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戦国時代の蝦夷を支配した親子、一族の物語。秀吉、家康を相手にどうやって彼らの機嫌を損なわないかが大問題。次の世の中の流れを遠隔の地にいながら感じ取り、次々と小さな手を打っていかなければ生き残れない地方・弱小一族のお話は、カタルシスはないものの、武士というより商人として生き残る彼らの姿は正しい生き方とは何か、一つの示唆を与えてくれる。
しかし、土地と人の名前がわかりにくすぎる。地図と系譜はついているものの、読み方もルビはところどころあるものの、通勤時に読んでると、朝みた読み方夜には忘れててなかなか苦労な事よ。
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題材は素敵なのに...という残念な一冊。
荒れ果てた戦乱の世に、経済と人の絆を武器として、北の大地に平和な王国を打ち立てた親子の物語、ととても興味をそそられるお話なのですが、如何せん人物描写が淡白すぎて、ただでさえ馴染みの無い登場人物たちが、ちっとも頭に入って来ないのです。
資料が少ないのは判りますが、その分作家の力量で物語を広げることも出来たのではないでしょうか?
勿論、高橋克彦の「天を衝く」のように、登場人物たちを魅力的に描きすぎるのもどうかと思いますが...
後半はメジャーな人物も増え、物語も動き出して俄然面白くなりますが、それまでに挫折する人が多いのではないか、と感じました。
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土居良一の本は昔から読んでいる。
登場人物が多いので、一度ならず二度読んでみた。
ありきたりな武将の話ばかりに飽きて、もう少し違う視点を求めていたのだが、戦国期には目立たない東北の武将やら、そこから離れた蝦夷地の様子を綿密に描いていることに好感を持った。
おそらく本書のキモは、水軍として名をはせた四国の河野一族が、秀吉によって絶家させられた一方、その庶流が秀吉・家康に認められたというアイロニーにあるように感じた。
戦国武将を支えた豪商とのつながりが、廻船を通して密に行われたという指摘も、従来の戦国小説とは異なるスタンスで、考えさせられる点が多かったように思います。
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今の北海道、松前藩創始者を描いた歴史小説。
登場人物が知らない人ばかりで、同じようなキャラ、名字の人も多くて見分けがつかず。頭書に掲載の系譜をみても、いまいちキャラクターが頭に入ってこなくて、物語に集中しきれなかったのは残念。脳みその出来の問題なんだろうけども…
ただ、戦国・安土桃山・江戸という動乱の時期を、極力「不戦」で貫き通して大名にまでなった「蠣崎一族」を題材にしたのは良いと思う。社会のリーダーたちがこぞって生き方を真似る戦国時代の有力大名ってのは、結局のところ力で日本を支配しようとし、暴力や戦争を大きな手段としてきた輩である一面はれっきとしてあるわけで。
覇権を競わず、戦争をしないで国を守って治める。これこそ真に評価されるべき政治力じゃないかと思う。