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「ブリテン島及びアイルランド島で現代に生きる/残るケルトを言葉と音楽と現地での旅を通じて浮き彫りに」しようとした本書。ケルトミュージックガイドとしても豊富な情報を含んでいます。特に日本で語られることの少なかったウェールズのケルト文化についての紹介本ではベストではないかと思います。旅行ガイドとしてもすぐれた本だと思いました。
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「ケルト」って?と聞かれても、なかなか正確な答えができる自信がない。アメリカ大陸と比べればずっと狭い面積の中で、それぞれが自分の民族の文化や、宗教を守ってきた土地に生きる、そのアイデンティティーや空気感を、現地に行ったこともない私が感じ取るのはなかなか難しい。でもこの本は、そうしたややこしい歴史も略しすぎず、なおかつ専門的すぎない記述でうまく説明してくれている。
まずはアイルランド、ウェールズ、スコットランド、と分けてそれぞれの歴史や特徴を説明した上で、今度はそれぞれに残るケルト文化についての記述が続く、という構成になっており、こんな歴史を持つ人々の一部がアメリカに渡り、あんな音楽を始めたのか、と思うと面白い。各地のハープの構造や弾き方の違い、ゲール語とウェールズ語の違いや手書きの譜面の写真など、難しいのだけれど、この本のページをめくっている間は、なんだか分かったような気になれる。本を閉じた途端にまた分からなくなってしまうこともあるけれど・・・
素人目で考えるとつい、ごちゃまぜにしてしまいそうな各地域の文化。奥深い面白さを垣間見ることができた一冊だった。
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ケルトに興味を持っている方にはお勧め
古色蒼然とした昔ながらの紀行文だけではなく、今ケルトに興味があって、音楽を聴いたり、旅をしたりするのに参考になる書籍だと思います。
ケルトに焦点があたっているため、大陸、ブリテン島、アイルランドに分散しているケルト民族全般についてカバーしているが、ウェールズ、スコットランドなど、ブリテン島のケルトについて触れている部分が多いような気がします。
特に音楽については、多くの章が割かれており、また、脚注、章末には文中に出てくる音楽、ミュージシャンのレコード(CD)が丹念に紹介されているため、イメージが広がりやすく、また、すぐにYouTube、Amazon等で利用することができ、とても便利。
ただ、ケルトのハープを取り上げているにも係わらず、O'Carolanについての記述が一切無いのは、O'Carolanファンの私としては、著者に抗議したいほどの欠陥だと思う。
図書館で借りてきましたが、購入せねば。