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宮城県石巻市の自主避難所、明友館のドキュメント。この本を読んでつくづく思ったことは、人には人を引き寄せ、そして、物も引き寄せる力があるということ。被災地支援するうえで、いろいろと考えさせられた。
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感動もの、奮闘ものとしても優れた読み物だが、この本の凄いところは、第7章「これからの明友館」の中にある。本書の読後にも続いている現実の重みがそこにはあるのだ。人道支援を手がける国際協力NGOに見られるのと同じジレンマがそこにはある。
人格論、精神論はもちろん大事。しかし、中長期的には、それ以上に仕組み、制度づくりの視点が欠かせない。
・P130の糸数さんの「感動」「会話」をめぐる回想。
・「死んだ人間じゃなくて、大事なのは生きている人間なんだよ」
・政治の基本、有事における平等のあり方
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東京にいるだけではまったくわからない、避難所の姿。決して画一的ではなく、避難所ごとに様々な違いがあって、モノが足りないところもあるし、余ってるところもあるし、余ってるモノをよそに運ぶ人もいるし、それを断る人もいる。自分では被災していない身として、それでも彼らと同じ国民であり、仲間として生きていく身として、少なくとも、知ることを続けなければならない。そこからしか、できることはないのかなぁ、と気付かせてくれる本でした。
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(2012.04.13読了)(2012.04.08借入)
【東日本大震災関連・その73】
石巻の自主避難所「明友館」の話です。
行政が絡むと、平等主義で、同じものが人数分そろわなければ配らない、ということです。自主避難所は、行政の守備範囲外ですので、平等主義の縛りはありません。
「明友館」で設けたルールは、唯一「ウンコをしたら、水を流す」です。(水道が止まっているので、水洗トイレはレバーを引いても流れてはくれません。でも水をどこかから汲んできて、便器に注げば流れてゆきます)
ルールに込められた思いは、「人間らしく生きる。人間らしい生活を取り戻すことを、みんなで目標にやっていきませんか」ということです。
物資を調達し、他の避難所に配ることに関しては、人脈のある人がいたこと、倉庫管理のスキルを持った人物が仕事をやめて手伝いに来てくれたこと、配送する車を提供してくれる人や運転を手伝ってくれる人がいたこと、等があると思います。
避難所の運営に関しては、何人かの代表者で相談しながら対応していったことがあると思います。みんなでできることをやる、リーダーシップを取れる人には取ってもらう、ということだと思います。
【目次】
第一章 自主避難所「明友館」誕生
第二章 「役割」を果たす避難民
第三章 リーダー・千葉恵弘
第四章 支援する避難所
第五章 奇跡の避難所
第六章 明友館に集う人々
第七章 これからの明友館
あとがき
●指定避難所へ(20頁)
震災翌日になっても、行政からの支援物資は一切届かなかった。それもそのはずで、行政から届けられたパンやおにぎり、飲料水などの大量の物資はいったん、津波の被害のなかった石巻市総合運動公園に運ばれ、そこから津波の被害が及んだ地域に物資を運ぶのは、土地勘(原文は、土地鑑になっています。誤植です)のない自衛隊だった。そのため、向かう先はどうしても行政が定めた指定避難所だった。石巻地区には、小中高校や公園、体育館など、指定避難所だけでも82カ所あった。
●必需品と贅沢品(80頁)
「これが貰えるならあれも欲しいという物欲が湧いて、何が必要なもので、どこからが贅沢品になるのか、というライン引きが難しいんです。ポリタンクについても、それがあてはまる訳で。他の避難所だけでなく、被災地以外の地域でも品薄だと聞いたので、明友館でたくさん使用することが、今の段階では贅沢なのではないかと考えていたんです」
●人に助けを求めない(87頁)
行政が見落とす地区もあれば、自ら支援を拒否する地域もある。というのは、石巻よりさらに北へ向かった漁師町などでは、元々の風土として人に助けを求めない、自分たちだけでやっていくという考え方がいまだに根強い。こうした考え方が、震災で困窮したとしても抜けきらず、結果的に孤立してしまうケースがある。
●承認を受けないと(94頁)
規模の大きな避難所に行ってみると、あまりの頭の固さに驚かされることがある。学校などの避難所には、対策本部が設置されていて、そこには行政やボランティア団体の人間がいるのだが、物資が届けられても、彼らが口にするのは��
「リーダー会議で承認を受けないと、こちらでは受けられません」
という
●現状を見て欲しい(130頁)
よそから来る人には被災地の現状を見て欲しいし、少しでも知り合いになって、『この人ってこんな大変なことになってるんだ、じゃ助けよう』って形にならないと前に進まないし、なかなか続かないと思います。
●大事なのは(133頁)
死んだ人間じゃなくて、大事なのはいま生きている人間なんだよ
●震災は有事(146頁)
今回の震災は有事なんですよ。戦争と同じレベルの国難だと思います。ということは、本来、法律だとか決めごとだとかは通用しないんです。そこに縛られちゃいけないんでよ。
●避難所の閉鎖(152頁)
町が片付くことと、被災者の生活がよくなることは比例しない。避難所も閉鎖され、仮設住宅に移ることで被災者の生活が安定し、あとは自立への道を順調に進むだけというのは、大きな誤解である。仮説に移って初めて、被災者は自ら置かれた状況に直面し、目の前に大きな穴が口を空けていることに気づく。
☆関連図書(既読)
「ふたたび、ここから-東日本大震災・石巻の人たちの50日間-」池上正樹著、ポプラ社、2011.06.06
「石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命」久志本成樹監修・石丸かずみ著、アスペクト、2011.09.06
「石巻赤十字病院の100日間」由井りょう子著、小学館、2011.10.05
「奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」」中原一歩著、朝日新書、2011.10.30
「海に沈んだ故郷(ふるさと)―北上川河口を襲った巨大津波 避難者の心・科学者の目」堀込光子著・堀込智之著、連合出版、2011.11.05
「さかな記者が見た大震災石巻讃歌」高成田享著、講談社、2012.01.06
「ボランティアナースが綴る東日本大震災」キャンナス編、三省堂、2012.02.15
「東日本大震災石巻災害医療の全記録」石井正著、ブルーバックス、2012.02.20
(2012年4月15日・記)
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宮城県石巻市にある自主避難所の実話。この本を読むまで「奇跡の避難所」と呼ばれる避難所があることも知らなかった。人間らしく生きるとは。私にも何かできることがあるだろうか。読んで良かった。
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震災がらみの本は初めて読んだ。
数ある本でも特異な本であろう。
人のつながりに大切さ、ルールは時として弊害になり、実際に肝のルールを1つ定めれば十分なこと。
何よりも心で動くことの大切さ。
マネジメントやリーダーの本質をついているような本です。
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石巻市の公民館、明友館。津波に追われて、自然発生的に136人の避難所となった。行政の避難所ではない「自主避難所」が、どのように束ねられて動いていったか。そして、ついには「支援を受ける避難所」でありながら「ほかの避難所を支援する」拠点にまでなったのはなぜか??
明友館でのルールはただ一つ、「トイレで大をしたら水を汲んできて流す」。それだけ。「人間らしい生活をしよう」とだけを語りかけたら、住人それぞれが自分で頭を使い、動き出した。で、ここはよくある段ボール仕切りとも無縁。
悲惨な避難所生活であるはずなのに、常に笑いが絶えず、音楽があり…。支援とは何か、リーダーとは何か、人と人が一緒に生きるって何か、さまざまな問いに力強い答えを提示する。
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157ページと薄い本ですが、更に雑誌の特集記事くらいのページ数にまとめられそうです。
リーダーの千葉氏の若かりし頃の武勇伝等もっとあっさりで良かったのでは?
大勢の色々な立場から見た話なのかと思ってましたが、少人数のインタビューをそののまま記事にしてしまったような感じです。
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図書館で偶然目に入った。
今まで読んだ震災の本とは、違った形で震災を映し出している気がする。
うまく表現できないが。。。
人間らしく生きること、自治の本当の意味、自立の本当の意味、それらがここには書かれていると思う。
そして、この避難所に避難をされた方々は、他の公の避難所に避難をされた方々より、安心だっただろうなと思う。
被災をしていない都内の私がそんなことを言ったら怒られるかもしれないが。。
今年5月、色々な事情で怖くていかれなかった被災地にいった。
その場所が石巻。
あの場所に立った感覚を今あらためて思い出す。
まだまだこれから。
それをあらためて感じる。
読んで良かったし、これはたくさんの方に読んでもらいたいと思う。
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3.11東日本大震災の石巻被害は甚大なものだった。そのなかで指定されていない避難所・明友館の自治と、他の避難所への中継などを担う拠点となっていった。
とにかく人の資質なのだと納得。人間的に素晴らしい人たちの周囲にはよきコミュニケーションが生まれ、それが良い意味で伝染する。人間って素晴らしい。
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[ 内容 ]
旧北上川の河口から約3キロ上流に位置する宮城県石巻市不動町。
3月11日、川を逆流し町を飲み尽くす大津波を逃れて、人びとは勤労者余暇活用センター・明友館に集まった。
指定避難所と違い行政の支援が届かないこの自主避難所は、わずか数週間後には在宅避難者や児童施設に救援物資を届ける「支援する避難所」に役割を変える。
行政のシステムが機能不全を起こし被災者の困窮に追い打ちをかけ、ボランティアグループさえ十分に機能できない状況のなか、高齢者や子どもを含む136人は生き抜くためにどう闘ったのか。
傑出したリーダーのもと不思議と笑い声の絶えない避難所に長期密着した奇跡のルポルタージュ。
[ 目次 ]
第1章 自主避難所「明友館」誕生
第2章 「役割」を果たす避難民
第3章 リーダー・千葉恵弘
第4章 支援する避難所
第5章 奇跡の避難所
第6章 明友館に集う人々
第7章 これからの明友館
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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指定避難所ではない避難所の物語
それぞれが考えて行動し 力を合わせていくところは指定避難所と大きな違いがある
これからの災害に向けて参考になるような気がする
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さだまさしさんの小説『風に立つライオン』の、
第3部/東日本大震災編の原案、舞台となった、
石巻の自主避難所「明友館」の数ヶ月を追った、
実録レポです…。
「ウンコをしたら、水で流す」
人間らしぃ生活のため作られた唯一のルール。
この「人間らしぃ生活をする」といぅことが、
災害の避難所で欠けている、最も大切なこと!
そのために必要なことは、「柔軟性」です。
80個のケーキを、70人でどぅ平等にわけるか?
50個のケーキを、70人でどぅ平等にわけるか?
有事の際には、的確な不平等こそが、平等!!
明友館では、段ボールの仕切りをなくしたり、
飲酒をしたり、麻雀をしたりと…、意図して、
避難所マニュアルから逸脱していましたが…、
その結果、避難所での「人間らしぃ生活」を、
唯一実現し、現在も形を変え存続しています。
驚くべきは、避難所にも係わらず、
周辺の避難所や子供たちの施設に、
支援物資を、供給し続けたこと…!
そして、さらに驚くべきは、
物資が不足しているにも係わらず、
それを断る避難所があったといぅこと…↓
行政やボランティア団体が運営した避難所の、
「施し」の悦に入って機能不全になっていた
実態なども触れられており、ここでの記録は、
首都直下地震や、東海・東南海地震に対する、
グッド・ケーススタディの1つだと思います。
実際には、いくつかの幸運も重なっての、
グッド・ケーススタディではありますが…、
避難所でのコミュニティ形成の成功例ですね。
それだけに、
もぅ少し丁寧な検証が欲しかったとこですが、
その点が、本作品の不満点だったかな~とも。
因みに、小説『風に立つライオン』の第3部は、
ケニア人の青年医師が絡むエピソードを除くと、
ほぼ、本作品から引用している感じでしたね…。
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こんな奇跡的な避難所があったのか?! 行政の救援が届かない自主避難所に、リーダー千葉氏がいたからこそ起きた奇跡だったのではないだろうか。被災地で読み始め、あっという間に読了できた。
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表紙のバイクの意味が読んで判りました。すごい!さすがです。
震災時の石巻の話はいろんな本が出ているのですが、これら1つ1つで繋がりがあったのか、なかったのか、全体から俯瞰して「石巻モデル」を整理されたような本が出るのを期待します