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本書は新書版なのだが元本が単行本で出来た時、カバーの司忍組長の
写真が格好良くて思わず衝動買いしそうになった。いかん、ヤクザの組長
でジャケ買いしてたらきりがないぞ。そう自分に言い聞かせて諦めたの
だが、今回は買ってしまった。
言わずと知れた日本最大規模の暴力団・山口組。その六代目となる司忍
組長は組長就任とほぼ同時に服役し、昨年府中刑務所から出所。
その留守を守ったのが高山若頭。組長不在の山口組が高山若頭の采配
の元で過ごした日々を綴るドキュメントである。
いや~、ヤクザの世界も庶民や政治の世界と変わらないね。5代目を慕う
直系組長を次々と遠ざけたり、若い勢力を引き上げて地盤を盤石にする
のだも。
それに、後藤組組長の除籍処分の時にこれに抗議する組長たちの連名
でマスコミや直系の組にファックスで送られた文書なんて、国会の証人
喚問かよ?と思う。
曰く、月々納めている会費が値上がりしたが使途が明かされてない。
曰く、飲料水や雑貨の強制購入での収益はどうなっているのか。
曰く、五代目時代に会館を作ると言って20億円を集めて土地を買ったが、
その後売却されている。金の行方は?
曰く、五代目時代に貯蓄した10億円はどうなっているのか。
おまけに、各組間や組内部での貧富の格差も広がっているようだ。ヤクザも
楽な商売じゃないんだな。
警視庁は山口組壊滅を狙った暴力団排除に懸命だが、著者も言っているよう
に日本の暴力団がマフィアのように地下に潜ったらその方が怖いんじゃないか。
ヤクザはヤクザと分かってこそ民間人も気を付けるんだろうし。
新書版ではチンピラ芸人の芸能界引退事件が加筆されている。まぁ、芸能界
とヤクザの関係なんて斬っても切れないものだから驚きもしないが。
現在の山口組の組織を知るには良書である。尚、私が大阪府警を「第2山口
組」と読んでいるのは内緒である。笑。