紙の本
いろんな波がありますね・・・。
2021/04/12 10:15
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
赤穂藩の改易により浪人となった一家に続く路は?
九鬼家が三田・綾部に移封され、家臣が歩む路は?
藩随一の剣の遣い手が公金を横領し出奔、追う家臣の残る路は?
暴れ馬から町人と旗本を護った男に災いが降りかかる、その男の取るべき路は?
貧しい庶民を診る赤ひげ先生が御典医に、弟子の生きる路は?
生きるうえで取るべき路の選択を余儀なくされたときに、どのような方法があるのか真剣に考えさせられた。意に沿わぬ選択肢しかなかったときや、意に沿わぬ結果が待ち受けたとき、どのような行動をすべきなのか。自分自身に問いかけられる短編集でした。
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初、安住洋子、時代小説珠玉の短編集。全て「波」が付くタイトルです。沙(いさご)・暁(あかとき)・ささら・夕彩(ゆうあや)・澪。表題作「沙の波」代々、赤穂藩に仕えながら、浅野と吉良の刃傷事件から深川の裏店へ流れ着いた藤野親子。父は武士の体面を捨て、一心に働くも体を壊し絶望の中で生涯を終える。浪人暮らしを経て、念願の仕官が叶った息子を待ち受けていたのは、よそ者ゆえの残酷な使命だった、お家断絶に見舞われた赤穂浅野家と三田九鬼家に生きた武家の、哀切な矜恃と家族の絆を描く。くどくなく簡潔な文体で読みやすい。
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波って人生のようにも思えます。そんな風に感じる短編集でした。どの短編も切なさや侘しさがあり、一気に読むには心が元気な時でないとつらいなぁと、少し疲れ気味の私は思いました。特に『沙(いさご)の波』と『夕彩の波』は、ままならぬ人生とか人の思いが感じられて切なかったです。重里氏の解説『後ろめたさの由来』もとっても共感出来て良かったです。
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お家断絶に見舞われた赤穂浅野家と九鬼家に生きた武家の、哀切な矜恃と家族の絆を描かれた珠玉短編集。
まさに江戸時代の古き良き武家社会の良い面を、美しく、清貧、家族、知人を思いやる気持ちが読み終わっても爽やかに心が洗われる。そのうえ簡素な文体でとても読みやすい。
どなたでも読んでほしい
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短編5部構成からなる、波をテーマ?というよりも
人生いろんな波があるのですよと言われているような
そんないさご波。
海だったり川だったりまぁ様々ですけども
タイトルそれぞれに
沙の波、暁の波、ささら波、夕彩の波、澪の波の構成。
ストーリー自体もいろんな話があって
赤穂浪士だけど時代劇でお馴染みの忠臣蔵のシーンはなく
むしろ参加しなかった人々、など。
もちろんそれとはまた違う話もあり。
個人的には夕彩の波の話が一番良かったけど、他のももちろん捨てがたい。
澪の波とか、師弟関係の話もあるし。
基本的にみんな殿様とかじゃなくて普通に暮らしている人が主人公だからこそ
華々しさはないけど、こう沁みる感じ。
みんなだいたい暗い影を残して生きてるというか
何かしら後ろめたさみたいなものがあって。
でもそれでも、今を生きるのに必死な人がたくさん出てきたり。
なんだか久々に見る繊細な小説だった気がする。