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朱雀帝、前々からあやしいと思っていましたがやはり…。私は男君メインで源氏物語を読んで行きたいと考えているので、著者の女君賛歌に陥らないバランス感覚ある論考が、大変読みやすく感じました。
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『窯変源氏物語』の著者が、紫式部の源氏物語に登場する男女について語った本です。
漢文を読める女だった紫式部には対句法的な発想の仕方が身に着いていたと著者は言い、それを『源氏物語』の物語構造の中に見いだしていきます。
また、物語の中に見られる三角関係や同性愛のモティーフを掘り起こして、近代的な自我がいまだ確立されておらず、恋愛のスタイルないし「美学」だけが存在した時代に、うっかり「自分」というものに気づいてしまった紫式部の視点をあぶり出すという、たいへん興味深い試みもなされています。『源氏物語』を現代から読むこうした発想は、やはり『窯変源氏物語』という試みの中で獲得された視点なんだろうなあという気がします。
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橋本治といえば、古典文学や古典芸能など庶民には敷居の高いものをシンプルにわかりやすく教えてくれる、私にとっては、ありがたい啓蒙家の代表みたいな存在です。ですが、「源氏物語」についてはどうでしょう?例えば、込み入った系図からひと筋の線を見つけて絵ときする手並みはさすがですが、全般的には解釈がしっくりこない。続けて下巻を読みますが、大作「窯変源氏物語」の作家ではありますが、源氏読みとしてはいささか向いていない印象を受けました。
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宇治十帖から退屈になったので、息抜きに読んだ。退屈な理由がわかった、まだ浮舟が出てきてない、これからだった。
行事のたびなぜ源氏や夕霧が非常に細々した指示を家司に出しているのかなど数々の不思議の回答もここに有。忠義は江戸以降の常識、この時代は美学はあってもモラルや気配りは無。出世のためになれば家司という奉仕もするが、献身を約束してもそれで「やれ一安心」となったら平気でさぼる。
女房が女主の前でこれ見よがしの悪口を言うのも、女房も元は世間知らずの姫だから。女房は、教育をしてくれる後見を欠く姫の、生存手段でもあったから。
才女は貴重。
しかし傅かれる姫は存在することが仕事、ただただ退屈。
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とても細かい内容が、
思いついた順に書かれているという感じで、
なかなかすっきりと理解できないのだけれど、
でも、とても示唆に富んでいて、面白かった。
特に、桐壺の更衣と死別した時の桐壺帝の年齢が18歳
この推定には驚いた。
なんとなく、中年の桐壺帝を想像していたので。
こんなに若い青年だったなら、そして初恋だったなら、
あの取り乱し様も理解できる。
ちょうど、夕顔に溺れた光源氏のような状態のように。
そして、また「うるはしき姫君の日常」として
18畳の部屋に、2畳くらいのベッドがあり、
それだけが、高貴な姫君の生活空間、
というのも衝撃だった。
しかも、することは何もない。
退屈を紛らわすための娯楽などがあるだけ。
御簾ごしに眺める庭が外界のすべてで、
訪れる男君をただただ待つだけ。
末摘花は、教養もないので、訪問者はほぼなく、
貧乏なので、退屈しのぎにすることも限られ、
本当に終日ボ~~っと、待ち続けていたのだろう。
想像するのも恐ろしい日常だけれど
宮家の高貴な姫君だから、それを苦ともしなかった、
というか、そういうのが当たり前だったのかもしれない
本当に、平安時代って、びっくりさせられる。