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あたらしい生のほうへ―ひとつの命の誕生という奇跡をのせて、天体は回転しつづける。焼きまつたけとはもしゃぶ。西マリアナ海嶺のうなぎの稚魚。裏のお地蔵さん。石のうさぎ。園子と慎二。みんなのせて。赤ん坊の誕生という人生最大の一日(「BOOK」データベースより)
あれ、しんじさんとそのこさんのところに、新しい命が宿っていたのかしら。
まぼろしの猫と三崎のおうちで戯れる、生まれることのなかったあの子の事が頭から離れなくて、そのことにちょっと触れている作品を読むと哀しくてしょんぼりしてしまっていたのだけれど。
あぁ、あの子が少しだけ寄り道をして、もう一度戻って来てくれたのかなぁ。
だったらいいなぁ。
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壮絶で、濃厚・・・。「ある一日」って、そういうことだったのかぁ。。。こんなふうに、文章で残してもらえるなんて、とっても素敵♡ よかったね。慎二さん、園子さん♪
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ことばにしにくい事を文に置き換えている。
文の内容・情景を理解するのは難しいけど、言っていることはすごくわかりやすい。
園子さんのバースプランがとてもいい
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いしいしんじらしい作品だし、テーマも
話も良いんだとは思うんだけど・・・
残念ながら、この文体は私には無理だった。
非常に疲れた。
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読後に高山なおみさん&いしいしんじさんのトークイベントに参加。
出産には立ち会ったことがないが、新生児の放つ特別な光が
死に行く人のまとう光と同じなのでは・・・というお話について
自分でも常々思っていたことなので納得だった。
いしいさんの作品は俯瞰ではなく、その場に自分も立っている気分になる。
その理由もわかった気がした。
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京都に移り住んだ、いしい夫妻に待望の一日がやってくる。
朝から順に語られるのは、そのいしい夫妻のとある秋の一日。昼間から夕食のための買い出しに錦市場でマツタケとはもを買い求めるあたり、いかにもこの夫婦らしい。
途中途中で挿入されるのは、過去のさまざまな出来事やうなぎの産卵の神秘などなど。やがてやってくるのは、待望の陣痛。
そう、これはいしいさんのベイビー誕生までの、ながいながい一日を下敷きにした小説なのである。いかにも文学者らしい観察が克明に書き込まれ、それが読む人に感動を呼び起こす。
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出産をテーマにした話。
子供を産むという神秘的なことを小説で表現しているんだろうけど、私には著者が描くこの世界観を想像することが容易ではなく、読むのが難しかった。
評価が低いのはつまらなかったからではなく、理解することが難しかったから。
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京都に住まい、まつたけやはもを食べ、歯医者とうなぎの卵の話をしているうちに、自然分娩でいきものが生まれました。大海の中を大波にのまれながら…に例えられた分娩室で、水がひいた砂の上に残された園子さんと慎二さんといきものは、ひとつになったのではなく、むしろ3人別々であることを強く意識してこれから生きていくのだという終わり方でした。
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こんどこそ生まれてきてくれる――。赤ん坊の誕生という紛れもない奇跡。京都、鴨川にほどちかい古い町屋に暮らす四十代の夫婦のもとに、待ちに待った赤ん坊が誕生する。産みの苦しみに塗りこめられる妻に寄り添いながら、夫の思いは、産院から西マリアナ海嶺、地球の裏側のチリの坑道まで、遠のいてはまた還ってくる。陣痛から出産まで、人生最大の一日を克明に描きだす、胸をゆすぶられる物語。
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ある夫婦のある一日がつぶさに描かれている、それだけの物語である。ただ、その一日というのは、やっと授かり、待ちに待った我が子誕生のその日なのである。ほかのどの一日とも際立って違う一日なのである。産む者と生まれ出る者、そしてつきっきりで立ち会う者それぞれの存在のありようが、くっきり別のことではあるのだが、ひとつのことを成し遂げようとする一体感を持って胸に迫るのである。この物語は、この夫婦と生まれる子どもだけのものなのだが、読む者それぞれが、我が身のそのときのことを胸によみがえらせながら、特別な気持ちを抱きつつページを捲る一冊である。
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オマタが痛くなる。感性においてけぼりされてしまった箇所もあるが、凝縮の一日、その果てしなく希望にみちた三人の実況と心境は理解できたと思う。
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タイムリーな内容なので読んでみた。独特な空気感が漂う小説で、比喩もなんとなく分かるようなものもあれば分からないようなものもあり・・。好みでもなかったが、それなりに読めた。胎児/新生児の心の描写が面白く<想像に過ぎないんだろうけど、事実であってもおかしくない描写でなかなか良かった。母親に初めて抱かれる場面は、苦労して生んだ母親が報われるような内容になっていた。
最後にやっと、バースプランを通して現実的な言葉が話が締めくくられたのは良かったし、全体が引き締まったように思う。
多分、この作家を読むことはもうないだろう。
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いしいしんじさんと奥様の赤ちゃんが生まれる日を描写した、不思議な味わいの作品。
いしいさんの作品はどれも不思議な味わいだけど、出産という一日の事象がこの人の目にはこんな風に映っているのか、と、いしいさんのものの見え方を見せてもらったような気になる。ご無事のご出産おめでとうございました。
お子さんが本を読めるような年になってからこの作品を読んだらどう思うのかなあ。
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最初は文体に慣れるまで一行一行をジックリ読み込んだが、59頁以降は頁を繰る手が止まらなくなる位、没頭した。
子を産んだ時の感覚を一気に引き戻し、ラストの組み立てで、私自身の『ある一日』を追想した。
経膣出産に至る流れが前半部分の引用を使って効果的に書かれている。
誰か私と出産話しをしませんか⁇
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タイトルの通り、出産予定日からその次の日にかけての夫婦とお腹の中の「いきもの」の三つの視点、そして神の視点とでもいうのか、引いた視点で描かれるちょっと不可思議な日常。
賽の河原で泣きながら石を積む幼子をあやす地蔵さん、石のなかのカエル、世界をかけるハモの生命、輝くような松茸の香りの花が咲く。
今までのいしいさんの文章とは違う気がして、なかなか読み進められなかったのだけれど、読む時間さえ確保出来ていたら一日で読んでしまいたかった。命が産み落とされる瞬間、悲しみの大きさ、世界と自分、自分と自分以外も生まれる。ラストの奥さんが暗誦できるほど気持ちを込めたバースプランに凪いだ海の浜に立つ気持ちになった。
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タイトル通り、「ある一日」を描いた物語。慎二と園子夫婦の出産の物語。感覚と記憶がぐるぐると巡り、とても不思議な体験をした。メインは園子が「いきもの」を生むということ。バースプランにはとてもしんみりしたし、人が人を生むって本当にすごいことなんだなぁとつくづく、命の不思議を感じたりした。それにしても出産の痛みって!! イメージでしかないけれど、本書を読んでいて、ひたすら、ひたすら脂汗をかいてしまった。腰のあたりに力が入らなくなって、少しだけ一緒に痛みを体験した。