紙の本
無駄を削ぎ落とし、淡々と語られる
2015/03/26 15:33
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
徹底的に無駄を削ぎ落とし、淡々と語られる事件。罪を犯した者は愚かで切ない動機を抱えている。前作の『犯罪』よりも冷たい感じが好き。
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「罪悪」というタイトルがまさにこれしかないという感じの短篇集。
極限まで削りこまれた言葉が浮かび上がらせる多くの物語。
それはとても重くて、まるでタールの海でもがいている様な気分でページを捲った。
感情を排して淡々と事実だけを綴っているのに、どの話に出てくる「罪悪」感を持つ者たちが実に生々しい。
シーラッハ独特の描写だよなあ。
1作1作読み終える毎に、立ち止まって振り返って考える。そんな本だった。
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ドイツの弁護士さんによる、犯罪短編集第2弾。
いやはや今巻も上手いね!
「書きすぎないこと」の重要さを痛感させられる。
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シーラッハの第2短篇集。様々な罪の形を描く、淡々とした語り口は前作の『犯罪』と同様。無駄を削ぎ落したシンプルな文章だからこそ、より際立って感じられる人間の哀しさ、滑稽さに圧倒される。『犯罪』が罪を犯さざるをえなかった人間に力点を置いているとすれば、今作は罪そのものに力点をおいた感じかな。前作以上に”罪”とは何かについて深く考えさせられる。あと全体的にユーモア成分が増量されているのも嬉しいね。お気に入りは「鍵」かな。
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昨年、大いに楽しませてもらった『犯罪』に続くシーラッハの短編集。
この人は、日常の中から生まれる犯罪や、罪を犯してしまった人の苦悩を描かせたら随一ではないかと思います。15作品収録ということで、前作に比べてオムニバス色が強くなっていますが、どのストーリーも読み応えがあります。
結局のところ本作は、ドストエフスキーが『罪と罰』で描いた罪悪と苦悩を、軽妙な文体で再現したようなものだと感じました("再現"としたのは自分自身、ドストエフスキーへ深い愛着があるため)。ラスコーリニコフは、どう生きたんだっけ…そんなことを思い出しながら、読み進めました。
救いようのない事件を扱った幾つかの物語の中には、罪を犯してしまった人の良心や、その後の明るい後日談を想像できそうなものも幾つか収録されています。自分はここに「禁則を犯してはならない、しかし人はやり直すことができるのだ」というような、作者の優しさのようなものを感じました。
最後に。帯に書かれていた「罪人になるのは簡単なのに…世界は、何も変わらない。」という文句が秀逸なのは言うまでもありません。
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「犯罪」に続いて、現実の事件に題材を得た、短篇15編。
不思議。奇妙。馬鹿々々しく、愚か。気の毒。致し方ない。やりきれない。因果応報。よくわからない。魔が差した。まあ、こんなものでしょう。。。
いろいろな事件や犯罪がある。思わず同情してしまうようなものから、同情は全く出来ないものまで。作ったお話かと思うものから、お粗末すぎて嘘でしょ、というものまで。
でも、どれもこれも、正真正銘ニンゲンの仕業だ。
なんだかその愚かしさ、馬鹿々々しさも含めて、愛おしくなる。憎めない。
最後の〆が、今回はちょっとスタイリッシュ。
まだまだ読みたい。
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内容(「BOOK」データベースより)
ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。
秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。
猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。
何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗事件。
麻薬密売容疑で逮捕された孤独な老人が隠す真犯人。
―弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。刑事事件専門の弁護士が、現実の事件に材を得て描きあげた十五の異様な物語。
世界各国を驚嘆せしめた傑作『犯罪』の著者による、至高の連作短篇集。ドイツでの発行部数30万部突破。
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ものすごい短編?
グロテスク&救いがなく、とことん闇の世界に入っていきそうだったので、読むのをやめました。
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奇妙な事件のカタログのように15の出来事が語られる。「遺伝子」「間男」みたいに、登場人物の心情の肝心なところだけをあえて書かずに読者にゆだねてしまう意図が明らかな作品が好み。書くところと書かないところの微妙なさじ加減が巧み。
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すばらしい短編集。
『犯罪』では罪を犯す人間を多面的に描いているがこの『罪悪』では弁護士のもとにたどり着くまでの彼らおよび彼らの犯した罪が描かれる。
簡潔で乾いた手触りは変わらない。
たぶん私の今年の読書の中のベストいくつかに入ることになる。
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罪は、その人と、その人の人生がもつれ合ってできている。
わずかに数頁、よどみなく淡々と綴られる犯罪に関するエピソードがなぜこれほど苦しく、ときにユーモアさえ孕み、センチメンタルなのか。
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刑事事件専門の弁護士である著者が、実際の事件をヒントに書いた15編の短編集。前作をほぼ踏襲した形になっているようだ。
前作同様、物語の描き方もかなり断片的で、その描写についていくのにある「慣れ」が必要だったのは私だけだろうか。
突然転換する場面にいちいち自分の頭を整理しなければならず、ストーリーの流れが中断するような感じになってしまうのが、今回もちょっと苦手だった。
翻訳のせいもあるのかもしれないが、著者がそのような文章表現をあえてしているのだろう。
非常に冷たく、すっと背筋が寒くなるようなストーリーがほとんどで、後味も悪い。
私には読みにくいタイプの文章なのは前作でもわかっていたことなのに、描き出されている薄暗い人間模様に奇妙にも引き寄せられ、つい手に取ってしまった。
この、癖になるような筆致、というのもこの著者の魅力なのかもしれない。
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弁護士の「私」が語る、15の「罪」。
淡々と語られる「罪」は、どれも最悪だ。罪を犯した者も、巻き込まれた者も、犠牲になった者も、誰も救われない。
弁護士の「私」までその「罪」に犯されているようにみえる。
不思議な距離感のある文章が、感情を乗せることを拒んでいるようで、読むのが癖になりそうです。
前作の「犯罪」も読みたくなりました。
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弁護士である作者の
武勇伝的話ではないところがいい
解決したものもあれば
ぽわんとしたまま終わらすのとか
ただ、前作ほどの濃さはないかも
最後そのあとどーしたの!?
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さまざまな人間、さまざまな犯罪を弁護士=著者が湿度や熱を感じさせない語り口で…というのは前作「犯罪」と同じ、それはそれは面白い小説集なのだけど。
人間が愛おしく哀しく描かれていた前作とは異なるテイスト。
「やりきれない」とか「なんて理不尽な」と苦味や辛味が増量された物語が多くて、読んでいる間中ヒリヒリと痛かった。
それでもやっぱり3作目が楽しみ。待ち遠しい。
タダジュンさんの装画が今回も素晴らしくカッコ良いです。