紙の本
経済学を知らない人にオススメです
2017/01/01 23:18
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学の学部で習うような経済学について、身近な事例を利用して簡単に説明している本です。大学で経済学を学んだことのある人であれば、懐かしさを覚えるでしょう。またこんなに簡単なことであったのかと思われるかもしれません。逆に大学などで経済学をかじったことのない人にとっては、経済学に興味を持つきっかけになるかもしれません。
図が多用されていてわかりやすいでしょう。ただし、数字はあくまでも説明の便宜のために用意されたものであり、実際のデータに基づいているわけではありません。経済学が机上の空論といわれることもありますが、その理由がわかるのではないでしょうか(もちろん机上の空論と思われないために身近な事例を経済学を用いて説明しようとしているのですが)。
この本で一貫して主張されていることは、取引コストの重要性です。これは“いろいろなモノやサービスを取引するときに、取引されるモノやサービスの価値に対する支払い以外に生じるコスト”のことで、たとえば本書の事例を参考にすると、スーパーで85円で買えるお茶を観光地で150円で買うことについて、その観光地までお茶を運ぶことに対するコストなどを考慮するとその差額は妥当だといえることがこの取引コストという概念によって説明されるわけです。
携帯電話の料金についてはこの本の書かれた2007年頃から問題になっていたのですね(2017年現在においては状況が変わっていますが、相変わらず日本の携帯電話料金体系は問題があるものといえますね)。日本の携帯電話メーカーがダメになるわけですね。
焼肉とステーキについて、両方とも高品質な肉をおいしく食べたいとの欲求があるときに食するものであるが、前者は自前で焼くため料理人のコストがかからないが、うまく焼く自信のある人が得をし、そうでない人が損をするもの。一方の後者が料理人による上手な調理があるため、肉を焼く技術は消費者に求められず、必ず均一化されたおいしい肉を食することができるが、料理人のコストがかかるため高くなる傾向にあると考察されています。面白い視点であり、そのようなことを考えたことはありませんでした。実際同等程度の肉について焼肉とステーキってどっちが高くなるんですかね。イメージとしては確かにステーキの方が高そうですけど、肉質の問題なのではとの気もするんですよね。
子供の医療費無料化について、医者にかかるということは治療費としての金銭的な部分が減ったとしても、本来医者にかかるようなものでないものまで病院にいくことになるから、長時間待つことになる(時間という取引コストが増える)ため、子供を持つ親にとっても本当に良い政策であるとはいえない、むしろ不公平な悪い制度であると筆者は主張します。この考え方はまさしく取引コストというものを的確に表していると思います。日本の財政が悪化している中で医療費を削減する必要があるという方面からのアプローチでなく、基本的に恩恵を受けていると思われる人々にとっても実は損をする政策なのだというこの発想は、コロンブスの卵のように思われました。
紙の本
価格のカラクリを教えてくれる優しい経済学入門書
2019/02/17 10:21
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投稿者:文学少年A - この投稿者のレビュー一覧を見る
スーパーなら88円のお茶を買えるのに、店の前の自販機で150円で買う人はいるのはなぜか?特定の地域にコンビニや家電量販店が出店するのはなぜか?100円ショップはなぜ安く売れるのか?携帯電話の料金体系はなぜ複雑か?等、身近な価格の疑問を本書では例えで図やグラフなどで書いて優しく教えてくれる。
なお、著書の吉本佳生は経済学者だが専門は金融である。
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同じ物でも売っている場所によって何故値段が違うのか。同じ物でもデザインが違ったり、機能が良いと価格が違う理由は何故。普段生活していて当たり前のように思っている事を、その理由を深く探っていくことで、価格の中に含まれている様々なコストに付いて理解することができる。
普段の生活の中で、物を買うときに何故この商品はこの価格なのだろうかと考えることができるようになるので一度この本を読み、物の本当の価値について考えてみてほしい。
何故その商品はこの場所で売っていて、この価格が付いているのか分かる。
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主にコストの視点から、普段の生活に関係する商品やサービスの経済的な仕組みをやさしく解説している。電化製品やDVDなどの価格が段々と下がっていく仕組みや、携帯電話の料金体系が複雑な理由などを取り上げている。
身近な話題と経済の仕組みが関連付けて取り上げられているので、中学生くらいの子達が読めば色々と勉強になるのではないか。現在の義務教育でどの程度、経済問題を教えているかは知らないけれど、こういうことを知っていることは確実に人生の役に立つと思う。まあ、もう少し価格が安くならないと中学生には買えないけどね。
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自分はスタバでいっつもTallサイズなので「どんなもんじゃい」という心持ち、かつ、最近は経済学、特にオバサマ方が食い付きそうな家庭の経済学がクローズアップされることが多いのでちょっと勉強してみようという心持ちで手に取った一冊。
まぁ表題に対しての結論は置いといて(ってか明確には示されていない)、店頭価格の設定方法や値下げのカラクリ、儲けの中身などイラストを交えてわかりやすく説明されています。そして、具体例もいくつか示されているので自分の消費を見直すきっかけにも、もちろんウンチクにもなります。
100均、家電量販店のポイント制度、携帯電話の料金プランなどなど…それが私たち消費者のためのやさしさではないことがわかる痛快な一冊です。あと、なぜCDには初回限定版があるかわかりますか?これを読めばナットクいくこと間違いナシです。
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文庫本化していたので購入。
小売業に身を置いている人間にとっては
正直目新しいことは何もないかもしれません。
常日頃から考えていることが活字化されて
確認できたという点、自分の知識レベルが上がってきたことを
確認できたという点ては有意義な読書タイムでした。
逆に言えばこういった本が売れるといことは
消費者意識と販売者の意識の乖離が起こっているということ。
他店競合だけではなく消費者マインドにも考慮できる人材が
増えて欲しいですね。
諸外国と比べて小売業のレベルが低いと言われて久しいので。
つか文中にある某企業の
棚卸1パーセントロスで解雇って本当なのかな?
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喫茶店でコーヒーをよく飲むので、
タイトルに惹かれて購入。
データを用いて客観的に理由が
示されているのでわかりやすい。
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国際金融を得意としている筆者の一冊。これは単行本版がベストセラーになって、しばらくの間、書店で平積みになっていたので見かけたことがある方も多いのでは。
仙台駅の本屋さんにフラっと入ってみたら、文庫版サイズになっていたので即買い。新幹線の中で読むためだ。
タイトルにあるスタバに関する記述は実は少々で、実際には携帯電話の価格設定や、ペットボトルのお茶の価格がコンビニ、スーパー、自販機でなぜ違うのかなどを、「取引コスト」と「裁定価格」の理論などで事細かに解説している。
筆者のように価格の違いを理論的に考えながら買い物をすることが最も「取引コスト」が高いのではないかと思ったのは、私だけではないはず。
だが、世の中の価格戦略のノウハウを知ることができるので、ためになる一冊だ。
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そうか~、あの値段の背景にはそんな考えや仕組みがあったのか~。
著者本人による的確なあとがきの書き出し、ここに本書のエッセンスがつまっている。
「私たちが生活していく中で購入するモノやサービスの原価を突き詰めて考えていいくと、私たちの支出の大部分は、広い意味での取引コストに対する支払いになっていることがわかります。(p.275)」
面白くわかりやすく、身近な話題から事例を採るという親切心が仇になって、2006-2007年くらいの、つまりリーマンショック以前の事例が豊富なので、陳腐化してしまった箇所も少なくない。でも、そういう枝葉を覗いて幹根をみれば、ますます本書の主張が輝く。
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思ったより多くの業界のコスト構造と商品の価格設定について書かれていて面白かった。この本のタイトルや、章のタイトル「牛肉を、ステーキ店と焼肉屋のどちらで食べるか」とか、「そんなもんその時の気分やろ」という違和感はあるけど。ブックオフで100円はお得でした。
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価格と言えば需要と供給曲線のあのグラフしか思い浮かべることができない私ですが、この本では、裁定と取引コストという概念を使って説明しています。これが実に目から鱗というのか斬新というのか、素人の私には新しい発見がたくさんありました。
もちろん、スタバの話に終始しているわけではありません。ペットボトルのお茶やテレビ、デジカメの価格、大ヒット映画のDVD、携帯電話の料金、100円ショップ、経済格差、子供の医療費の無料化など、実にテーマが豊富で、どれも我々の感覚をいい意味で裏切ってくれます。
特に私が印象深かったのは、経済格差について議論している第7章です。 p.172「そもそも、高所得者②と低所得者との間の格差が問題なのだとすれば、その根本の原因は高所得者②が持つ「特別な地位」にあり、これは一種の資産です。これこそ、筆者が本当の問題は資産格差にあると考える理由です。」あたりの解説は、思わずうなってしまいました。
また、その後に比較優位という考え方が紹介されるのですが、たとえ低い能力の人であっても、分業においては、その人なりの優位を発揮できる仕事があると書かれています。一般的には、能力が高い人が何でもやった方が効率がいいように思いますが、この辺りも新しい発見がありました。
それにしても、携帯電話の料金体系は複雑です。この本を読むとその理由がおぼろげながら理解できましたが、到底納得はできません(笑)。ぜひ、各携帯会社にご再考いただきたいものです。
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扇動的な本かと思いきや、結構ガチガチの経済入門書で、なかなか読むのに苦労しました。 しかし、身近な実例を扱って説明が行われているので、分かりやすく、身近な経済に対して興味が湧くような内容です。
内容、ボリューム共に自分にとっては中々読み応えのある本でした。
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最初はマーケティングの本と思って手に取ったのですが…
ペットボトルのお茶という同じものが、自動販売機、コンビニ、スーパー、ディスカウントショップでは、なぜ異なる値段で売られているのか?を始め、デジカメとテレビ、携帯電話、スタバなどシアトル系カフェ、100円ショップなど身近な話題を経済学の観点から、分析し、わかりやすく説明している本です。
経済を勉強したい高校生、社会人1年生(特に経済を勉強しなかった)におすすめです。中堅クラスのビジネスマンにとっては、「そんなの知っている」ということも多数ありますが、難しいことをここまで単純化、簡素化してまとめ、伝える能力は素晴らしいと思います。
個人的に参考になったのは、子供の医療費の無料化は本当に子育て支援になるか?(第8章)社会の動きも経済学から分析するとこういう意見がでるのかと感心させられました。
久々に絶対読んで欲しい1冊です。
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日常にある商品サービスの価格上の本質に触れる。
基礎的な経済学の勉強にも。
事例が身近で視点を得やすい。
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”「時間と労力(手間)、余分なお金の支出、他の資産の使用、心理的負担」といったものが、買い物の代金とは別にかかるとき、それを取引コストと呼びます。”
本書は、取引コストという概念を中心に、私たちの生活の身近にある家電量販店や100円均一ショップ、スタバなどを例に挙げて経済学の基礎的なことを教えてくれています。単に知識的に「経済学」を学ばせるのではなく、生活と直結させて「経済学」について伝えてくれるので経済のことを全く分からない人でも自然に理解出来ると思います。
これを端として、これから周囲にある色々な料金体系などについて気を配っていきたいと思いました。