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高校の図書室にて。
ハリー・クラークの美しい挿絵に惹かれ、前々から読みたいと思っていたゲーテの『ファウスト』を読むことを決意。深緑の装丁のあまりの美しさに、いつかは買いたいとさえ思った……のですが。
残念ながら訳が好みでは無かったのです……個人的に、クラークの絵には合っていない様な気がしました。「ヤバい」「超」「イケメン」「マジ」等等、若者言葉が沢山使われていて……。英語版で元々は成人向けに出された豪華限定版の本からの翻訳らしいのですが、成人向け、というよりは、子供向けの訳に感じます。しかし、内容は、訳者によると原文よりは性的に過激だそうで。読む為の本、というよりは、クラークの絵を愛でる為の本のようです。装丁は本当に私好みなのだがなぁ……
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原作に忠実なドイツ語からの和訳本にはかなり苦戦した。
こちらは比較にならない程読みやすい。
言葉のノリが軽く、メフィストはアンチャン風、ファウストは中二病。ちょっと笑いました。
ちなみにこの本はマーガレット(マルガレーテ)の救済で終わる一部だけ。
ゲーテの超大作にいきなり挑戦するより、手始めにこれを読むといいかも。
ハリー・クラークの怪しくも美しいイラストが秀逸。
他の方も書いておられるけど、このイラストとのバランスを考えると、文章はちょっとくだけすぎかもしれない。
ところで、ファウストが最初に部屋に招き入れたのは「ムク犬」だと思っていたのだけど、この本によると「プードル」らしい。知らなかった。
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2015/2/23読了。
さて、ゲーテである。と言っても英訳をさらに日本語訳したもので、さらに第一部で終わっているのである。訳はポップで挿絵が素晴らしい。表紙や重厚感も素晴らしいなど、本自体にも魅力満載である。
第二部も出してもらえないだろうか。
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戯曲が舞台演出で改変されることは認められているが、ファウストは老年の童貞腐男子、メフィストはドキンちゃんのような可愛悪魔、グレートヒェンはマーガレットの名でお転婆女、隣のおばさんが姉御に改造されている。訳注も先行訳を参照して丁寧。「汝ら…神の如くならん」はイブをそそのかす蛇の台詞、など。全体として悲劇というより喜劇と化している。訳者プロテスタントだけに涜神的部分は削除…/第二部では悲恋の痛手を癒すため時間旅行したり政治に手を染めたりするのだが、女を喰い物にして成長したゲーテ自身の体験の投影のようにも思われ
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「私は読書や本集めを、けっして人にすすめたりいたしません。たまに、本が好きだという若者に出会うと、「ああ、悪魔に魂を売るようなことにならなければいいがな」と、本気で心配します。なぜかって?その質問に答える代わりに、ドイツの国民作家ゲーテが書いた偉大な戯曲『ファウスト』を読めばわかる、と言っておきましょう。あの作品こそは、読書しずぎた中年男が悪い友達に風俗街に誘い込まれ、若いイケイケの女の子をひっかけ、おまけに彼女を妊娠させてしまうという、とんでもない「読書愛好家の転落人生」を語っているからなんです。え?ウソだろ、あれは世界のみんなが教養のお手本と信じている偉大な世界文学なんだから、そんな安っぽいテレビドラマみたいなわけがないでしょ、と。残念でした。」
(荒俣宏 『食らう読書』より