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「あの日、パナマホテルで」読了!
ビター(苦味)=(苦い記憶より)の中にスイート(甘味)=(甘い思い出)が見つかる小説で、爽やか。
ヘンリーとケイコのとっても甘く苦しい物語は、特に最後の100ページ、読みながら『グッ』とこらえる場面が連続してすばらしい。
Happy Endなのもいいな。
時間の空白は距離を作ってしまう!
確かにその通りだな。
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第二次世界大戦時と1986年、中国系アメリカ人ヘンリーの二つの時間軸の物語です。大戦時のアメリカの様子も、東洋系移民どうしの複雑な関係も、今までろくに関心を持たずにいられた自分に疑問です。その中で生まれた中国系少年と日系少女の初恋の、なんと直向きなことか。状況に振り回されても負けることはない、その思いの強さに胸を打たれました。一方で大人になりかけの彼らは親の事情を拒めない。特にヘンリーは父親にあくまでも中国人であることを強いられつつ、広東語で話すことも許されない。ずっと葛藤を持っていたにも関わらず、1986年のヘンリーは息子に「おじいさんにそっくりだ」と言われるようになっている…。血筋・家系の重さについても改めて考えましたし、時代の流れの不思議な力についても思いを馳せました。とても密度の濃い作品です。
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全米110万部のベストセラーとのことで、読み始めたが、重く、どうしよう・・・と思った中盤まで。
後半は、ぐいぐい惹きつけられた。
戦時中、日系アメリカ人の強制収容によって、引き離されたヘンリーとケイコ。
ヘンリーの息子マーティは、彼女は行きたくなかったし、父さんもいってほしくなかったはずと言う。そして、厳格な中国人のヘンリーの父が、日本人のケイコとの仲の干渉に対して、どうして全部受け入れられるのかと信じられない様子で、「機会はあった。」と。
ヘンリーは、割れたレコードのように修復できないものもあると思っていたが、親友であるシェルドンから、そろそろ修復してもいい頃だと背中を押される。
どうしても逆らえなかった時代背景がある。
最後は誰の気持ちも傷つかなかったのが、よい。
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Hotel on the Corner of Bitter and Sweet
By Jamie FORD
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甘く切ない、ややもすれば陳腐な物語。しかし、この小説がそうではないのは、太平洋戦争期アメリカでの日系人の辛さ、過酷さがバックにあるからだ。時代を克明に描くことで、物語に深みがでる。その描き方が半端ない。山崎豊子の「二つの祖国」のようだ。そんな背景をもった甘いドラマだから、より切なさが増している。時代を知りながら、物語も楽しむことができる小説だ。
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訳:前田一平、原書名:HOTEL ON THE CORNER OF BITTER AND SWEET(Ford,Jamie)
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原題のBitter and Sweetな初恋物語。
戦時下のアメリカでの中国系と日本系ロミオとジュリエット的二人は、強制収用所というさらなる障害で時代の不運を増し、それを40年の月日を経て甦らせられるので、最初から最後まで切なく胸が疼きっぱなし。
12歳、離れ離れになる運命、初恋、失わた思い出の品。絶対ハマると思ったが、ど真ん中だった。
そして忘れてはならないのが40年来の友人。ラストの言葉でこの作品が、三人の物語だったと気付く。
二人のための曲があるっていいね
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一気読みした。第二次世界大戦のときのアメリカ・シアトルで、中国系の少年と日系の少女の恋と冒険と成長の物語なんだけど、日本人街や収容所、それから人種差別などのことも書かれていて興味深かった。
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シアトルにあった(いまもあるらしい)パナマホテルに関わるお話。第二次世界大戦時にあった日系人の強制移住によって仲を切り裂かれた若い二人がいた。一人はシアトルチャイナタウンに住む少年。一人は日本人街に住む少女。白人が通う私立学校に移民の子供ながら進学した二人が出会い、思いを深めていく。そんな出会いからすぐに強制移住による別れ、そして何十年後かの再会までのお話と言ってしまえば単調に聞こえるが、移民に対するいじめから、収容所の様子、三世の息子との確執などなど盛り込まれた天座マナエピソードが物語を深みのある物にしている。マリナーズの地元にそんな話があったとは多くの日本人はいまや忘れてしまっている。いい話でした。
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[ 内容 ]
シアトルの航空会社を早期退職し病の妻を看取ったヘンリーは、絶望の淵にいた。
そんなとき、戦時中収容所に移送されることになった日系人が密かに運び込んだ荷物が地下から40年ぶりに発見され、騒然としているホテル横を通りかかる。
目に飛び込んできた鯉の絵の傘…ケイコのだ!脳裡には、戦争のため離ればなれになった初恋の日系少女の面影が鮮やかに蘇り…。
全米110万部のベストセラー。
2010年アジア・太平洋文学賞受賞。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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あ~~~。これ、すっごいよかった!
今、読み終わったばかりで余韻に浸ってる。
私は、ワシントン州の本にもチラッと出てきた町に住んでて、シアトルには何回か行ったことあるけど、戦時中にこういうことがあったとは想像したこともなかった。
なので、かなり衝撃的でした。
出てくる地名やストリートは行ったことある所だったり、もしくは行ってなくても知ってる土地ばかりだったので、余計に衝撃を受けた感じ。
今、私たちは人種の壁もなく、私もアメリカ人の旦那と家庭を持ち平和に暮らしていけるけど、70年も前の世界ではそれは大変だったのだと改めて痛感した。
アメリカで生まれアメリカ人として生きたいのに、肌の色で正当な扱いをされず、差別される二世の子達、母国からアメリカに渡ってきたのに、母国を忘れず頑なに母国への忠誠を誓う一世の親たち、そして、肌の色は違ってもアメリカ人として難なく生きていける三世。
時代は刻一刻と変わってきてるんだな~。
そんな中、ヘンリーとケイコの許されない恋はとても甘くそして苦い。
まさに、原題の『Hotel on the corner of Bitter and Sweet』って感じだった。
家族、恋人、友人、敵、味方、母国、などなど、いろんなことが、この1942年から1945までの戦時中に詰まってて、一言では言い表せないものがこみあげてきて、なんて書いていいのか迷う。。。
アメリカに渡った日本人の戦時中の苦悩は、今まで何度も読んだり見たりしてわかってたが、中国人からみた角度では初めてだったので、とても新鮮かつ、いろいろ考えさせられた。
この本を読んでるときに、たまたまニュースで「パナマホテルに残された引き取り手のない日本人の荷物をNational Treasureに指定され展示された」と言うのを見て驚いた。
なんたる偶然。
これは是非一度行ってみてみたい。行かなければいけない。
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「移民」「アメリカ」「日系人」
超久々の読書は前々から気になっていたテーマを取り扱ったアメリカ人作家による小説。
フィクションで塗り固められたものではなく登場人物(ただし一部を除く)以外は全て実在。
史実やシアトルの街、収容所までしっかり忠実に描いているから驚き。
読者は少し想像するだけで当時の空気を体験できる。
著者が親日家なのもやっぱり嬉しい笑
中国系、日系二世の小学生男女の目線で当時の世相や自分の環境を観察したものが中心だが、それぞれの両親がアメリカに行き着いた経緯にはほぼノータッチ。
伝統に固執するヘンリーの両親、アメリカ人よりよっぽどアメリカ人らしいケイコの父親、気さくな黒人サックス奏者シェルドン。
アメリカ本土において「よそ者」(今月はこれをテーマにした作品に多く触れている気がする)と見なされている彼らが戦時色の強い環境でどう生きたのか、なかなか興味深い。
他にも私達が日本史の授業で学んだ出来事(無条件降伏等)が現地ではこんな風に捉えられていたのかと、ちょっとした新鮮さもちらほら。
秀作。
原本も読みたくなったし、自分たちの同胞があの頃「自由の国」でどんな生活を強いられていたのかもっと知っときたくなった。
現地で生まれ育った「アメリカ人」なのに国からはジャップと憎まれる。一方で自分たちの起源がある日本と戦争をしなくてはならない。
こんな感じで一筋縄ではいかん近現代史やけど今だからこそ見直しときたい。
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1年ぶりの翻訳物です。
舞台は太平洋戦争さなかの1942年のアメリカ・シアトル。
中国人2世のヘンリーは非白人は2人だけという中学で、一部の生徒から謂れのない迫害に会う。もう一人の非白人は日本語もしゃべれない日系3世の少女・ケイコ。二人は一目で相手を気に入ってしまう。
しかしやがてケイコの一家は、日本の血を引くというだけの理由で日本人強制収容所に送られることになり・・・。
著者のあとがきに「私は一作家として、この歴史のひとこまを再現することに最大の努力を払い、善意であれ悪意であれ、当時この出来事に関与していた人々の意図を判断することはしませんでした。(中略)むしろ読者の正義と善悪の感覚にすべてを委ね、事実にありのまま語らせることでした。」とあります。
著者自身が言うように、当時の世相が淡々と、しかし、しっかりと描かれます。一部の人間によるアジア人に対する迫害。ジャパニーズ・タウンの店々に掲げられた「I'm AMERICAN」の看板。黒人差別。ジャズ。そして日本人強制収容所(ちなみに日本の血を引く者を強制収容するという行為や、収容所内で思想信条を変えさせるという考え自身が非常な迫害ではあるけれど、収容所の生活自身は快適とは言えないもののそこそこ保障されたものだったようです)。
物語はその1942年と40年後の現在を交互に描く形で進みます。
1942年では、主題となるヘンリーの初恋はもちろんの事、日本人を憎む父親との確執。当時のジャズの様子、見え隠れする黒人差別。そして現在ではヘンリーと息子のすれ違い。息子の白人フィアンセとの暖かな交流。1942年当時からつづく黒人サックス奏者との友情。
登場人物も皆、見事な造形です。
やや冗長感はありますが、読み応えのある良い作品でした。
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物語は戦時中強制収容にあった日本・日系人の荷物が
戦後40年ぶりに日系ホテルの地下室で見つかったところから始まる。
ずっと蓋をしてきた苦くて甘い思い出が、その日から溢れ出してくるようになる。
読んだ居る間中、当時の大きな社会情勢に巻き込まれ、翻弄された沢山の人の運命を思うと涙が出た。
シアトルには今もたくさんの移民の名残が現在進行形で残っている。
それは日系だけじゃなく、中国、フィリピン、韓国、ベトナム含めた様々。
けれど、それぞれの苦くて甘い記憶を思い出す縁(よすが)が無くならずに居てほしい。
そう願わずには居られなくなる本だった。
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ヘンリーとケイコの幼い恋物語は、とても切なかった。
戦時下という環境と、ヘンリーの父親の日本人に対する敵対心で思うように逢瀬も出来ず、相手への気持ちは募るばかり。
そんな幼い恋をずっと引きずってきたヘンリーは、ある日パナマホテルから日本人の荷物が見つかったことを知り、ケイコとの思い出の品を探す。
そして、ヘンリーの息子とその婚約者は、ケイコ自身を探す。
パナマホテルは実在するホテルだし、オスカー・ホールデンも実在の人物である。そして、当時の日本町にあった店もそのままの名前で登場する。
活気あふれる当時の日本町に思いを馳せ、彼らの過ごした時間を少しだけ味わうことができた気がする。