紙の本
17歳の女子高生。老若男女が追体験できてしまうこの言葉のパワー。
2012/01/10 11:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の原型は既に絶版になっている『ハッピーアイスクリーム』。
著者が17歳の女子高生だった2001年、
歌人・枡野浩一氏のプロデュースによって
出版された短歌集だ。
枡野氏といえば…
『作家の手紙』というアンソロジーにノンフィクションの手紙を載せてみたり
なかなか興味深い人物である。
彼のもっとも有名な短歌(でいいのかな)といえばやはりこれだろう。
増野ではなく升野でも舛野でもなく桝野でもない枡野なんです。
(「益野」や「増埜」はいいの?っていう突っ込みはしないように。)
で今回。
その処女作品『ハッピーアイスクリーム』に、
五篇の短篇を加えて出版されたのが本書、
『ハッピー☆アイスクリーム』である。
お目当ては短歌だったのだけれど、
この短篇小説がいい。
どう「いい」かというと…
解説の中村航の言葉を借りると「ワカった」のだ。
高校生なんでわたしにとってはもう随分昔だし、
仕事先で高校生と接することがあるから
一般的な事務職よりは高校生が身近だけれど、
やはりその存在は眩しい。
そんな「昔」が舞台の作品を、
自分が楽しむことができるのか、ちょっと不安だった。
しかし読み始めたら一気。
繰る手が止まらない。
気が付いたら読み終えてしまっていた。
「共感」っていうのとはちょっと違う気がする。
この感覚はなんていうのだろう、「感情移入」?!
それもぴんとこない。
ただ。
各短編の主人公の行動と、
自分がシンクロしてしまうのだ。
わたしだったとしても、そうしてしまっている…。
造語なのだけれど、「響感」とでも表せばいいのだろうか。
うまく表現できないのがもどかしい。
それは恋だけじゃなくって、
将来のことや進路のことを
思いあぐねていたあの頃。
今現在そんな悩みを体感している
職場の高校生バイトちゃん。
それを羨ましくも微笑ましく見ているわたし。
だけど…
本書に没頭していたその時間、
まるで「あの頃に」タイムスリップしたみたいだった。
重要と書かれた文字を写していく なぜ重要かわからないまま
どうしようどうしていいかわかんないどうしようあたしあの人が好き
「燃やすとき公害になる」補聴器の電池を抜いた入棺のとき
ついてない びっくりするほどついてない ほんとにあるの? あたしにあした
人生はこれからなどと気の重くなることばかり聞かされている
かんたん短歌(糸井重里氏が命名らしい)。
簡単にできる短歌ではなくて、
簡単なことばで出来た短歌。
だから誰にでもわかる。
難しいことを難しく解説することは案外簡単。
でも難しいことや形にみえないものを、
平たく表現するって難しい。
それができるひとにわたしもなりたい。
『ハッピー☆アイスクリーム』収録作品
・また雨が降る
・十八歳で夏
・不幸な場所
・いつか離す手
・Today is the day.
・短歌
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初めて読んだのは多分中学生で
そのときの衝撃は今も忘れてない。
今はもぅそっち側にいれない部分もあるけど、きっと根本は何も変わってない。
オザケンはあたしにも特別だ。
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加藤千恵さんの本はよく目立つなあと思っていた。おかざき真理さんの表紙イラストの鮮やかな色づかいのおかげで、そこだけ何か違う世界のようです。
「ハッピーアイスクリーム」という歌集で高校生の時にデビューをしている加藤さん。その歌集およびその歌を織り交ぜた形の短編小説が収められている。高校生デビューって何気にやはりすごいですよとしみじみと思う。
短編小説に登場するのは、どれもどこか自分の感情をもてあまし気味の女の子たちで、とてもせつない場面ばかり描かれる。甘酸っぱい。「ハッピー」と題にあれど「ハッピー」な感じではない。ふられることの連続。でも「ハッピー」という底抜けに明るい言葉が何となく似合う感じもする。この本の作りがもつ雰囲気や、この本が確実に愛される相手がいることを想像して、そう思うのだろうか。
ちなみに解説によると「ハッピーアイスクリーム」というのは、誰かと誰かが同じことを同じタイミングで言った時に言うローカルルールみたいなものなんだとか。そういえばそういうものがあるとどこかで聞いたことがあったような気がするのに、すっかり記憶から抜けていた。ローカルルールを共有する人と、それにまつわる愉快な思い出を持つ人に、この本は作用するだろう。
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短歌なら短歌。小説なら小説(短歌がはいっててもいいとおもう)にしてほしかった。
一度短歌集の方で味わったことのある短歌達だからこそ、
そこに小説が加わって、自分の味わい方を変えられてしまうのが少し寂しかった。
各小説はかとうさんらしくて、好きだった。
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高校生っていう、もう子供じゃないけど大人にもなりきれない、
そんな宙ぶらりんな時代を切り取った、31音の歌たち。
変わり映えのない毎日に嫌気がさしたり、
些細なことで大騒ぎしたり、
卒業したらきっと世界が変わるって信じてたり、
でもずっとこのまま高校生でいられればいいのにって願ったり。
登場人物に、かつての自分や友達が重なって、
「私も『高校生』してたんだなぁ…」ってしみじみ。
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ある出来事、感情をすごくまっすぐ書いてある一冊。共感とはまた違う気がするが、なぜか惹かれる、読む手が止まらないそんな本。
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いくつもの言葉を知ったはずなのに大事なときに黙ってしまう
世界中の音や音楽買い占めてなんとか夜を乗り切らなくちゃ
正論は正論といてそれよりも君の意見を聞かせてほしい
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2001年に出版された『ハッピー・アイスクリーム』はすでに読んでいた。やはり短歌が輝いている。重要と~はね、笑っちゃうくらい本当のこと。一人で旅に出る妄想したなぁ。今もするけど。
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昔読んで、そのあと絶版になったのか全然見かけなく
なってしまい、残念に思っていたところ、集英社で発売!
あの頃の、やるせない気持ちや、ドキドキした気持ちが
甦ります。
新たに加えられた小説五編もよかったです。
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加藤千恵さんの短歌集+短編小説。
十七歳の高校生だった加藤千恵さんが2001年に出した初めての短歌集『ハッピーアイスクリーム』は前から読んでみたいと思っていたのですが、ずっと見つからなくて、そしたら何と今回、10年の歳月をへて、「ハッピーアイスクリーム」に収録されている短歌に、新たに5編の短編小説を加えたリミックスバージョンが発売!!
スゲー嬉しい♪
短歌って、本当に限られた言葉の中に世界がギュッと表現されていて、だからよけいに読む方の想像力が刺激されて、私はけっこう好きなんです。
たまにすごく共感できる言葉があったりすると、すごく嬉しくなります。
10年たって、作者によって新たに加えられた短編小説の方は、主に女子高生が主人公で、恋愛青春ものといった感じ。
解説は、これまた言葉の使い方が上手で私の好きな小説家、中村航さんが書いてみえます。
いい大人が高校生の書いた短歌を読んで感動しています。
「共感」するって年代とか性別とか関係ないですね。
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この本を初めて読んだ時、 私はまだ学生で 彼女の作る短歌に共感しながらもすごく衝撃を受けた。
それと同時に、その才能に嫉妬のような感情を抱いたことも覚えている。
それから 時は随分たって、社会人になった私も
再度手に取ったこの文庫本に また同じような共感と衝撃を受けている。
選ばれた短い彼女の言葉達は 難しいこと抜きに 心に刺さる。
これは 単純にすごいことだと思う。
幾つになっても 恋は 切なくて 痛いのだ。
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短歌+小説集。
甘酸っぱ過ぎて恥ずかしい。
back number など、
過去のリアルタイムと若干連動。
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きっとありふれた情景を、当たり前のままにせずにすくいとっておいしそうに並べた本。わかるわかる!と続けざまにぽんぽん食べたくなるビターチョコレートみたい。
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作者の名前につられて。
短歌集、とのことだったけど、川柳?
季節感は薄い。
一首も頭に残らなかった。
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10年前ってどんなだっけ?
大切な君がいたから幸せでそんな自分に惑わされてた
そんなかんじ!?(笑)
大切な人との関係は永遠ではないと知り、自分を本当に理解してくれる人なんて自分以外には有り得ないのだとある日思った。
そんな17歳。
今、27歳、どーなっただろうか…。
永遠ではないとしてもねその時はリアルであって大切なんだ
ってかんじかな。少し緩くなったのかもしれないなぁーと思ったりした。