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ずっと行きつけのジュンク堂に1冊だけ置いてあって、気になって気になってついに買ってしまった。
現代の日本人にシモーヌ・ヴェイユといういささかマイナーな存在、でもサルトル、ボーヴォワール、レヴィ=ストロースあたりと同世代というか殆ど同級生で、お兄さんは数学者のアンドレ・ヴェイユ、母親からの抑圧による影響、男子として扱われるところとかまさにミソジニー、本人はすごいお嬢様なのにわざわざ労働を体験してみたり、パンより詩が必要であると言っちゃうところの裕福感がぬるいが、あっけなくハンガーストライキもしくは拒食症で35歳で死んでしまう、ある意味このひとは本当にパンより詩(死)を選んでしまったのかもしれない。
なによりも驚きだったのは、現代の日本で社会運動に携わるインテリ層がシンポジウムでヴェイユについてこんなに熱い語りを聞かせるという、この特集のほうに胸が熱くなります。
シモーヌ・ヴェイユその人の著作それ自体より、今の日本で彼女の作品がこんなふうに読まれているのかということ、愛読している人たちはこのような人であったということが驚き。
知らなかった世界を知ったという意味では個人的にはとても充実していると感じる一冊。買って読んでよかった。