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雇われ弁護士の朝倉英明と、イラストレーターの卵・川島郁己と、事故で亡くなってしまった野口(幽霊)の話。
メインテーマは、郁己が心を込めて作ったキャラクタが盗作されて、それを訴えるために朝倉の力を借りる、ですが。
盗作されるまでの経過に亡くなってしまった野口が絡んでいたり、死んでしまったはずの野口が成仏できていなくて幽霊として郁己に憑いていたり、ちょっと設定としては斜め上なところもあります。
まあ、それはそれとしてある程度書き尽くされた感のある現在としては致し方ないところかなあ……とは思っているんですが、個人的には野口の死が実は自殺ではなく殺人だったり、あろうことかそれを野口が覚えてなかったり……とか登場人物の設定に「?」が浮かぶようなことがたくさん。
いくらなんでもそれはおめでた過ぎるのでないだろうか……? と思ってしまいました。
そこは「人の死」を扱うんだから、コメディにしてしまわずにしっかり描いて欲しかったし、そうやってふんわり流すんなら、あからさまな悪意ではなく、「故意」とか「過失」ですむ範囲の描き方をして欲しかったと個人的には思います。
大体、著作権侵害にしても「それ以外に悪いことはしてなかったからいい」はずがないし、殺意があったのにも関わらず「罪を償って出てきたらやり直せる」ってそんなにあっさり言って欲しくはなかったと思います。
そういう意味で、作者様との価値観が個人的に合わない小説でした。
娯楽として楽しみならいいと思いますが、細かいことが気になる人は読まない方がいいと思います。