投稿元:
レビューを見る
「長かった・・」が読後第一声。
全体の7割は登場人物の出自や回想で占められていて、しかも時間がとびとび、視点の移り変わりも激しく何が何だかわからなくなる。
冗長的な部分が多すぎていまいち物語にのめり込むことができない。
そこまで根詰めて読むほどのものではないと思う。あまりおすすめできない。
投稿元:
レビューを見る
黒人奴隷を所有する自由黒人。
静かで柔らかく描かれる、
多視点での群像ドラマ。
最後は何故かほっこりとした気持ちになれる。
2003 年 第 28 回全米批評家協会賞小説部門受賞作品。
2004 年 ピューリッツァー賞フィクション部門受賞作品。
2005 年 国際IMPACダブリン文学賞受賞作品。
投稿元:
レビューを見る
ひとつの章の中で時間があれこれ前後するので、最初は戸惑う。なので、まずは第1章を繰り返し読んでみると大まかな流れが掴めました。あとは一気呵成。淡々としていつつ、さまざまなエピソードがその時代の空気感を伴って立ち現れてくる、その描写というか構成にはうならされるものがありました。
読みながら少しフォークナーみたいだなと思いつつも、それよりはずいぶん読みやすいです。頭の中で構成を組み立てるまでもなく、読んでいるうちにリズムが体にしみこんでくるという感じ。というわけで。この書き手はかなりの手管、それをそうと感じさせずにジワジワ読み込ませてくれるあたりがとてもとても楽しい期間でした。
投稿元:
レビューを見る
黒人奴隷、とかピューリツァー賞、とかのキーワードから重そうだなと思って敬遠していたけど、どうにも気になるので読んだ『地図になかった世界』。ひどいことばっかだけど、どこか淡々として優しい筆致。神様はすべてお見通しスタイルの語り口が遠くて近い雰囲気を醸し出していて素敵。名作でした。
投稿元:
レビューを見る
80pぐらい読んだけど、
全体の3/4が聖書のように家族史なのか~
うーーん、このペースでずっと進むのかぁ…
うーーん。。
2013/10/18
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
舞台は南北戦争以前のヴァージニア州マンチェスター郡。黒人の農場主ヘンリー・タウンゼンドはかつて、郡一番の名士であるウィリアム・ロビンズに、両親とともに所有される奴隷だった。
少年の頃、ロビンズの馬丁として献身的な働きをしたヘンリーは、いつしかロビンズから実の息子とも変わらないほどの愛情を受けるようになる。
ヘンリーの父オーガスタスは、金をこつこつと貯め、苦労して一家全員の自由を買い取ったが、大人になったヘンリーは、みずから黒人奴隷のモーゼスを購入することで両親と決別してしまう。
だがそのとき、大農園の主となったヘンリーが急逝する。
若き妻ひとりと数十名の奴隷たちが残された農園のなか、「主人」と「奴隷」の関係にしだいに波紋が生じはじめる…。
ピュリツァー賞、全米批評家協会賞、国際IMPACダブリン文学賞受賞作品。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
投稿元:
レビューを見る
人間・どうしても・・差別化したいのは・・・世界共通・・・・ただ・・・・・「牧畜」「肉食」「農耕」「草食」民族で差別方法は違う!
投稿元:
レビューを見る
イーユン・リーのインタビュー記事の中に、「E・P・ジョーンズは『地図になかった世界』をいっさいリサーチせずに書き上げた」という一文があった。それだけでなんだか読んでみたくなり、全く知らなかったけれど入手。
読んでみて、これをリサーチなしでイマジネーションで書いたということのすごさに圧倒された。
まさかの究極の『神の視点』、聖書スタイル。
登場人物が次々出てきて、ひとりひとりを深く掘り下げることはあまりないし、通常ならありえない超常現象的なものが起きたりもするんだけれど、聖書を読んだことのある人にはどこかノスタルジックな感じがするのでは。
ちなみに黒人が黒人を奴隷にしていたという事例は本当にあったんだそうで。それにも驚かされた。
あまり人には進められないけど、個人的にはまた読み返してもいいと思える作品だった。
投稿元:
レビューを見る
あるじから自身の自由を金で買い戻した黒人ヘンリー。ヘンリーはその後農園を持って成功し、黒人の奴隷監督官に33人の奴隷を管理させる...。
作者は、ヴァージニア州で黒人が黒人を所有したという史実を知り、本作を記したそうだ。寡作で謎多き作者エドワードは、本作を描くにあたって膨大な資料を集めたものの、その多くは読まず、10年に渡る空想を経て三ヶ月で一気に書き上げたという。
近年のアメリカ文学は小粒で物足りないと勝手に思っていたが、時として本作のような大作が生み出されるところは、アメリカ文学の底力の恐ろしいところだ。
作風は、神の視点に立つ語り部が、農園に生きる者たちの悲喜劇を語る形式。老人が思い出しながら語るがごとく、時制はあちこち飛ぶ。が、基本的には読みやすく、現代的な小説作法に辟易することなく、物語の魅力にひたることができる。
投稿元:
レビューを見る
ただただ圧巻。19世紀の奴隷制度を描いた本作は、その奴隷制度を通して、人間の業の深さと底知れない恐怖を描き出す。帯で柴田元幸が語っているように、この本はまるで聖書のようでもあり、ノンフィクションのようでもあり、ずっしり重く我々の心に突き刺さる。小説の素晴らしさを凝縮した何かがここにあります。必読。
投稿元:
レビューを見る
この作品は数年前に一度読んでいるのだけど流し読みというかちゃんと読めていなかったという思いがあり後悔が残っていたために再読した。南北戦争前の南部のある郡で一番の有力者である白人農園主に所有されていたある黒人奴隷がコツコツと金を貯め、まずは自身、続いて妻の、最後に息子の身分を順次買い戻して自由民となるのだが、最後まで残された息子が白人農園主に気に入られて農園の一部を格安で譲られ、自身も農園主となる。黒人ながら農園主として同じ黒人を奴隷として所有していく息子と息子のことをどうしても許せない父親、同じ黒人に奴隷として所有される者達の物語。早い段階で若き黒人農場主が病死してしまい若い妻が奴隷達と共に残される。そこで何か大きな変化が起こるのかというとそうではなく、それでいて関係するみんなに少しずつ変化が生じていき、という展開。黒人の黒人奴隷所有者は歴史上、実際に何人か存在していたらしい。南部の奴隷をテーマにした作品では往々にして白人農場主と黒人奴隷、という関係が語られると思うのだが所有者側も黒人にしたことでより複雑な物語となっている。特に主人公を設定せず登場人物全ての物語をそれぞれ語っていくことで大きな流れを作っている作品なので途中まではかなり読みにくさがあるのだけれど慣れると作品は世界に引き込まれてしまう、そういう印象。やはり凄い作品だった。