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本書は、タイトルの通りコンサルティングについて「双方向」の観点から書いている。
依頼する(クライアント)側と、される(コンサルタント)側ということになるが、ありそうでなかった観点だと思う。そういった意味で非常に新鮮な書籍である。
全体を通して感じたのは、タイトルから言える通り、一方的な視点ではないということ。
(コンサルティングをする側の視点の書籍はたくさんある)
つまり、クライアント側の社長や社員の立場にたった思いやりのある視点で書いているということ。
これは、著者が長年、現場に入り、しかもクライアント側に真摯に立ち、気持ちを共有しないと、この視点は得られないはずだ。
定価がいささか高い感はあるが、著者の長年の経験に基づくノウハウと考え方を惜しげもなく、形式知化してくれたことを考えれば、十分にお釣りがくる書籍である。
中小企業支援者には是非お勧めの一冊。
唯一読んで気になったのは、全体を通して、主に中小企業の目線であるため、大手企業を相手にしている外資系のコンサルの方や、その道を志す若者に本書が受け入れられるかという点。
私は、大企業だろうと中小企業だろうと、本書で書かれている内容の根本は同じだし、むしろ読んでもらいたいと思う。
◆印象に残った点
・「問題」と「課題」の言葉の定義付けの中で、「あるべき姿」ではなく「ありたい姿」という表現を使っている点
・「事実」と「判断」の使い分けと管理者側の意識
・経営者の価値観(企業理念)が共有されているか浸透度で、部下への仕事の任せ方が変わる
・「伝わる」ためには「一事三例」
・バーナードの組織の三要件(共通目的・貢献意欲・コミュニケーション)をヒアリング時に経営者だけでなく、幹部社員にも聞いたり書いてもらうという手法