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精神科医が書いた小説というだけあって、精神病に関する記述は細かい。患者の症状の記述は素晴らしいと思う。
しかしミステリー小説というには、イマイチな感。ストーリーとしては穴だらけではと思う。
緘黙というのは、喋らない、という意味であり、緘黙症とイコールではない。
15年間、緘黙し続けている患者のその緘黙の理由を探るミステリー。
3人の精神科医がそれぞれの方法でアプローチするが、どれも結果としては緘黙を解く治療としては効果がなかった。
精神科医が、患者を診る時のアプローチの方法を見せる小説だと思えばいいのかもしれない。ミステリー小説、というには稚拙。
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15年間黙り続けるというのはどうしたことだい。動機は理解出来るんだけどやっぱりなんだかズレている。文章が記録のような印象で、著者のノンフィクション著作のエッセンスをかき集めてお話し仕立てにしたらこんな感じなのかな。医者にしても患者にしても妙に生々しい印象を覚えた。以前他の著作を読んだ時にも感じたが、いわゆる狂い自体は人生的な困難であるし、気の毒ではあるのだけど、なんだかトホホな印象が強いし、トホホなゆえに生々しいというか。
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春日先生の著書を最初に読んだのは10年以上も前でした。
その本は「病んだ家族、散乱した室内」という奇妙なタイトルでしたが、中身を読んでたちまちファンになり、それ以来大方の著書は目を通してきました。
それですからこの小説を書き下ろしたと知った時、とうとう先生小説にまで手を広げたのねえ・・と感慨深いものがありました。
れっきとした精神科医ですが、ご自分で”精神科医療になじまぬ文脈・・”という文を紛れこませたり、危うく自分が発病(精神病を)しかねない精神状態を体験していたことを登場人物の回想に入れるなど、文学者としての素養は充分です。かねてからその読書のフィールドの広さには敬服していたので、この小説はそんな先生の今までの仕事の集大成なのかなあと思う次第でした。
そうはいっても事実は小説より奇なりの言葉どおり、臨床での経験はアッと驚く症例を登場させ、読者を五百頭(いおず)病院ワールドへ迷いこませます。15年間もひと言も言葉を発しない患者が登場、いわゆる緘黙の患者さんですが、その治療に挑むのは三人の若き臨床医、それぞれの性格や考え方、治療スタイルが異なります。それらをていねい精神科領域の医療も含めて説明してゆく課程がこの小説の根幹を成しています。
そして、常人とはちょっと毛並の異なる患者を取り巻く人々。彼らもこの小説のスパイスとして彩りを添えます。
この小説で春日先生の分身として登場するのは、津森慎二医師だろうというのは容易に想像できました。
それにしても、この小説は単なる臨床経験をつぎはぎしたものではない読み物としての醍醐味がありました。治療?が終了してそれで終わりという単純な結末ではなく、最後の一滴まで美味しかったというスープを飲み干した気分になったのはさすがです。
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前院長であり、短い期間ながらも一緒に仕事をさせていただいた春日先生の初の長編ということで手にとった本。
患者や病棟の描写にリアリティがあり、精神科医療に関する説明も丁寧でわかりやすい。医局の人間関係に対するちょっとしたアイロニーには、思わずくすりと笑ってしまったり。医療エンターテインメント、医療ミステリーというカテゴリーなのかもしれないけれど、春日先生の話しぶり、柔らかなたたずまい、カルテの文字などが浮かんでくる分、「15年間緘黙状態にある患者に、3人の医師はどうアプローチするか」というテーマについて語られるのを聞いているような感覚。いわゆる難ケースについて、ラフな場でケースカンファレンスが行われているような。
ミステリーとして読むよりは、精神科病院の内情、精神科治療の他科とは異なる困難さ、人間に起こりうる不思議とも言うべき症状などについて、温かな好奇心をもって読む方がしっくりくるかも。多分に身近すぎる内容ゆえに、つい元ネタを邪推しながら読んでしまったが・・・。もしこのようなケースが見えたら、うちではどのように対応するのだろう?と考えると興味深い。
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三者三様の精神科のお医者さん。
彼らがアプローチすることになった緘黙を15年も通す患者さん。
ず~っと「彼はなぜそういう状態に?」って謎があって
最終的に理由は「ええええええ!?」だったりだけど
そんな理由だってこと自体が
精神科のお医者さんにかかわる人物としては相応しいのかな?
まぁ、主たるこの患者さんの謎云々より
精神科病院のなかとか
医療にあたる方々の気持ちとかのほうが
興味深かったデス。
ってことでジャンルは敢えてミステリから外しまシタ。
この作者さんのノンフィクションの著書も読みたいな。
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一言も発さずに横たわったまま何年も過ごす男性患者の治療に挑む3人の精神科医の奮闘。
医療従事者である著者の綿密かつリアルな描写は面白い。そこまで言っちゃうみたいな。しかし結末があっけなすぎて謎。そこまでの過程と登場人物に想いを馳せる時間のほうが長い。
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なるほど。作者の方が精神科医だけあって文字にトゲがなく優しい。
しかし内容はけっこうヘビーで現代の心を病む人たちを、そしてその人たちと向き合う医療関係者を描いている…
三人の精神科医…これがまたそれぞれ闇を抱えてそうで…
また院長が一癖二癖ありのつわもので興味深い。
シリーズ化されたらおもしろいな。
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う〜ん、これは超オススメという本でもなく、
しかし 妙に迫力があって僕はとりあえず こういう微妙なお味の小説も好きです。
妙に詳細なところに拘るというか、殆どそれだけで物語が進行して、
感動的なメッセージや予定調和的展開とは無縁な、
しかし印象的な物語
次作もあれば、読んでみたいです。d^^)
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手に取ったときよりも読み終わった後の方がテンションが上がった。こういう本はいい。シリーズ化してほしい。
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文庫で購入。
専門書はわりと読んでいて、結構分かりやすくて良いなぁと思っていたら、小説まで書かれていたとは、とびっくり。
小説としては、力士の失踪と15年緘黙を続ける男性とどう繋がるのか?とか何です緘黙がそんなに長く続くのか?とか気になりつつも…
一人称だったり三人称だったり、視点がコロコロ変わったり、唐突に話が転換したりして、正直、小説としては★2つかな。
精神科とドクターと疾患について、専門書ほど堅くなく読めるというところと合わせて★3つ。
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非常に読みにくい本だった。いくつかの場面をつないだと言った感があり、映像で見るには適しているのかもしれないが、言葉で羅列はしんどい。
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医療系のドラマばかり見ているので、本でもこのジャンルに挑戦してみようかな~と思える表紙です。
緘黙という言葉を始めて知りました。
ゆるーくだらーっと話は進みますが、緘黙の理由が知りたくて!
結局盛り上がりにかけるオチだと感じましたが、総じて面白く読めました。
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精神医学の現場では、患者が一切口をきかないことを「緘黙」状態と呼ぶそうです。その「緘黙」を何年間も貫いている人物が、ある地方の病院に入院してくるところから物語が始まります。患者の担当医となったのは全く異なるタイプの3人の精神科医。手を尽くして患者の精神状態を探り、あの手この手で喋らせようと奮闘しますが、患者は断固として口を開いてくれません。
現役の精神科医が執筆しただけあり、描写にリアリティがあって非常に読み応えがありました。
なお、著者は大変な読書家として知られていますが、なんと作中に渋澤龍彦の『高丘親王航海記』が登場します。どのような状況で登場するのかは読んでのお楽しみです。
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なんだかなぁ...という後味が残ってしまった。病棟描写のリアルさとか、三者三様の病理解析とか、院長の狸振りとか悪くはないと思うのだけど、結局のところ病人の特異性だけが病因だったのだろうか。