦後六〇余年の「日本のコピーベスト」500点。
選者は日本を代表するコピーライター、CMプランナー、クリエイティブディレクター10名。
コピーには、誰がどの会社の何の広告に対して拵えたものか、というデータはもちろん、ベスト10には選者全員、ベスト100には一人のコメントがついています。
ベスト10に関しては、実物の広告写真やイラスト、テレビコマーシャルの場合は3つの画面が掲載されています。
わたしは昭和の終わりの二〇年が生まれてからの二〇年に重なるのですが、ここに掲載されたコピーにはほとんどリアルタイムで接したか、少し前の時代のものとして見覚え、聞き覚えがあります。
読み進めていくうちに、あぁ!知ってる、なつかしい、そうだ、あったね…などと思いつつ、気づいたら泣いていました。
…なんだろう、これは。ノスタルジーとはちょっとちがう。ことばの力?
なにかに揺り動かされたのはたしかなのだけれど…
いろいろと理由を考えてみましたが、よくわからない。泣くことに理由なんてなくていい、と結論したのでした。
選者のコメントがとてもいいのですが、講評というより、コピーのできた時代や背景なども含めた感想・解説となっています。
これがあることで、ひとつのコピーがより「生きたもの」として、読者の前に立ちあがってくるのです。
巻末にはコピーライター、キーワード別の索引と、コラムニストで元「広告批評」編集長の天野祐吉氏による解説があります。コピーの歴史がわかる名文です。
天野氏によれば
『いいコピーというのは、その中に主人公としてであれ、点景としてであれ、「自分がいる」と感じられるものなのかもしれない。』
…たしかに、このコピー集は、幼い頃からのアルバムを見るよりもずっと「自分」を感じさせるものがある。(だから泣けたのか…?)
読者は、ここに収録された500本のコピーに再会または初めて出会い、それぞれに感じることがあるでしょう。
きっとストーリーを読むのとは、ちがう感触を得るのではないでしょうか。
それこそが「コピー」の持つ特性・魅力なのかもしれません。
ちなみにベスト10を紹介すると
おいしい生活。
想像力と数百円
おしりだって、洗ってほしい。
男は黙ってサッポロビール
モーレツからビューティフルへ
触ってごらん、ウールだよ。
好きだから、あげる。
なにも足さない。なにも引かない。
恋は、遠い日の花火ではない
すこし愛して、なが~く愛して
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"戦後六〇余年の「コピーベスト」"(p5)を集めた、「コピー年鑑」のベスト版とも言える一冊。
ベスト100までは、選者のコメントが添えられており、その解釈や同業者としての「やられた!」という分析からも、普段何気なく目にしている「広告」という仕事の奥深さや苦労が伝わってきます。
写真やイラストがほとんどなく、白い紙面にぽん、と文字が置かれているだけのデザインなのに、不思議と紹介されている商品の特徴が浮かんできます。耳慣れたコピーも、リアルな世代ではなくてピンとこないコピーもありますが、それぞれに、その時代の空気や「気分」のようなものを、ぎゅっとつかんで濃縮したような佇まいが感じられます。
日本語だからできる微妙なニュアンスや言葉遊び、はっとさせられる言葉の力強さ、文字という表現の可能性、そういうものがビリビリと伝わってきて、「ことばってたのしいなぁ!」と、わくわくしてきます。
巻末には、コピーライター名とキーワード、それぞれの索引がついています。
【今月のおすすめ/2011年10月】
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日本の広告コピーをひたすら500掲載したもの。
コピーライターによる評価やコメントも面白い。
そしてなにより時代背景を自分で思い出しているのが
とても楽しく読めた原因かもしれない。
ながく愛されるコピーの中で
自分のベストコピーを探すのも面白いかもしれない。
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こんな一冊ほしかった。コピーライターじゃなくてもほしかった。「なつかしい〜」を楽しんだり、「うぉ〜」とうなるのを楽しんだり。やっぱり憧れがありますよ、ここに載ってるコピーには。
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「うまいなぁ!」読んでて思わずニヤっとしてしまう、楽しくてほっこりする本でした。
ベスト100コピーに対しては審査員の解説兼感想があり、それが最高に面白い。
個人的には、としまえん遊園地とウイスキー全般に関して特に面白いコピーが多かったと思う。
コピーライター、CMプランナーなどの審査員10名が選んだ日本の広告コピーベスト500。
堂々の1位2位はやっぱり糸井重里さんでした。
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「言葉は端的に、そして受け手の知性を最大化できるようなコピーを」(山本高史)p33
〈メモ〉アイデンティティ、本質を見つめる。
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コピー年鑑のベスト版。巻末に索引がついててとても便利。本質をついたコピーはビジュアルを必要としない。素晴らしいことばや言い回しの数々によだれが出ます。
ちなみに私が一番好きなコピーは「想像力と数百円(新潮文庫/糸井重里)」
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ひとつひとつのコピーが時代やその時々の文化を立ちのぼらせて、今、目の前に風景が広がる。鋭い言葉の力ってすごいと思う。
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正直、驚愕のランキングだ…。これが今現在考えた、一位なのか…。コピーライターの懐古主義が窺い知れる。こういうのは、自分らの仲間うちの飲み会のネタだろうとおもうが。編集者もこんなものを出しては危うくコピーライターの地位を下げかねない。こういう内容であれば、順位付にエクスキューズはつけて欲しかった。じゃないと、コピーライターってこういうのを、いまでもイイと思ってるんだとクライアントに思われると、仕事がやりにくい。編集者の力量が問われている。
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少し愛して、なが~く愛して
糸井重里 /サントリーレッド
サントリーの帰りを待つ人は金麦へ引き継がれた。確かに夫婦の安定感がないですね。
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コピーから時代背景が感じられ、さらに、思わずニヤリとしてしまう職人的な日本語の並べ方の巧さに読後の満足感が非常に高い本。
日本語の素晴らしさにあらためて気づくと共に、物事を考える際に、俯瞰的な視点を持つことではじめて実体を掴むことが出来るということがよくわかる。
良質なコピーをつくるためには、俯瞰的な視点と日本語の引き算の技が肝なんだろう。
ん~、個人的に一歩引いた目線を持つことは
課題だな~。
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コピーライターにとっては、嬉しい一冊。
ひとつひとつのコピーにつけられた
トップクリエーターのみなさんのコメントも
勉強になる。
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この手の本、実は意外となかったりします。コピー年鑑じゃ持ち歩けないし… というわけで、とっても重宝する本です。優れたコピーを読むと、その時代の息遣いまで聞こえてきそう。
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ざざざっと、よかった。コピーやCMの歌は知ってるのに商品知らないのも結構あったので解釈を結びつけたり、これはあの人が書いていたのか!とか。あとは各コピーの製作年が書いてあるといいのになぁと思った。
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「プロが書いてるんだから当たり前」とはおもうものの、
思わず「上手いなあ!!」って膝をたたいてしまうコピーがいくつもあって、
なんだかくやしくなりました。
なにとたたかってるんだか…。
一見なんてないことのないコピーでも、解説を読むとそのすごさがわかったりしておもしろかったです。
個人的には「プール冷えてます(豊島園)」がすき。