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第3章の共感覚についてのところが読みたい。つまみ読みした感じでは、とても簡単な実験で、共感覚は存在する可能性について示しているような。
翻訳本だけれど、引き込まれる。読みやすそう。
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脳のなかの幽霊の続編。それぞれの症例とそれに対する実験、推論を読んで、博物学的な興味を満たすのが私のラマチャンドランに対する期待で、それは満足。入れ物としての脳とその中身みたいな議論してもしかたがないよねとか、そういった部分が読んでいて一番盛り上がったかな。
しかし脳の各部分の名称ってさあ、ウェルニッケ野とか、V4とか、もうちょっとばかしネーミングルールを整理した方がよいんじゃあないかって気がする。クォークとか量子論みたくキャッチーにして逆にわけがわからなくなるよりはいいような気もするけど、特に日本語だと漢字とかアルファベットとかカタカナとかそれらの混在とかもうひどい。中心的な学会とかがないんだろうね。それか機能していないか。というような全く本とは関係のない感想。最終章とかは現在進行形のメモの羅列になってて、そういった形でしめくくるのがすげえなと思った。編集者はあれでよかったのかな。脳の中の幽霊ふたたびでちょっと評判落としておそるおそるやってる感じとかを読み取った。これはミラーニューロンのなせる業か。
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ロングセラー『脳のなかの幽霊』で知られるラマチャンドランの最新刊である。
著者は科学者であり医師である。研究ばかりではなく、実際に患者と直接やりとりをして、豊富な臨床経験も持つ。そこがこの著者の大きな強みの1つだと思う。
脳の働きは外からはわかりにくい。どのような刺激がどういった経緯で処理され、どのようなアウトプットがされるのか。肝心な部分はブラックボックスであり、判明している部分は多くはない。
脳研究は、古来、事故や負傷などで脳の一部が損なわれた結果、その部分の機能が判明してきた面がある。本書で著者がブラックボックスを探る手掛かりとしているのは、疾患や異常な状態である。
切断されたり麻痺したりしたはずの腕や脚がまだあるように感じる「幻肢」の現象は何を意味しているのか。自閉症児は自分と世界をどのように捉えているのか。脳卒中等で発話能力が損なわれた人は、他の人の話を聞いても理解できないのか、それとも自分で文章を構築する能力だけが損なわれているのか。
そういったことの解析から、普段疑問にも思っていないような「あたりまえ」の機能の構造が浮かび上がってくる。見過ごしがちな「正常」の機能に裏側から光が当てられ、隠れた意味が現れてくる。
著者は最新機器を駆使するというよりも、シンプルで手軽な実験を好む。得てしてこうした実験は、誰が見ても結果が一目瞭然であるという美点を持つ。
著者の持つ豊かな考察力にも舌を巻く。共感覚とメタファーについての論考の項は特に興味深く読んだ。
この発想の豊かさがあってこそ、機器にのみ頼るのではない独創的な実験が生まれるのだろう。
共感覚やミラーニューロン、自閉症、言語の進化を経て、著者の考察は類人猿と人類の違いに及ぶ。われわれが「美」を感じるのはなぜなのか。われわれの内観はどのように進化してきたのか。
新しい研究結果も盛り込みつつ、研究内容そのものだけでなく、読者の想像力を刺激する多くの示唆に満ちている。
本書は、一般読者にとって読みやすい「単純化」と専門家の気難しい目にも耐える「正確さ」を両立させることを目指していると、前書きで著者が述べている。
「読みやすい本」イコール「レベルが低い本」ではない。その好例がここにある。
個人的には『脳のなかの幽霊』の衝撃にはやや及ばない印象を受けたが、多くの人にとって刺激的な楽しい読書となることだろう。
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著者のアイデアや示唆が満載の本です。著者のフィールドである幻肢痛や共感覚などを入り口に、様々な脳のメカニズムについての見解が記載されています。最後は難しい問題である自己についての研究の糸口のようなものを述べていると思います。不思議な神経疾患・精神疾患・脳損傷の症状から自己意識などのメカニズムにせまろうとする姿は非常に参考になります。またいろいろなアイデアが満載であり、それらを土台に研究することで、新たな知見が得られそうです。
個人的にはメタファーの部分が興味深かったです。ジュリエットは太陽だ、のような表現は、様々な感覚(視覚・聴覚・触覚など)が統合される角回周辺がかかわり、例えば、ことわざような比ゆ的表現の理解が角回の損傷で障害されるそうで、僕が今まで理解してきたことと少し違いました。いろいろ参考になり面白かったです。ただし表現が難しいので、基礎知識がないヒトにはかなり難解かもしれません。
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A neuroscientist's quest for what makes us human. という英語の副題が本の内容。著者は神経病理学者で、動物実験やノックアウトマウスをできない対象である人間の脳を脳卒中などで脳を損傷した患者を研究することで少しずつ脳の各部位の機能を明らかにし、統合された人間の意識というものに迫ろうとしていく。
外界と自己は様々な経路で脳を通じて結びついており、脳の機能障害で自閉症などの様々な障害が生まれる。例えば四股切断願望症候群では、脳にマッピングされた四股のイメージが崩れた患者は、実際の手や足に違和感を感じ切り落とすところまで言ってしまう、母親の顔を見ても理解はできるが、感情的には違和感を感じ母親ではないと言うなど。また、視覚をとっても複数の経路が有り、見るという意識を持たなくても見えていたり、前頭葉損傷で人間の性格が変わってしまったり、脳の各分野での情報が統合されて一人の人間の意識が出来上がるということが浮き彫りにされる。
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第1章 幻肢と可塑的な脳
第2章 見ることと知ること
第3章 うるさい色とホットな娘―共感覚
第4章 文明をつくったニューロン
第5章 スティーヴンはどこに?自閉症の謎
第6章 片言の力―言語の進化
第7章 美と脳―美的感性の誕生
第8章 アートフル・ブレイン―普遍的法則
第9章 魂をもつ類人猿―内観はどのようにして進化したのか
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レビューはブログにて
http://ameblo.jp/w92-3/entry-11575691437.html
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脳科学について一般的な読者向けに書かれた良書である。いろいろと雑学として頭に入れておいてもいいし、精神疾患についてもうひとつの治療法があるということで読んでみてもいい本である。
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V・S・ラマチャンドラン『脳のなかの天使』角川書店、読了。本書は『脳のなかの幽霊』の続編。進化の過程で脳を発達させてきた人類。認知神経科学は心と体の関係だけでなく、意識や美、宗教の感受性に至る迄「人間らしさ」が脳とは無関係ではないことを明らかにする。読み応えのあるスリリングな一冊。
ただ、『脳のなかの幽霊』だけでも充分な気がする(うわ、やめろ
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脳神経学者のラマチャンドランの新作。オリヴァー・サックスよりもロジカルなところが強く、ラマチャンドランの方が好きだ。
『脳のなかの天使』という邦題は著者のベストセラー『脳のなかの幽霊』とタイトルを掛けているが、原題は『The Tell-Tale Brain』なので特に両著はシリーズの関係ではない。なので「幽霊」から「天使」になったことにそもそも著者にはその意図は何もない。装丁も全く違っていて、シリーズ感を出して売りたいのか意図が分らなく、やや残念。「幽霊(Phantom)」は、元となった幻肢や病態失認の話も出てくる。一方、「天使」については、最初の「人間は類人猿か天使か」という過去の問いが出てくるのだが、タイトルにするものでもなくまた「脳の中の」という修飾にも相当しない(が、まあよし)。
近年のこの分野の大きな研究の進展として、ミラーニューロンの発見が挙げられる。ミラーニューロンとは、自身がその動作を起こしたときと同じニューロンが他人が同じ動作をしたときにも同じように発火するニューロン群。本書でも、その存在により模倣と共感の能力を獲得し、人間が人間たるに至った進化の鍵を握ったのではないかとしている。
「ミラーニューロンとその機能を理解することの重要性は、いくら強調してもしすぎにはならない。ミラーニューロンとその機能は、社会的学習にも、模倣にも、ものごとに対する姿勢や技能の文化的伝達にも、さらには私たちが「語」と呼んでいる、ひとかたまりの音の文化的伝達にさえも、中心的役割をはたしているのではないかと考えられる」とまで言っている。自閉症もミラーニューロンの機能異常により説明できるのではという仮説も提案している。
ミラーニューロンについては、『ミラーニューロンの発見』(マルコ・イアコボーニ)により詳しいので、興味があればそちらも読んでみるといいだろう。
また、数字に色が付いて見えると言う共感覚の症例を一例として、信号伝達経路において脳内の配線が混線して機能が近いところが引きずられて刺激されるのだという。この辺りは使われている用語も含めてずいぶんと専門的な話も含まれる。少しわからないままに読み進めていくとそれでも脳が物理的な現象であることと、かつ、かなり微妙だがロバストなバランスの中で動いていることがよく分かる。『幽霊』にも出てきた幻肢の例も含めて、意識のだまされやすさについても興味深い話がいくつも出てくる。
また、古今の多くの哲学者が悩んできた「自己」や「意識」についても脳神経学の立場から迫っている。その秘密が早晩明らかにされるのではとの期待を著者は抱く。「自己」の特徴として、統一性、 連続性、身体性、私秘性、社会的埋め込み、自由意志、自己認識、の7つの特徴を挙げており、精神疾患の症例から「自己」を形成するこれらの特徴がどこから来ているのかについて興味深い考察を行っている。
「脳」と「意識」はやはり不思議な器官だ。それでも年々その謎が解かれているのがわかる。そして、何かがわかればその先にさらに違う謎が出てくる。副題は、"A Neuroscientist's Quest for What Males Us Human"。まさしく最後の秘境であり、そこに挑む知的冒険という感じなのだろう。
「人間は真にユニークで特別な存在であり、「単なる」霊長類の一つではない」 ―- 進化論を経て人間が絶対的に特別な存在ではないということが明らかになった上でなおその論考の果てにも脳神経学者としてこのような結論に至るのは心が動かされる。
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「脳の中の幽霊 ふたたび」で気になってたトピック、言語の起源が論じられててエキサイティングだった。
美の起源てのはやっぱり難しくて、こじつけぽかったり推論の域を出なかったりするが、面白い。
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人間はなぜ人間であるのか。
ミラーニューロンに関する話が面白かった。
美術に関する話は、あまり説得力が無いというか、本人自身が言っている通り、あまり美術に関心が無い人が考察したレベルの内容だったので、物足りない。それで美への思考が説明できるんだったら、人間は全員同じものを美しいと感じるはずなのに。
脳が行っている処理はとてもシステマチックなものだと感じた。そして、意識について。私は私独自の思考でものを考えている。そうやって私がものを考えるのと同じように、私と同じ人間である(はずの)他人も、ものを考えている。でも、それは類推でしかない。私がものを考えるのだから、他の人も考えるだろう、という。たとえば、ロボットがものを考えているように見える振る舞いをしたなら、私はロボットの意識を認識してしまうのだろうか。たとえば、実は世界には私しか人間がいないとしても、それを否定することは出来ない。視覚構造が違うはずの火星人と地球人では、見ている世界が違うだろうように。
でも、私は思うのだ。脳のシステマチックな働きが、私達が「意識」と呼んでいるものを、これは「意識」だと思ってしまうようなものを、発生させているのではないか、と。
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人間の行動には、全て理由がある。いじめ、ストレス、妬みなどの人間関係にお悩みの方は、ご一読を!!
※武田鉄矢さんもご推薦
熊本県立大学:ハムイチ
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幻肢をはじめとする脳に関する奇妙な現象については、前著の「脳の中の幽霊」で知り、大いに驚くとともに、知能というものに対しての認識を改めた。本書においても、様々な奇妙な現象が取り上げられており、それぞれについて、人類が進化の結果たどりついた独特の存在であることの例証であることが説明される。脳科学の本を読むと、人間の知能というものが不思議で複雑であることを思い知らされる。累積進化の結果、思いがけず文化を持つに至り自己というものを発見した人類の歴史を思うと、人工知能の実現の困難さを改めて感じてしまう。
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高名な脳神経学者ラマチャンドランのノンフィクション。
著者の研究分野の該博な知識が詰め込まれているわけだが、単に知識をあるだけのっけているのではなく、一貫したテーマにそって論が進むため読んでいて面白く、またしんどい。途中で議論を追えなくなるとわからなくなってしまうため、何度も読み直して理解につとめなければならないのである。
ただ、言語の起源の議論のところで統語の話題をスルーしたような気がしたのだけれど、読み落としただけか?