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増田 悦佐 (著)
前作『日本と世界を揺り動かす物凄いこと』の続編は、2012年に日本と世界が体験するさまざまな金融事情を、分かりやすく、辛辣に、的確に解説する。
2012年――。
アメリカもヨーロッパも2011年の初夏あたりから噴出し始めた問題はますます深刻化し、多岐化してくるだろう。中国をはじめ新興国からは隠し切れないボロが出てくるだろう。そして、世界中が大暴風雨に見舞われたような経済環境になる。
でも、その中で、金と日本経済は変わらぬ価値を光り輝かせるはずだ!
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日本国債の残高が増えて大変なので増税するという方向に行きつつあるようですが、この本では増田氏が日本をとりまく世界経済(米・欧・中国)について近未来の予測を記しています。
中国に関しては今後も注目する必要はあるとは思いますが、欧州の将来はかなり厳しくなりそうですね。娘達の教育資金を何で貯めようかとこの10年来悩んできましたが、本文の最後にあった「日本円とゴールド(p242)」でとりあえず良さそうですね。
以下は気になったポイントです。
・アメリカは完全な私的団体である政党を通じて登録しなければ、選挙権を行使できない仕組みになっている、IDカードに党員が登録で世襲制(p21)
・アメリカで生活保護やフードスタンプが必要な人は、全人口の48%にものぼる(p24)
・アメリカ人の平均所得は3年連続で減少して、15年前と同レベル、メディアン値は4.9万ドル(375万円)、12年前のピーク比較で7%減少(p27)
・金融業の雇用者数は全就業人口の5%程度だが、生産高で16,利益高で32%を占めている(p31)
・リーマンショック後の救済資金の合計は、14.4兆ドル(1094兆円:日本のGDPの2倍)、連邦政府とFEDの拠出が半々、そのうちウォール街は12.2兆ドル受領、国民は1.8兆ドル(p35、50)
・アメリカロビー活動の4天王は、医療健康、金融保険、エネルギー天然資源、通信電気機器である(p45)
・全世界GDPが63兆ドルに対して、外国為替市場総額は 955兆ドル、デリバティブ総額は601兆ドル(p53)
・バフェットもここ数年は判断が鈍ってきた感じがする、BYDの電気自動車は不調(p62)
・オバマはエネルギー独立宣言をしたが、本命は太陽光・風力・地熱ではなく、シェールガスの発掘で中東ロシア依存を脱却するのが目的、ただし現在は埋蔵量が少なかったり液体可燃物が水道網に混入して事故(水をひねってマッチすると火が発生)発生(p83、85)
・オサマビンラディンの容疑は、911同時多発テロでなく、1998年8月のタンザニア、ケニアのアメリカ大使館に対するテロ容疑者として訴追されたもの(p89)
・日本の被災を見て、部品を代わりに輸出しようというケースが頻発したが、ほとんどが門前払い(p92)
・2001年12月、エンロン破綻直前まで全ての有名格付け会社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)は最高格付けを与えていた(p101)
・TEAパーティの意味は、Taxed Enough Already(もう、うんざりするほど課税されている)である(p105)
・日本経済はデフレなので、10年物国債が生み出す実質金利は 1.3-1.7%となり、低すぎないので、新発債はだいたい3-5倍の応募あり(p108)
・アメリカ政府、州政府債券の合計はGDP比較で87%、債務保証債権を含めると263%で日本と同レベル、企業家計負債を含めると311%(p111)
・フランス国債の利回りは、ギリシア、ベルギーに続いて3番目に大きな上昇を示している(p141)
・フランスが少子化対策として使ったのは税法の転換、家族数で所得を割り、��人当たり所得に対して累進課税をした(p142)
・歴史上、他国に戦争をしかけたのは15-25歳の若年人口シェアが高いところばかり(p143)
・イタリアとギリシアの国債償還スケジュールは2012年に集中している(p145)
・アメリカは今後20-30年間は、微増収、微増益というかたちで国家を再建するだろうが、欧州は100年程度はマイナス経済成長となる(p171)
・中国の消費よりも投資が多いという傾向の持続は、投資効率がいかに悪いか示している(p178)
・不動産取引(消費の半分を占める)で、土地代金分はGDPにはまったく寄与しない、付加価値ではなく持ち主が変わっただけなので(p179)
・中国が必死に増強しているのは、人民解放軍の中核である陸軍、自国民の反乱を抑えるため(p181)
・所有権の基盤があいまいなところで起きる不動産バブルはあとが怖い(p182)
・太子党とは組織があるわけでなく、共産党幹部の二代目に付けられた集合名詞(p187)
・中国の外貨管理制度は、国内企業の稼いだ外貨は国家がすべて吸い上げて、かわりに外貨相当の人民元を渡す(p188)
・中国では就業人口の3%の外資企業が、輸出の55%、GDPの22%、成長率の41%を占める(p190)
・インフレ、人件費高騰、人民元高の三重苦がさらに撤退を促進する(p194)
・レアアース、レアメタルの「レア」は多くの物質とすぐに化合するので自然環境では「めったに」単体では採集されないという意味で、埋蔵量がないのではない、コスをを掛けなければ潤沢に埋蔵されている(p195)
・テレビやiPad等の付加価値の高い部品はすべて日本製、いままで海外進出していたPC組み立て工場がどんどん日本へ戻ってきている(p217)
・すでに海外進出している企業のみの統計でも、海外生産比率は30-35%(全体では20%)つまり、主力は日本国内(p220)
・日本の銀行、年金のファンドマネージャは、はるかに安定してプラス運用のできる資産として日本国債を購入している(p222)
・PIIGS危機発生前まではスウェーデン経済が弱いと言われていたが、自国通貨を切り下げることで危機の局地化に成功、自国民の生活水準は下がった(p226)
・日本の金輸出が過去最高水準、昨年(2011)8月は売り時であった(p232)
・金で計った主要通貨では、日本が一番値もちがよい、2010年現在で1980年と同様(p239)
・これからも、インフレでもデフレでも、貨幣価値に疑問が生じた時には、ゴールドは上昇することになる(p241)
・今回の金融恐慌を小さな傷で乗り切るには、資産の「円・金化」を進めること(p242)
2012年2月5日作成
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アメリカとユーロ圏経済の疲弊、実態の薄い中国経済からして、「上がっていくのは金価格と円のみ」と論じます。定期的に読まないと、と感じる書き手です。
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2012/04/09:読了
普通に、アメリカ・ユーロ・中国は大変という本だった。
この人は、こういうスタイルの本は似合わない。