紙の本
スターが揃ったアンソロジー。読むとふんわり、和みます。
2011/06/12 18:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
37人の作家たちの、玉子に関するお話が散りばめられている。
編者は早川茉莉。
「貧乏サヴァラン」(森 茉莉の食べ物のアンソロジー)を編んだ
早川暢子とはなにか関係があるのだろうか。
というのも、「玉子ふわふわ」のトップバッターが森 茉莉だったからだ。
37人の顔ぶれは多彩である。
森 茉莉、石井好子のオムレツ話からはじまり、武田百合子、
東海林さだお、林芙美子、池波正太郎、吉田健一、嵐山光三郎、色川武大、堀井和子、田辺聖子、松浦弥太郎、筒井ともみ、など。
(ちなみに書き下ろしはありません、念のため)
いちばんおもしろいと思ったのは伊丹十三の
『目玉焼の正しい食べ方』だった。
読んでいて思わず吹き出してしまった。
目玉焼(著者にしたがう)の、白身をさきに全部たべてしまい
黄身を残しておくのは、
子どもっぽさが抜けきっていないとの指摘に、
ぎくりとしながらにやりとしてしまう。
それでは、そういうご本人(伊丹氏)の食べ方は、というと・・・・・・。
卵を割りながら、こう考えた・・・で始まる
向田邦子の『卵とわたし』も味わい深い。
この『卵とわたし』から、同名のレストランを思い出した。
前出の石井好子の『東京の空の下オムレツのにおいは流れる』には、
『卵と私』というタイトルの映画の話が書かれている。
そしてこの映画をもじって、石井氏がひらいたオムレツのお店には
『玉子と私』という名前をつけたそうだ。
ちなみに、表記として、卵は生のたまごの状態を表し、玉子は調理によってなんらかの手を加えたたまごのことをいうのだと聞いたことがあるが、
手持ちの辞書には、たまご【卵】【玉子】1、鳥、虫、魚などのめすの生殖細胞、2、鶏卵、3、修業時代の人、・・・・・・と書かれている。
(『新選国語辞典』第7版より)
1、と3、についてはたしかに卵という漢字しか
使われていないように思う。
医者の卵や作家の卵は見かけても、医者の玉子や作家の玉子は
見たことがない。
2、については、生卵、ゆで玉子、と書くのが最もらしく見えるが
時おり、生玉子、ゆで卵、という書き方も見かけるので、
確かなことはわからない。
個人的には、卵、よりも玉子、と書くほうが好きだ。
漢字そのものが、なんとなく幸せな感じにあふれている気がする。
玉子料理は、そこにあるだけで、
人をにんまりさせるような力を持っている。
「玉子ふわふわ」には美味しそうなレシピもいくつか登場する。
なんだかお腹が空いてきたので、
これから玉子料理をじっくりと味わいたい。
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玉子かけご飯、目玉焼き、オムレツ、だし巻き。玉子好きの著者、そうでもない著者、玉子狂いの知人を持つ著者。
さまざまな作家がただ一つ玉子について書いたものを集めたアンソロジー。
ただひたすら玉子について書かれているので、読んでいる最中の、玉子を食べたくなる欲求を抑えるのに大変でした。
特に嵐山光三郎さんの、温泉卵の例え話が面白かった。あとは神吉拓郎さんの、玉子料理が怖いと思う瞬間の事。なかなか普段の生活から離せない玉子なのに、こんなにも面白い、新しい解釈に出会えた事に感謝。おすすめです。
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2011/03/21:色々な作家などの玉子に関する文章をあつめた本。
読んでいる途中や読み終わった後、とても玉子料理が食べたくなって仕方ありませんでした。
自分でも作りたくなりますが特に子供の頃母や祖母などがつくってくれたのが次々思い出されました。
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玉子について書かれたエッセイを集めたもの。40弱ほどの玉子エッセイ。
旧い時代に書かれたものも多いけれど、とにかくどれも美味しそうで小腹が減る。
武田百合子『富士日記』の一部が読めたのは、個人的には収穫。
MVP:なし
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37人の玉子アンソロジー。森茉莉、石井好子、林芙美子、伊丹十三、向田邦子、田辺聖子、松浦弥太郎…と並べながら、黄色いふわふわと暖かな匂いを想像しただけで既にヨダレが。
玉子って、なんかシアワセだよね。
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たまごをテーマにしたアンソロジー。
あ、こんなオムレツを食べてみたい。ひとつひとつ「卵のふわふわ」を作ってみたい。卵かけごはんもいいよね・・・
たまご料理の魅力のみならず、たまごの完璧なフォルム、手にのせたときのあたたかさやはかなさまで伝わってくる、たまご好きにはたまらない一冊。たまごは人を幸せにするのだ。
元気になりたいとき、ちょっと気持ちがささくれたときに、ふわふわできそうな本。
そして、あとがきに村上春樹さんと江國香織さんのたまご描写が出てくるところは、おふたりのファンとしてはうれしすぎるサプライズでした。
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+++
玉子についてのアンソロジー。37人の作家による「玉子饗宴」。深尾須磨子、森茉莉、石井好子、福島慶子、三宅艶子、森田たま、中里恒子、住井すゑ、武田百合子、林芙美子、網野菊、池波正太郎、東海林さだお、伊丹十三、吉田健一、嵐山光三郎、山本精一、池田満寿夫、北大路魯山人、向田邦子、色川武大、田村隆一、神吉拓郎、細馬宏通、犬養裕美子、堀井和子、津田晴美、田中英一、熊井明子、田辺聖子、松浦弥太郎、室生朝子、筒井ともみ、辰巳芳子、林望、村井弦斎、宇江佐真理。
+++
読めば読むほど玉子の完璧さが胸に沁みる一冊である。形・色・手触りはもちろん、どんな風に料理してもこんなに人をしあわせにするものが果たしてほかにあるだろうか。そんな玉子にまつわるあれこれがこれだけ見事に並んでいるのである。しあわせとしか言いようがない。どの玉子も語られるエピソードを含めてとてもおいしそうで、ありありとその場面を思い浮かべることができる。バターたっぷりのオムレツも、卵かけご飯も、玉子焼きも目玉焼きもいますぐにでも食べたくなるのだが、津田晴美さんの「風邪ひきの湯豆腐卵」にことに惹かれたのだった。今回はこれだったが、読むたびに別の卵料理の虜になりそうである。うっとりしあわせな一冊。
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アンソロジーって、大概、得をしたくて買って、損した気持ちになるのが常だけど、ちくまのアンソロジーは、いいのが多い!この卵にまつわるエッセイはどれもよくて、いろんな人を知ることができて、ほんとうに、幸せな気分に包まれた。
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オムレツか?目玉焼きかけごはんもいいかも?クロワッサンにゆで玉子も捨てがたい。明日の朝ごはん何食べようか?ベッドの中で読んだ後、そんなこと考えてます。あー何て幸せな時間 ♡
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読んでて(聞いてて)お腹がすいてきました。玉子って、それぞれの年代で、それぞれの人が思い出あるんですよね。
あとがきのところの『料理の腕を上げるにはそのハウツーよりも豊かな文章を味わうことの方が、はるかに大切なのではないだろうか』という記述、なるほどと思いました。
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バターの香りのオムレツが、
あっちにもこっちにも出てきて、
すっかりお腹がすいた。
たまごがまだ貴重だったころ、
ニワトリは自由気ままで、
たまごも生きていたらしい記述も、
あっちこっちにあって、
いまよりもどうやら濃厚だったらしい、
その味をうらやましいと思った。
しかし、たまごがテーマの文章が
こんなに豊富とは。
おそるべし、たまご!
普段は好きな作家の本しか読まない
偏読なので、いろいろな文章にふれ、
それだけでも、おもしろかった。
編集が、いいのだろうな。
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第5章が、特にすきだ。
いくら古書といっても、この新品同然の
やわらかくてふわふわした作品を
わずかの105円で販売してしまうとはどういうことよ…。
いや、こういう宝物が見つかるからこそ古書屋は面白いのか?
今は、生臭ものが食べられなくなった
たまご好きの父の仏前に ひとつ置いてみるとしよう
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とにかくたまご。
こんな編の仕方もあるのだなぁと。
中身がぎっしり詰まってるところも、たまごみたいだ。
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玉子についてのアンソロジー…
これ、めっちゃめちゃ楽しい本です!
37人の著者が、玉子に関してのあれこれを語ってくれます。
玉子って、みぃ~んな大好きでしょ? ボクも大好き!
いつも…朝食は、玉子ひとつを目玉焼きにして…
白身がかたまり、黄身がとろーんとしているのを
ご飯にのっけて、すこぉ~しお醤油をさして、
ご飯に黄身のとろとろをからめながら…ぐぐっ、よだれ出てきた!
そんな玉子のお薦めテクを、入れ替わり伝授してくれるもんだから、
あ、これ、やってみよ~とか、うへぇ~おいしそうとか思いながら、
さくさく読める…おまけに、ぜひぜひためしてみたくなる…
加えて、あれこれ思いを馳せてしまう…と、何度もおいしいぃ!
北大路魯山人のたまご…っていうのが紹介されてるんです…
ひとはだにあたためた玉子をご飯にかけて食べる、
玉子ご飯は絶品なんだそうで…あ、これ、いいな…
いろいろ妄想ひろがっちゃうなぁ~
山深い湯治場で、「雪国」の駒子さんみたいなひとが、
こんなところでは、たいしたものはありませんけど…なんて、
ボクのとなりで玉子を手にかかえてあたためてくれて、
さぁ、どうぞ…なんて玉子ご飯だされたら…
そりゃ、おいしいでしょ! 元気も出ます!
…なんて妄想がひろがる、ひろがる…
武田百合子、林芙美子、向田邦子、田辺聖子…
吉田健一、嵐山光三郎、池田満寿夫ら食通の饗宴! お薦めです!
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身近なエピソードが豊富であること、生命の源であるということ、時代とともに価値が大きく変化したこと。
これらすべての要素を含む食材、卵。魅力的です。