紙の本
どろどろ三部作第二弾。女の妬みと嫉みを思う存分堪能しましょう。でも女ってやっぱり可愛い生き物だと思うのです。
2012/04/09 14:57
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
描きすぎが気に入らないも『殺人鬼フジコの衝動』で
垣間見られるテーマ性に惹かれて、
真梨作品に次々手を出している。
本書は『孤虫症』に続く「どろどろ三部作」の第二弾。
刊行順だと『深く深く、砂に埋めて』の方が早いのだけれど、
著者曰く、
「『深く深く、砂に埋めて』の前に(本書を)読んでください」
とのことなので、素直に従ってみた。
物語に登場するのは(主に)五人の女たち。
そしてその五人のうちの一人、楢本野江が書く原稿が
女たちを繋ぐ。
同じマンションに住む二人の独身キャリアウーマン。
それぞれがそれぞれの部屋で遺体が発見された。
被疑者として逮捕されたのは山口啓太郎という46歳のドライバー。
殺された二人のうちのひとり吉崎真紀子の「客」だった男だ。
真面目なキャリアウーマンである真紀子の裏の顔、
それは売春婦だった――。
しかし山口は犯行を否認。
そして犯行否認のまま、裁判が始まった。
一見すると(残念ながら)ありふれた殺人事件なのだが、
作中、この事件は大きく取りざたされる。
その理由は、事件の残忍性にある。
殺された真紀子の遺体は性器が抉られ、
子宮が持ち去られていたのだ。
マスコミはこぞって犯行の残虐性、
被疑者(被告人)山口の残忍性を報道する。
しかし月刊グローブのライター、楢本野江は
山口の無実を信じ、違った角度から
この事件を報道し始めた。
そして事件の調査が進めるうちに、
野江は真相に辿り着くのだが…
解説の石井千湖氏曰く、
著者1997年に起こった「東電OL殺人事件」から
着想を得て本書を書きあげたそうである。
もちろんデフォルメはされているだろうけれど、
殺害された真紀子に、その「着想」の一端が伺える。
タイトルの「女ともだち」は、
単純だけれども意味深だ。
あっさり取ろうと思えはできるし、
深読みしようとすればどこまでも深く掘り下げられる。
読み返して思うのだけれど、
このタイトルは上手い。
その理由はネタばれにもなるから書けないのだけれど、
いいタイトルだ、と思う。
女の妬みや嫉みが存分に描かれた作品である。
ドロドロとした感情が次々と出てくる。
書く人によっては下品になりかねないテーマなのに、
実に、読みやすい。
どろどろなのにサラリとしている。
この矛盾を生むのがすごい。
ここが作家、真梨幸子の力の見せ所なのだろう。
殺人事件にまで発展している作品を読んでの感想としては
どうかとは思うのだけれど、
やはり女って可愛らしい。
醜くって可笑しくって時に哀れで…
でもやっぱり結論としては、女は可愛い。
そういうお話でした。
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<あらすじ>
高層マンションの201号室の住人・満紀子が惨殺死体で発見され
翌日、同マンションの2001号室の住人・瑶子が死体で発見された。
しかも満紀子の死体は性器と子宮が奪われていた。
その2ヶ月後、中年ドライバー・山口が殺害容疑で逮捕されるも
証拠は曖昧で当人は容疑を否認していた。
その事件に疑問を感じた雑誌ライター・野江は事件を調査し
様々な真実が浮かび上がる。
被害者・満紀子の趣味は劇団Jの観劇で、いつも多額のお金を使っていた。
その出費の穴埋めとして、幾度となく売春を行い、生プレイOKで妊娠し、
中絶費用を相手に脅迫請求して金を搾取し、自宅で堕胎していたのだった。
その脅迫を受けていた男の妻で元モデルの詩織は
住宅ローンが残ったまま別のマンションに引っ越した元2001号室の住人で
その中古マンションを半値で購入したのが瑶子だった。
次々と明らかになる人間関係
公判前の山口の自殺
遺書に書かれた真実の告白
野江は事件の真相を導き出し雑誌に掲載するが・・・
<感想>
『東電OL殺人事件』から着想を得た長編小説。
ドロドロよりもイヤミス寄りで、子宮が奪われた真実はウゲって感じで良かった。
野江ことナラモトアキエが『深く深く・・・』に登場してるらしい。
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同じマンションで2人の独身キャリアウーマンが殺された事件の真相を新人ルポライターが明らかにしていく。
女ともだちというタイトルとどろどろ濃度200%という宣伝文句から女同志のどろどろした心理描写を想像していたが、かなり違った。
ルポ中心で描写は普通。
内容はえぐいなあ。
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帯のあおりほどどろどろしていないが、ミステリとしてはおもしろい。
伏線に見えない伏線に関しては再読したくなる几帳面な読者もいるだろうが、ナナメ読みしなければ1回でわかる仕様になっている(男子が1回で理解できるかは謎)
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「負けず嫌い」をキーワードに、女性がどんどん不幸になっていく。
負けず嫌いが登場人物たちを結び付けていく。
・・・自分の負けず嫌いな性格が怖くなった。
『殺人鬼フジコの衝動』の著者だとは知らなかった。
こんなストーリー展開であるのなら、読んでみなくてもいいかも。
帯に「この小説は、私の“ドロドロ三部作”最初の作品です。--真梨幸子」と書かれているが、逆に後二作を読もうという気がなくなった。
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同日に同じマンションで、二人の独身キャリアウーマンが殺された。一流企業のOLだった被害者の“裏の顔”とは? 二つの殺人をつなぐ接点とは? 新人ルポライターの楢本野江が辿り着いた真相は、驚くべきものだった……。衝撃の結末が女たちの心の闇をえぐり出す、ドロドロ濃度200%の長篇ミステリー。
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守山:2012.1.29自己購入
真利幸子さん作品はどれもグロイですなー!女性作家が書いているので余計にそう思う。今回は女はこわ~い、そこまでやるのと言った作品でした。実際にあったら恐ろしや
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面白かった!最後まで読んで欲しい。
タイトルから想像できることも多いミステリーでしたが、
女性にはなおさら共感できるところも多いはず。
ネタバレさせたくないから深くは書かないけど、次の深く深く埋めて
みたいなスピンオフの作品も読みたくなりました。
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いつもながらにドロドロである。嫉妬と羨望と意地の張り合い、貶め合い。まったくの第三者であるルポライター相手だからこそ、普段は仮面の下に隠している本音が剥き出しになるのか、それともただの人である己に向いた誰かの関心を引き止めたいがために過剰に饒舌になるのだろうか。半分くらいはレポートで半分くらいは妄想で創り上げた記事を書いたこのライターは、平穏に生きることはまずないだろうなと思ったりする。
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同じ日に、同じマンションで殺された2人の女性。
そして2人とも子宮が取り出されていた。
容疑者として男が逮捕され、起訴されるものの、
事件の真相は別にあると睨んだルポライターが被害者2人とその周囲の人間関係を調べ始める。
事件の謎を追う…という視点もあるものの、
被害者はじめ、出てくる女性それぞれを通して、
女に生まれた不幸というものを描いている。
読んでいると憂鬱な気分になるけれども、
同時に「人は人の不幸な話が大好き」という性質を刺激してとても引き込まれる。
それもまた悲哀。
裏にどろどろしたものを孕んだ女同士の人間関係、それは何歳になっても形やテーマを変えながら続いていく。
そんな痛さが余計に物語の陰影を深くする感じ。
ミステリーとしてもちゃんと面白いけれど、
人間ドラマの方が際立っているかな。
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タイトルからも連想される通り、女の嫉妬、負けず嫌いなどがキーワード。同じ高層マンションで独身女性2人の遺体が発見され、犯人がすぐ捕まったが、検察の進め方に疑問を感じた女性ライターが真相を突き止めていくというお話。ライターのインタビューや雑誌に載せた記事を元に物語は進んでいく。
ドロドロとした人間関係、女性ってこわーい。。。
ネット上で知り合ったとか、実はつながっていたとか、見栄、売春とか。
ラストは、え!?って思って最初を読み返した。あんまりすっきりしなかったけど。
初めての真梨作品だったけど、口コミ見てたら他の作品の方がもっとドロドロしてる感じ。だって「ドロドロ三部作」と言われる一冊らしい。 「殺人鬼フジコの衝動」と「みんな邪魔」と合わせてそう呼ばれているそう。もうちょっと経ってから他のも読んでみよう。
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女のドロドロ・・・、というよりも、人間の弱さ、自分だけが良ければという一面をついた小説だったような。
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設定と結末だけ人づてに聞けばいいかな、という作品。
『深く深く、砂に埋めて』のような、一語一語から滲み出る苦しさが本作からは全くといっていい程感じられなかった。
ひどく平坦な作品。
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おもしろくて、一気読みしました。でも誰がどうだかごっちゃになりそうf^_^;)主人公のキャラが最後のほうでブレてくる気がしたのは、狂気ゆえの設定でしょうか。
別の作品にも期待!
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うーん。面白いんだけど、フジコほどの衝撃はなかったな~。
身近すぎちゃってノンフィクションみたいだった。
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『妬み、嫉み』と『女』はよく馴染む組合せなのかも知れません、、、。このドロドロハマるとおもしろいです。次は『ふたり狂い』読んでみます。