紙の本
夢をみたのか?(反語)
2015/01/27 05:28
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
まぁ、ミステリーではないかなというのが本音。美術館にもそうそう行くことは無いし、絵を鑑賞することもほとんど無いと言っていい。でも作中の『夢をみた』に登場するルソーとヤドヴィガを見ていたら、表紙の『夢』を 不思議と見つめてしまった。引き込まれる絵画の魅力はそこに息づく画家の情熱にある。一概に絵画と小説が同じ面を持つとは言えないけれど、少なくとも情熱をこの本から感じ取ることは無かった。なーんか入りきれんかったなぁ。
紙の本
着想にはインパクトがあるのに、人間に深みがないのが残念
2013/08/29 17:34
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投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞の候補にもなったし、話題を呼んだ本で、興味を持って読んだ。
しかし楽しんで読めた部分もあったものの、最終的には肩すかしという感じが強い。
ルソーやピカソという西洋美術の巨人を素材に謎を作り出し、
それを追いかけてゆくというスリリングな設定には魅力があると思う。
着想は斬新といってもいいし、そういう西洋絵画が好きな読者なら
史実も絡んで、あるいはたまらないものがあるのかもしれない。
たしかに、自身が元はキュレーターだったという作家の
熱い思い、絵に対する並々ならぬ愛情も、登場人物に託されて伝わってくるし、
それに共鳴できれば感動的ともいえるだろう。
しかし必ずしもそうではない読者、たとえば私のように、
ルソーもピカソもそこそこ知っていてそこそこ興味はあるけど、という程度の読者だと
何といっても勝負は小説そのものである。
その小説自体は、率直にいって、あまり出来がいいとはいえないのではないか。
読みながらずっと、何か妙にアマチュアっぽいという印象が拭えなかった。
以前読んだ原田作品ではそんなこともなかったからこの作品の印象だと思う。
思うに一つは、日本人ではない人物の想いを日本語をで語らせているためで、
これは違和感があった。
もっともこれは単に個人的な感覚かもしれない。
しかし翻訳や他の作家だと私自身もあまり感じない点でもあるので、
問題ないという人はいいとして、他にもやはり同じように感じる読者があるとすれば、
それは何かしらこの作家の特徴でもあり、
合わない人には合わないという要素になってしまうのかもしれない。
もう一つは、こちらがより肝心だが、ミステリー仕立てであることだ。
新聞の書評などにもそういう言い方があったような気がするし、
もちろんそれ自体が悪いわけではない。
しかしどんな小説でも謎の要素は大事であるとしても、
原田マハはいわゆるミステリーの作家ではない。
それがあまりにもミステリー的な組み立ての中で、
ミステリーを読み慣れている眼からすると、どうもアマチュアに見えてしまうのだ。
しかも謎、謎、と話を持って行きながら、
結局それらは解明されないままだったり、あるいは大した謎解きでもなしに平凡に終わってしまう。
あるいはここまで構えが大きくなかったら、そういう不完全燃焼感もなかったのかもしれない。
しかしいずれにしても、それほど深いものが描かれているような気がしない。
人生というミステリーというような言い方があるように、
人間自体が謎で、それをじっくり描き出せばそれは十分スリリングだと思う。
原田マハがそれをできないわけではなくて、たとえば『花々』などは味わい深い作品だった。
それなのにここでは、人物たちの行動は、思わせぶりではあっても妙に軽い。
織絵と娘との関係にしても、もっと掘り下げられるのかと思ったら、あっさりしたものだった。
繰り返すが、ここに示された斬新な着想や設定に対する野心は評価している。
ミステリーとは関係なさそうな外的な要素を持ち込んで
広い意味のミステリーに仕立ててしまうタイプの小説があって、
たとえば歴史ミステリーの『時の娘』、日本だと『成吉思汗の秘密』とか、
美術だとわりに新しい『ダヴィンチコード』だとか、いろいろあるけれど、
それらに伍しても引けを取らない独自の設定の妙はあると思う。
それだけに、肝心の人間が軽いのが惜しまれるのである。
どうもインパクトのある構想の方が疾走してしまって、
人間像の方は置き去りにされてしまったのではないかという印象である。
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芸術に造詣が深くないと理解できないんじゃないか、最初そんな不安もあったけど全くの杞憂。
読み進めるうちにぐいぐいと小説の世界に引き込まれ、もう早く次の章へ次の章へとページをめくる手を止められなかった。
アンリ・ルソーの絵は見たことはあるけれど、ただどこかで見たことがあるだけで、彼の人生も、彼が描こうとしていた世界も何も、本当に何も知らなかった。なんだかヘンテコな絵だという印象しか持たなかった気がする。
画家の、絵を描くことへの激しい情熱と、描かれた絵をめぐる多くの人々の深い執念とさまざまな思惑がこれほど魅惑的なミステリになるとは。
美術音痴の私でも読み終わった後に誰かと芸術に関して語り合いたくなる、そんな魅力的な小説。
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「永遠を生きる」「絵が、生きている」
ミステリとしても十分面白かったけど、なによりもアートに対する熱い思いが伝わってきて、読み終わって胸がいっぱい。
もう少し長編でも良かったのに、と思うくらいあっという間に読んでしまった。
自分に本読む趣味があってよかった、と久しぶりに感じた一冊。
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ルソーの大作「夢」とほぼ同じ構図、タッチの画を判定するため、伝説の大富豪に招かれたティム。その対戦相手・織絵と共に、7日間ある書簡と向き合うことに。
様々な思惑が絡み合い、誰が敵で誰が味方かもわからずモヤモヤしつつ、
ティムや織絵と一緒に書簡に夢中になり画に心震わせる時を過ごした気がした。
【図書館・初読・2/2読了】
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極めるということ。
深く知ることは、新しい世界へ分け入ることのように思う。
そして、深い世界を共有するもの同士には深い繋がりが生まれるのだろう。
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祝!第25回山本周五郎賞を受賞したそうです!!
楽園のカンヴァス
ピカソ、ルソーの作品をめぐる絵画ミステリ。絵画に全く興味ない人もグイグイストーリーの中に引き込まれます。絵画の描写もまるでカンヴァスを観ているかのごとくイメージが立ち昇り、実際の作品を観てみたいと思わせます。これ以上は書きません。是非読んでみてください。今年度話題になる要素満載の秀作です。
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有名絵画作品をめぐり、その真贋を競う異色の美術鑑定ミステリ。史実に基づくフィクションというけれど、おそらく事実だって小説並みに「奇」なのではないかと思う。
著者のこれまでのキュレーターとしてのキャリアを最大限に生かして書きあげた傑作ではないか。
新潮社の雑誌『波』に掲載された[原田マハ『楽園のカンヴァス』刊行記念特集インタビュー]を読むと、このモチーフは大学三年生の頃からずっと書きたかったものだとのこと。なるほど、紆余曲折があったとは言え、なるべくしてキュレーターになり、さらには小説家になってしまった著者だから言える言葉だ。
舞台は岡山県の倉敷から始まり、いきなり1983年のニューヨーク、そしてスイスへと移っていく。美術館の単なる監視員と思われていた女性が持つ秘密の過去が明らかになると共に、時代を越えた世紀の謎解きが始まる、、、
次から次へと繰り出される手掛かりや、作中話を通して繰り広げられる物語性に非常に知的な興奮を覚える。読み手が予想する結末を鮮やかに裏切る展開が驚きだ。
惜しむらくは、娘との葛藤の行く末が分からぬところだけかな。
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ルソーの世界に引き込まれた。
何だかあまり美術に興味のない私だったケド、
絵画と向き合ってみたくなった。
大人の恋愛。
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あのピカソに影響を与えたアンリ・ルソーを知っていますか?
その名作「夢」。しかし、もうひとつ「夢を見た」という作品があるという。MOMAのキュレーター・ティム・ブラウンに、その鑑定を依頼する招待状が届く。
もう一人の日本人女性研究者・オリエ・ハヤカワと競い、優れた好評をしたものに、その所有権を譲るというものだった。
物語は、2000年の倉敷で、老いた母と未婚のまま生んだ娘と暮らす早川織江が、働く大原美術館から始まる。突然、MOMAからアンリ・ルソーの絵を借り受ける窓口になってほしいとの依頼が舞い込むのだ。引きつけられる冒頭で、一気に読めた。
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久々に読み終わった時に、叫びたい衝動に駆られました。
「誰かに今すぐこの面白さを伝えたい!」
どんどん作品の世界に引き込まれていきました。
作品の中に二人のブラウンが登場します。
MoMAの主任キュレーターのトム・ブラウンと、主人公のティム・ブラウン。僕はそこにもう一人のブラウンを重ね合わせながら読んでいました。
それは、ダン・ブラウン。あの「ダヴィンチ・コード」の作者です。
本を読んでこんなに興奮したのは、「ダヴィンチ・コード」以来です。
謎解きの面白さという点でも、あのベストセラーに決して退けは取らないでしょう。
ルーブル美術館から始まったダヴィンチに対して、MoMA美術館から始まる楽園。
2000年の日本、1983年のバーゼル、そして1900年代初頭のパリを行きつ戻りつしながら物語は展開していきます。
ルソーの絵の中に迷い込んでいくような陶酔感。
いやあ、おもしろい!
一読した後、ネットで作品中に登場してくる名画の数々を確認しつつ、再読しました。
作者の描写力に感嘆します。これ、フォトリーディングのお手本としてもいいかもしれない。
さらに最初は読み落としていた複線に気づいて、これまた楽しい。
断然おすすめの一冊です!
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絵画の事が分からないので、今一つ入っていけなかった。がストーリーは楽しめた♪
2012.2.16
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さすがキュレーター 絵画だけでなく美術界のことが生き生きと描かれている。 今までルソー事あまり知らなかったけれど どんどんルソーが好きになっていく。 ミステリーとしても面白かった。 どこまでが真実なの?
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美術に造詣の深い著者だけあって、改めてルソー(とピカソ)を鑑賞したくなった。緻密なミステリーではないけど、史実に基づく物語として充分楽しめた。織絵の現在はもっと膨らませられたろうし、ティムがもう少し魅力的で、さらに他の登場人物ももっと深く描き込めていたら星5つ付けたかも。これからも時にはこの分野を描いてほしい。
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美術ミステリというカテゴリがあるのなら、この本はアートが秘めるその時代の慣習や背景をすくい取って現代的にアレンジが施されている。ウディアレンのミッドナイトインパリによくよく構図が似ている。これから西洋美術を学びたい人にうってつけの一冊。