投稿元:
レビューを見る
葉室麟には珍しく武将物。「武士の中の武士」と言われ、関ヶ原の戦いで改易後、大名として旧領に復帰した唯一の武将「立花宗茂」を描いた小説。
10年以上前に読んだ童門冬二「立花宗茂」上下巻が史実や有名なエピソード中心なのに比べると、やはり人物像と「立花の義」に生きる志の描き方が一段違う。今までの小説で正妻「誾千代」とは険悪な仲で別居だったような気がするが、この本では「誾千代」との心の繋がりを「義」に生きる「宗茂」に加え、もうひとつの物語の中心に据える。
大友宗麟は「義を専ら一にした武士」、秀吉は「天下無双の大将は東の本多忠勝、西に立花宗茂」、加藤清正からは「日本軍第一の勇将」と絶賛された「立花宗茂」。そもそも戦国で一番好きな武将。
葉室麟は有名な人物を描くと史実に縛られて良さが今いちでないが、これはなかなかいい。
投稿元:
レビューを見る
立花宗茂を主人公に、関ヶ原の戦い後の九州から始まり、回想を挟んだ後、京・江戸の浪人生活、そして大坂の陣や島原の乱まで。柳川復帰のシーンは涙してしまった。
理想の宗茂・誾千代夫妻がここにいた。
投稿元:
レビューを見る
物語は「立花の義」をかかげ一生を終えた、立花宗茂が題材。
関ヶ原での敗戦や浪人暮らしを経て大名への返り咲きと、一生を通じて、人を裏切らないことを「立花の義」とし常に考え行動した。
物語に関わる、真田信繁や伊達政宗、徳川家康らそれぞれの義を示す。
直木賞受賞作家というオビに惹かれ手に取ったが、話の抑揚に欠け小説としてでなく、伝記的な印象に感じた。
正室・側室との心の繋がりもイマイチ深さが感じられず、皆に慕われる誠実な武将という印象で読み終わった。
投稿元:
レビューを見る
立花宗茂の伝記。葉室さんの抑揚のきいたたんたんとした語り口が、今回は少したんたんとしすぎて記録のような観があるが、それでも立花宗茂の魅力は伝わってくる。ぶれない男の生き様を見た。そして、女はどう言い繕ってみても、哀しいものと知る。
投稿元:
レビューを見る
立花宗茂が主人公。
ギンチヨとの離れててもお互いを思いやる姿が美しい。
菊子とギンチヨのエピソードも泣けます…!
きっと子どもが欲しかったんだろうなぁ。。
投稿元:
レビューを見る
昨年「オール讀物」に5回連載したものの単行本化。
直木賞受賞後最初の単行本だけれど、『蜩ノ記』に比べると重厚さが今ひとつ。
九州を舞台にした物語で長年温めてきた題材のようだ。
立花家に婿入りした宗茂は、秀吉から「西国無双の武将」と称えられ柳川13万石の大名に取り立てられたが、関ヶ原の戦いで敗れて領地を失い牢人となったため、家臣を連れて京へ登り徳川に仕える途を探る。
立花の娘で幼少から宗茂と親しかった正室ぎん(門構えに言)千代は、九州に残り、決して裏切らない「立花の義」を守るよう宗茂を励ますが、病に倒れる。
宗茂が大坂方に付かないようにとの家康の配慮で、宗茂は少禄で召し抱えられて秀忠の寄騎となって、大坂冬の陣、夏の陣を戦うが、大坂方で奮戦して死んだ真田繁信を畏敬し、遺児を預かる。
秀忠の代となって旧領柳川への復領が認められ、ぎん千代との約束を果たすが、無双の花とはぎん千代であったとの想いにふける。
幼い頃ぎん千代に命を助けられ、後に宗茂の継室となったのが、公家の「葉室」家の姫なのだが、作者と何かつながりがあるのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
立花宗茂の生涯を描いた物語です。
関ヶ原の戦い以後から秀忠の時代まで生きた男の話です。
西軍の一員として関ヶ原に参加し、改易された宗茂は、あきらめずに京都に上る。
苦難の生活に耐えた後、改易を解かれ、秀忠付きの旗本として、大阪の陣にも参加。
武士の生き方を貫く姿が見たければ、是非読んで下さい
投稿元:
レビューを見る
普段あまり読まない歴史小説。
登場人物の名前や、言葉遣いに馴染みが薄くて、読みづらさを感じていたのに...
いつの間にか
主人公の生き様に引き込まれ、
最後には涙していました。
もっと、読み慣れれば
もっと、世界に入っていける。
今の私には少し勿体なかった。
また読みたい。
投稿元:
レビューを見る
蜩の記に続いて2冊目。
真っ直ぐな人間が不器用に真っ直ぐなままを貫き通し、苦労や挫折をしながらも、芯がぶれずに進んでいく。
こういう話、大好きです。
投稿元:
レビューを見る
仁木英之「くるすの残光 月の聖槍」でも魅力的な敵役として取り上げられていた立花宗茂の生涯を描いた作品で、電車の中で思わず泣いてしまいました。
投稿元:
レビューを見る
戦国時代末期、優勝としての名をほしいままにした立花宗茂であったが、関ヶ原の戦いで西軍に加担したが為に本領を没収される。妻誾千代との約束を胸に、「立花の義」を貫くと心に決めた宗茂の選んだ道は・・・。
志を貫きとおす宗茂が不器用でいてすがすがしいです。重くなりがちな物語を味わい深く描いた作者に脱帽。何度も読み返したい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
戦国武将の立花宗茂のお話。
知識として知ってはいたが、自分としては魅力的でなかった立花宗茂の話を挫折せずに読み切れた。
過去に童門冬二さんの作品を読みかけて挫折したし、ドラマでもあまり登場しないので興味がなかった。
本作を読んでも、立花宗茂に関しては、言動がきれいごと過ぎてのめり込めませんでした。
特に真田がらみの話は、ちょっと我田引水的ではないでしょうか。
ただ、真田幸村の直系の子孫がいまだに続いていることには、恥ずかしながら初めて知りました。
物語の内容では、秀忠が宗茂に旧領を復帰させた理由は、自分としては宗茂が秀忠と同じく、ただ律義で真面目で偏向がないことを買われたようにも思います。
また、「立花の義」とかが物語の軸になっているように思いますが、傍から見たら「義」があるようには見えません。
真田などそれぞれの義についても語られますが、結局は、義とは自分に嘘をつかない、ということに尽きるのではないでしょうか。
作風に関しては、山本一力の市井の人の義に対して葉室麟は武士の義を扱っているように思い、両者の作風は近い感じがしました。
投稿元:
レビューを見る
秀吉に西国無双と褒め称えられた立花宗茂が主人公。正に波乱万丈人生。秀吉に引き立てられ九州大友家の所領を引き継ぐ。が西軍に与し関ヶ原の戦いの後家康より追放される。しかーし長い浪人生活を経て再び大名として旧領に復帰!?。うっすらと名前は知っていたが理由が気になり手に取った作品。そこには終止変わらぬ「立花の義=裏切らぬ」信念があり。本作品、主人公の実直な人柄に秀吉、家康、清正、幸村等が単に引き込まれる様だけがテーマではない。各武将の義を通じて権謀術数渦巻く歴史の真相を垣間見る事が出来る。許された理由にもふかーい思惑が。語り尽くされた感のある史実を"義"という視点で眺めて権力者の心理から行動を読み解く。流石です。
投稿元:
レビューを見る
戦国時代の武将、立花宗茂の生涯を描いた歴史小説です。
戦国時代を舞台にした歴史小説ですが、斬り合いや合戦に終始するようなものではなく、立花宗茂という武将の生き様を通して、現代人にも通じ得る信念や気概といったものを拾い上げることのできる、またそれでいて戦国ものとしてもしっかりと読み応えのある、まさに私好みの作品でありました。
特に立花宗茂が、謀叛を企てる伊達政宗を諭し断念させる場面における宗茂の「〜欲深かと存じまする。」という言葉は、個人的に人生の悩みを抱えていた自分自身の心にも響くものでした。
信念と誇りを持って戦乱から泰平の世へと移り行く中を生き抜き、晩年もなお武家の魂を後進に伝え続けたその生き様は、読了後のしみじみと良い余韻を与えてくれます。
今後も折に触れ度々手に取る大切な蔵書となりそうです。
投稿元:
レビューを見る
戦国時代後期に興味がある人には
薦められる一冊。
義将・立花宗茂とその妻や部下、他の武将との関わりが堅実かつ誠実な筆致で描かれる。
史実に沿おうとしすぎたのか物語の展開や人物の造型などに少々窮屈な印象を受けたが、宗茂とその正室であるぎん千代との絆には不覚にも涙ぐんでしまった。