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P324
永遠とは限りなき長き時間ではない。止まった一点でなく、動く点。休みなき持続。
この持続は因果の系列でも、目的の系列でもなく、両者の交流点に生じる運動。
この持続の本質は科学的な方法では到達できないところのもの。
直観以外に近づくことを許さない。
P325
我々の生命そのものを神とは思わない。
しかし我々の生命は神に直接属するもので、常にそこに神を発見する窓が開かれている。
P326
瞬間は時間ではない。時間の中に破り入る永遠。
(大澤さん解説部分)
P5 量子力学でいう観測の瞬間に、物理的なシステムの状態に飛躍的・非連続的な変化が生じ、エントロピーが増大する
物理法則の中で、エントロピーの増大を規定する熱力学の第二法則だけが不可逆性を含意する法則であり、かつ不可逆性こそが時間がまさに時間であることの本質
―経験に則した法則
P6 物理学の中には、本来の意味での<時間>は存在していない
P8 エントロピー 無秩序さの度合い
振り子は静止している状態がエントロピーが大きい
P9 不可逆性への鋭敏な感受性
―ジンクス・呪術 祈り ルーティン 不確実性への不安を取り除こうとする儀式
P10 エントロピーの増大、熱力学第二法則はもっぱら観測にかかわっている
観測は物体の客観的な状態を記述するものではない
主観と客観が交わる瞬間 例外的な特異点
P11 存在に対する生成の優位
P12 われわれの知識の不正確さとしてのエントロピー
無秩序の程度と一致
P13 二重性(相補性) ハイゼンベルクの不確定性原理の言い換え
P14 波動関数の収束
P16 量子力学における観測 決断の瞬間に似ている
P17 観測しない限りにおいては、物質は宇宙に偏在する波動(可能性の束)
波動関数の状態が神に対応
観測とともに波動関数が崩壊、エントロピーが出現
エントロピーを聖霊、聖霊によって結ばれる信者の共同性に対応させてみる
P39 精神分裂症患者には、時間の経過が感じられない
―高熱で脈打つのが速いと、時間が相対的に遅く感じられるかもしれないね
P44 時間は単純な物理的時間たる時計の時間に比べて、複雑、伸縮自在
これを十分活用することこそ、生活の芸術であり、幸福の道
最終の幸福は、あらゆる時間の絆を断ち切って、永遠は戻ること
Time is the measurer of all things, but is itself immesurable; and the grand dicloser of all things, but is itself undisclosed.
Time --- that is black and narrow ithmus between two eternities. -----Colton
P47 デュルケム 人が会うことから時間が発生した
P51 性格を表す空間 無限遠点のない空間
性格の混合はかかる線形的加性のものではない
変化関数を用いて性格を特徴づけようとすれば、それはただの空間でなく函数空間という無限次元の空間になる
P58 時間と空間の分離はローレンツ変換を学んだ者は不可能であることを知っている
ミンコフスキー空間で考えれば、空間と時間は幅と長さのような関係にあることは周知
時間は時間性を失わない限りにおいて、���の中に空間を含んでいる
この二つを媒だちしているものは、光の速度
P59 蓄音機の回転を速くすると、音楽の質が変わってしまう
音の高低が時間的振動で定まっているから
P61 時間の単位が原子力時代になると、すべてが恐ろしくめまぐるしいことになる
ー量子の時代 一定ではないし、過去→未来でもない 観測して初めて現れる世界、神の視点
P65 物事を持続性と変化性という見地から見る重要性
P71 どんな物理の問題も持続性の問題に翻訳できる
P76 カント『純粋理性批判』感性論
時間を感性(内感)の形式とし、空間と並んでいわゆる純粋直観として規定
モノ側のもっている構造でもなく、経験的に教えられて人間が案出した整理函でもなく、悟性の側の先験概念、範疇でもなく、感性特有の先験的形式なのである
カントにおける時間は、はなはだ「ぬえ」的なもの
P78 時間の先験性
ニュートン・カント的時間空間は相対性理論により清算
カントの範疇である因果関係は、量子理論により統計的法則性の特殊なる場合に帰せられてしまった
P84 ベルクソン
動物では過去は現在に融合されている
発生的にいえば、過去は現在が分裂して生じたもの
過去がいかにして現在あら分裂するかということは、未来の問題と一緒に考えられねばならない
P85 意識の起こりはコンフリクト
本能的行為ほど未来に適合した行為はない
動物の帰巣本能 動物において未来が現在と一つのものであるという見地から考察されるべきものと思われる
P86 意識された行為が未来を生む
過去が現在から分裂して生じるごとく、未来も現在から分裂して生じたもの
すべての源泉には現在における行為がある
P87 三次元的な空間を他の方法ですでに知っているものが初めて両眼視により、ある程度奥行をみる
あらゆる国の言葉で、空間的な前後と時間的な前後が混同されているということは、非常に重要
最初に行動があり、それから空間と時間とが生じる
P95 物理的時間のもう一つの特性は擬周期性
自然現象のくりかえしの性質は根深い 輪廻(インド) 環状時間(ギリシア)
P96 現在までの過去の清算、未来への希望 決断の要求 未来を選択する決断
ー現在、いまここにある私の存在の発見、自由意志のめざめ
P97 被圧迫民族への解放への希望 進歩の思想 資本主義経済の基本的性格
ニーチェの永劫回帰 →原始的な回帰的時間へ
ベルクソン 限りなき進展 →創造的進化へ
―mid21c.量子的時間時代に終焉する近代の発明、資本主義、民主主義、自由意志、近代国家
P98 不可逆性の源泉に、不連続的な瞬間
未来を未来とし、過去を過去とするものは、正に決断の現在にある
危機における対策選定、後悔と希望を分かつ瞬間
終末観的な瞬間が、進化的時間の前進の原動力となっている
本来的には回帰的であり可逆的である回帰的時間に方向づけを行って、前進的不可逆的時間と化する
P99 観測という瞬間的行為が物理現象の不可逆性の源泉
このことは暗示的。本来的な物理的時間はインド・ギリシア的回帰的時間ときわめて���似したもの。エントロピー原則の示す一方的な(外見的には連続な)不可逆的時間は進化的時間によく対比できる。観測の行われる現在の瞬間は、終末的瞬間ときわめて類似。不決定なるものが決定される瞬間だから。現在の観測とは、過去の観測の結果たる現在までの状態の否定と、未来の観測結果を期待せしめる現在以降の状態の創成を意味する行動。観測とは主体と主体ならざるものとの交互的作用の瞬間。三つの対立的時間の概念は現在という瞬間の概念において統一される。
最初に行動がある。未来と過去が主体と客体が分離されず、意識は眠っている。これは未来と過去と共存する現在である、この行動が障害に衝突するとき、意識は目覚め、環境に投げ込まれ問題の解決に迫られた、すなわち自由を持った主体が生じる。自由を得た主体は、同時に客体の因果的束縛を認識する。盲目的行動における一つのものが主体と客体へ、自由と束縛へ分極する。それと同時に、行動の中に前後が分離。後は目的であり、結果。前は対策であり、矛盾。さればこそそれは動くもの。
P100 瞬間とは時間の小部分ではない。瞬間とは時間の跳躍。
キルケゴールやバルトは瞬間を時間と永遠との接触点とし、
キルケゴール「主観は本来時間の原子ではなく永遠の原子である」
自我は瞬間から瞬間へと飛躍し、非連続的なものであった
P101 自然科学にとって大切なことの一つは、我々が自然の記述に用いる観念が、観測者をはなれた自然において対応物を有するかどうかということ
P103 人間の自然記述には、自然は内在しない、人間的なまたは常識的な要素を多分に持ち込んでる場合が少なくない
P106 偶然に依拠する便宜的な手段 自然の本質に依拠するものとはいえない
P107 自然は決して左にも右にも差別待遇をしていない
P108 ある現象の左右対称を試すには鏡に写した現象がもとのものと同じかを見ればよい
素粒子論におけるメラーの混合場の理論の五次元的形式は左右に対して対称でない
現在の自然認識の常道からみて、はなはだグロテスク
―自然数を数えるとこからはじまったマクロ現象と、量子、場、波はスケールが異なり理論の積み重ねなので、観測問題が現れるのもそりゃそうか、と
―鏡、投影された姿、自己 神や個人の存在証明にも用いられる
5は西洋ではダメ数字 不調和、恐怖 東洋では◎
P114 量子論もその基本法則は、時間について可逆にできている
不可避なのは観測の過程
観測に向きが生じるのは、主体の行う操作に順序があるからにほかならない
認識の順序における前後
その結果として我々の見る自然現象に向きがあらわれる
偶然という意味は自然法則にとって偶然という意味で、由来がないという意味ではない
―近代ゆえの 見かけ
P116 ニュートン力学 マクスウェル電磁気学 時間について可逆的
P118 不可逆的現象を支配する法則 熱力学第二法則
P119 確率を言い出すのは、すでに力学や電磁気学以外の何かあるものをその証明のうちにもちこんでいる証拠
熱力学の第二法則 あらゆる不可逆現象 あらゆる現実の現象に関連
ある現象が実際に純粋に力学的or電磁気学的現象であるか、または第二法則が関与する問題かを判定するのは容易。いま問題とする現象の逆現象が、実際に起こるかどうか
P120 熱力学第二法則 より確率の多い状態には移れるが、その逆には移れない
P123 物理的時間に向きがつくのは、不可逆現象があるから
P130 時刻 観測の一種を行った結果
時空は観測、ある特殊な観測の結果 はじめからすべてが時空のうちに浸っているのでhない
P131 観察するという行動以外の方法で我を捕え得た人はない
動く現在
P132 抽象的な我にとっては考えの内容も外界との交渉(観察操作)の結果
現実的な我は考えの内容をも内界へと取り入れたもの
P133 抽象的な我の存在、現実的な我の存在の大きな相違
P134 現実の我は一向に矛盾を感じず、そのことを動くとか流れるというふうに感じる
―時は一定一方向に流れない 熱力学第二法則の観察可能な一方向性の結果としてそうみえる
P135 物理的な時間というのは、二つ以上の物理的な運動を比較するために、何か一つの運動を基準にして、その空間的な位置の差で時間を計測する
P136 空間は観察結果 時間は本質的に空間的なもの
P137 現在は単に動く質点のようなものでない
・「時」にまつわる、断片的なエッセイ。各誌から寄せ集められており、思ったより統合はされていなかった。
・観測方法や単位や机上・理論上うみだされた仮説や理論だからこそ、観測や時間が存在しない等が出現するissueは避けられないだけだ、と考えている。
・河合先生の本を読んでいても、渡辺先生のように、ドイツや欧米と比較して遅れている日本をどう矯正するか、という内容がちらほらある。