紙の本
変化の過渡期における犠牲者
2012/02/05 13:15
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
政治家の殺し方 中田宏 幻冬舎
ブックカバーには、なにか怨みを晴らすようなキャッチコピーが列挙されています。電車で見かける週刊誌の吊り下げ広告のようでもあります。書中で自分の潔白を訴えておられます。
わたしは横浜市民ではないし、関東地方の住人でもないので、筆者のことはほとんど知りません。いち地域の有名人が全国区とは限りません。意外なほど人は他人に関心をもっていません。筆者と同タイプの首長が何人かいますが、地方の小さな自治体で暮らす人にとっては遠い個性です。そのことから、この本については、「人間」を考える作業を試みることになります。
横浜市長を2期8年務める。本文を読むと混乱に巻き込まれた生活環境にあったことがわかります。冤罪(えんざい)。事実と違うことを大々的に宣伝されて、追い落とされた。攻撃したから仕返しされた。されど、今となっては、終わったことです。
人間は怖い。表の顔と裏の表情は正反対です。筆者は警戒心が薄い。良くも悪くも秩序立てて完成していた利害関係の固まりにメスを執刀しました。だれもかれもがぜいたくな暮らしをしているわけではありません。生かさず殺さずの最低限の生活費で暮らしている人たちが大半です。お金は天下の回りもの。特定個人や組織に蓄積されるわけではありません。衣食住の生活を始めとして、得た収入の大半は次の人や組織へと移っていきます。その秩序が崩れたとき、末端にある人の生活は立ち行かなくなります。
筆者はたいていのことが自由にやれて、言いたいことが言える立場です。しがらみがありません。それがいいともわるいともいえません。投票した人は、当選した人を支える責任があります。浮動票には責任が伴いません。ねつ造されたスキャンダルが要因となって、人は離れていきます。攻撃側、守備側ともに、人は自分の利益のために嘘をつく。人は自分を守るためなら平気で嘘をつき、それは罪にならない。
100年後、もしかしたら官公庁は完全民営化されているのかもしれない。雇用される人の採用は3年間とか5年間の年俸契約になっているかもしれない。歴史は変化に応じてつくられていく。いまあるものを変えるためには、膨大なエネルギーを必要とします。変えるために、筆者は犠牲になったと考えました。
紙の本
政治家の殺し方
2012/04/03 22:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のんびり屋のカユ - この投稿者のレビュー一覧を見る
横浜市長をやった中田宏氏の辿った道が書かれている本書
実はあまりどのような軌跡を辿ったのか知らないまま
表題だけにつられて買ったが、その中身は壮絶。
各種利権に手を出したことで脅迫や嘘の喧伝がものすごかったことがわかる。
特に酷いエピソードが不倫のでっち上げで
不倫相手とされる女性がマスコミに出て世間の中田氏への印象を操作をしたこと。
裁判に訴えたら当の不倫相手が出廷もせず完全勝訴。
政治生命を断たせるためにマスコミと手を組んだ完全なでっち上げだろう。
世間の人はその後の顛末をあまり追いかけないことで
政治家が一方的な不利益を受けていることがわかる。
本書から、メディアリテラシーと正しい政治家を選ぶ目を鍛えることを
学び取りたいところ
紙の本
被害者の視点でマスコミ報道の怖さが分かる本
2012/01/25 18:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書評王子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
39歳の若さで横浜市長になり、一躍時の人になった中田宏。
若いエネルギーと行動力により、
市民ならず、国民の支持まで得るに至った。
が、女性スキャンダル報道により、汚名を着せられ、
その退職へと追いやられる。
その汚名を晴らすべく、裁判と向き合い、すべて勝訴。
身の潔白を晴らすに至ったのだが、失ったものはあまりに大きかった。
マスコミの捏造により、人生を狂わされる怖さを、
被害者本人が語った迫真の書。
マスコミ報道のあり方を見つめ直すいいきっかけとなります。
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【新刊】政治家の殺し方 中田 宏
http://yamatoiebakawa.blogspot.com/2011/10/22.html
『政治家の殺し方』とは幻冬舎らしい衝撃的なタイトルですが、読んでみるとメディアの見出しの裏側や歪んだ政治の世界について知ることができます。普通の会社ではあり得ない、すさまじいことが行政組織では起こるということがよくわかる1冊です。
市長のスキャンダルの真相を知りたい方や、政治をとりまく歪んだ環境について興味のある方にオススメします。
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この本をよむまで誤解してたことが多かったと。
「政治家の殺し方」というタイトルで見出しやまえがきを見ればわかるが、スキャンダルで政治家は殺せるとある。
色々とスキャンダルがあったので、そのイメージが強かったが、裁判で結果がでてるものが多く、色々とマスコミによって、事実無根のことを書かれていたようである。
この本を読んで、そうした、マスコミ、テレビもそうだけど週刊誌ってのがどういうものか、ちゃんとそれを鵜呑みにしてはいけないのだなと再認識しました。
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行政改革に本気で取り組むと、利権で食っている人たちからこれだけ攻撃される、でも改革をやるんだ、という中田宏氏の姿勢がわかる。改革の結果や影響を検証するのはまた別の話になるが、中田氏がどうやって横浜市政に取り組んできたのかが伝わってくる。新書だとよかったかな。
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メディアと同様に政治の世界も既存権力の大きさがよくわかる。
肩書きがなくなったら何もできないただの人がほとんどの政治家はひたすら椅子にしがみつくだけしか、つまり自分のことしか考えず、国民、県民、市民のことは何も考えていない。日本中溢れていますね。
多少は真面目な政治家がいるとは信じていますが、、、まずは定数を全ての政治家を半分にすることからスタートかな。
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今年110冊目の読了。
所々に過激な表現があって面白い。見直しがドラスティックで急激過ぎたのかはわからないが,庁内LANで市職員から市長あてに「死ね」とのメールが送り付けられたり,市長に対する脅迫容疑で職員が逮捕されるという嘘のような話も書かれている。しかし,既得権や利権に切り込んでいくとここまでされてしまうのか。
“クールビズ”は横浜市役所からスタートしたものとは知らなかった。暑苦しいネクタイは嫌いなので感謝してます。。。
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一方的な情報の提供に対する危険性。
やはり意見は主張するものと主張されるもの双方の主張を
ともに受けて判断することがまずフェアーなのだと思う。
日本の場合、裁判期間はその判断はいわばペンディングされて
いる状態なので、「どちらとも言えない」という状態で
いることの方が正しいのだろうと思う。
しかし現実は逮捕=容疑者≒犯罪者のようにマスコミは
報道してしまうようだ。政治の分野に限らず、そのような話は
きくことだが、無罪判決を受けた後に書籍として
自らの名前の基に自らが言葉を紡いでいる書籍はなかなかこれまで
であっていなかった。
本人も書籍の中で書いているが,正しいかどうか、相手が発する言葉の成否は結論からいえば受けて側が判断することなのだろう.
そのため,受け手側にはまず、偏った情報を精査し,
周囲の風潮に流されるのではなく,自らの主観もとに,自らの責任のもと
言葉を紡ぐ必要があるし、自らの言葉を推敲、検証せずに「飛ばし記事」ばっかり書いている記者・雑誌に関しては,読者側が不買などの行動としての結果が必要になってくるのだと思った。
まず、あまり良い印象をもっていないと言っていた母にこの本渡してみよう。
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元横浜市長の中田さんの本
横浜市の財政を健全化する中で
数々のスキャンダルを仕組まれ
もみくちゃにされながら、完遂した人
そのときの事実を伝え
政治家として意志を貫いた強さが現れた本
会社のリーダには読んでほしい一冊
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横浜に住んでいた頃は高秀市長だった。元官僚市長。そのあと中田氏に変わった横浜市政。横浜はいい街だ。当たり前だが東京と違う。いい意味でも悪い意味でも地方だと感じていた。私には忘れられない気になる街だ。中田氏による横浜の行財政改革を市民として肌身で感じたかったというのが読了後の感想。あの黄金町~日の出町界隈の赤線に手をつけたとは!
このような政治家は殺されてしまうのだ。私は彼のような人に国会議員でいて欲しい。早期復活を望む。
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前横浜市長・中田宏氏による、いわゆる暴露本。
暴露本というか、地方行政とマスコミ、アングラ社会の暗部を赤裸々に書いた本。
読む前は侮っていたが、
読んでみると詳細で、生々しい描写が多い。
論旨は明確で、
つまりは、既得権益がすべていかんということ。
官僚批判ではないが、
公務員の方には是非読んで頂きたい。
分析が客観的。
政敵であれ、相手に対してきちんとわきまえるべき部分はわきまえて書いており、
むやみに、人の名前を実名で書いていないところに好感が持てる。
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横浜市民として突然の辞任は無責任な印象を受けていたが、この本を読むと中田氏の考え方にも納得できた。
同じような状況におかれている大阪市の市長である橋下氏の頑張りをみると、中田氏にももう一度政治の世界で頑張って欲しい。
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清濁併せ飲む、とは政治の世界でよく言われる言葉ではあるが、それを拒否すればどうなるか・・・。
己の信念を貫いた前横浜市長の体験記ではあるが、実際にどういう経緯でそれが起きたのか本書を読んで初めて知った。
政官業の癒着、公務員の非効率な仕事、それらによって税金が無駄に使われ、自治体の借金が増えていく構図はどこも変わらないが、それを変えようとする者に対しての抵抗は想像を絶するほど凄まじい・・・・
そして事実かどうかもよく調べず、悪い噂を本当であったかのように報道するマスコミ。その一方で成果を上げた業績はほとんど報じない体質は今も変わらない。
ストレスで真っ白になった髪を毎日黒く染めて普通に見せていたエピソードが、その戦いがいかに大変だったかを物語っている。
政治に関心が無いのが普通であるかのような風潮が世間を覆っている、しかし我々が払っているけっして少なくない額の税金が無駄に使われているとしたら・・・
地方行政も国政もどこか遠い世界のおとぎ話でなく、自分達の一票とその支払う税が自分達の世界を決める。
本書を読むことによってそれを再認識させられた。
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前横浜市長の中田宏さんの著書。新幹線車中で読み、先ほど読了。
恥ずかしながら、私自身、中田市長といえばスキャンダルで追及されて、最後は任期を残しておかしな辞め方をした市長…改革派の表向きとは違って何かやましいところがあったのだろうな…と思ってしまっていました。正直。
この本を読んで、それらのほとんどが捏造やこじつけであったことを知り、中田さんの見方が180度変わりました。私もマスコミの報道を鵜呑みにしていた訳です…
しかし、ひどい話のオンパレード。中田さん、よく書いてくれたと思います。
皆さま、特に横浜にお住まいの皆さま、いや、どこの自治体であっても大なり小なり似た状況でしょうから、全ての日本にお住まいの皆さん、読むべし!です。
日本人の必読書です、これは。