投稿元:
レビューを見る
一見、関係なさそうな三つの事件の裏には、実は・・・
理路整然としていて、破綻は無いのだけれど、何だか面倒くさい話だな。
人間のイヤらしいトコを描いている割には、品が良すぎる感じがした。
投稿元:
レビューを見る
前作『鬼畜の家』に引き続きこちらも傑作。仕掛けそのものもだけど、何よりその見せ方に唸らされる。思わせぶりなプロローグに続き語られる、一見無関係な三つの”単純な”殺人。それらが一つに繋がり、隠された真の構図が明らかになってゆくさまが圧巻。緻密に張り巡らされた伏線の回収も見事。
投稿元:
レビューを見る
一見ありふれていそうで単純な三つの事件。しかしその背後には何か不審なものが潜み、やがてそれらが繋がっていく形式のミステリ。どの事件もさほど凄惨でもなくインパクトもないのに、少しずつ謎が残されていて。それらがラストで一気に明かされるのは、圧巻。
まさかあれがすべての事件の発端だったとは……! 恐ろしいのは、人間の欲望。ひそかに丑の刻参りをしていたあの人も恐ろしいし。体面取り繕ってさぞ家庭円満のように装うあの人も常軌を逸しているし。人間の嫌な部分をこれでもかというほど突きつけられた感じで。だけど当然、そんな人間ばかりではないとほっとさせられる部分もありました。
投稿元:
レビューを見る
深木章子作品は「鬼畜の家」に続いて2作目だが、今回は短編のような4つのストーリーが実は全て繋がっているという話で、ミステリー作品として非常に緻密に構成されていると思います。深木章子の作風は精密機械のように話の筋としておかしな部分が無く、トリックや犯行の動機なども完璧なのですが、逆に完璧すぎて遊びの部分がないため、そういう意味で若干面白みに欠けるところがありますね。ミステリーの王道とも言える作品です!
投稿元:
レビューを見る
一見まったく関連のなさそうな3件の事件。
姉が妹の夫を殺した「廣田家の殺人」
3億円の宝くじが当たったことから端を発した「楠原家の殺人」
階段降り口近くで口論する両親を思わず突き落とした「鷹尾家の殺人」
しかしある男の登場により、事件は驚くべき構図をみせる。
という、深木さんの第2作目。
やっぱ元弁護士さんって、いろいろなモノを見てきたんだろうなぁ。
と思わずにはいられない作品。
それぞれの事件がそれなりに楽しめて、なおかつ長編としても高い完成度。
人間の厭~なところがかなり描かれているのに楽しめるのは、刑事さんのツッコミのおかげかな。
読者の感覚に一番近いのが刑事さんだったような。
最終章で謎解きが始まるとあまりの複雑さに、久しぶりに思わずアレを作ってしまいました。
が、すぐその後で挿入されていたので、やっぱりね。と。
コレが出てくる作品って久しぶり。冒頭にないのがミソだわね。
いやぁ面白かった。次も期待しちゃうな。
投稿元:
レビューを見る
(No.12-29) ミステリです。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『「すぐ来てください!姉が・・・・、私の夫に殺されたんです」
凶器の花瓶には通報者の夫の指紋が付着、その夫は逃走中・・・。
これを捕まえれば万事解決、当初は単純な事件と思われたのだが、数日後に男が出頭、そこから思わぬ展開を見せ始める・・・。』
「鬼畜の家」で、ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した深木章子さんの作品です。やっぱりかなりぐちゃぐちゃな関係の人達ばかり出てきます。
最初の殺人事件が解決したのかどうか微妙なところで全く別な話になってしまい、え~これがちゃんと繋がるのかな?と気になって仕方ありません。
そうしたらまたまったく別の話に・・・。上手いなあ、読者の気をそらせないこの展開!
でもたくさんの登場人物がバラバラ出てきて、名前を覚えきれないし関係が分からなくなりそうだわ。
最初に登場人物表でもあればそれを見ながら読めるのに。いっそ人物表を作成しようかなあ、と思った頃、なんと登場人物の一人が他の人に説明するために関係者の相関図を作ってくれました。
なんて良いタイミング!そうだよね、最初にこれがあると興ざめな部分が出来てしまうから、隠してたのね。ますます作者に感心しました。
どろどろで身勝手な動機の殺人事件の話ですが、なぜか読後感は悪くなかったです。
読み出したらやめれない、面白いミステリです。お勧め!!
これが「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」受賞後、第一作なのかな?
とても面白かったので、受賞した力は本物だと思いました。
投稿元:
レビューを見る
最初は1つ1つ異なった短編集として読んでいたが、最後の章であんなに見事につながるとは、意外と言うか、凄いと言うか…無理矢理まとめてしまっている感じも否めないが、文章も読みやすく、一気に読める。
投稿元:
レビューを見る
前作の「鬼畜の家」があまりにも完成度が高かったので期待したのですが、ちょっと奇をてらいすぎた感が無きにしも非ず。とは言え、そこいらの凡百ミステリーよりははるかに面白くてオススメです。
投稿元:
レビューを見る
少し面白い趣向のストーリー仕立てで、まぁまぁ面白かった。けど、元刑事の私立探偵榊原が、できすぎかな^^;
投稿元:
レビューを見る
妹を追ってきた妹の旦那に姉が殺されてしまった「廣田家の殺人」。宝くじで3億円当たった男にうまくなりすましたにも関わらず、誰かに殺されてしまった「楠原家の殺人」。そして、ヤクザに弱みを握られ謎の運び屋をやらされたあげく、謎の女を殺させられた(!?)「鷹尾家の殺人」。何の関係もなさそうな3つの事件だったが、ただ一人、私立探偵の榊原聡だけにはある繋がりが見えていた。
前知識無しに読めば、最初は短編集かと思う程、3つの話につながりは見えない。が、最終章で知られざる繋がりが榊原の推理によって明かされる。しかしその関係はかなり複雑なため、だんだん嫌になってななめ読みになってしまった(^^;これを説明するには○○○が一番ということは作者もわかっているらしく、物語後半の292ページで初めて図解されるのだが・・・できたら最初からこれを知りたかったとすら思ってしまった。でもそれだと、3つの事件がつながっていると知った時の驚きが演出できないしなぁ。
今回の探偵役になんとなく覚えがあるなぁと思ったら、前作の「鬼畜の家」にも出てきていた。警察関係者もこの私立探偵自体に興味をもっているような記述があったし、これから先、シリーズ化されてこの榊原の人となりも掘り下げられていきそうな雰囲気もあり。
投稿元:
レビューを見る
この作者は法学部出身の元弁護士。60歳過ぎから執筆活動を開始したというが、作者の年齢を感じさせない。単純な事件と思われたその裏には、刑事も気づかない衣更月家一族の人間模様が見え隠れする。私立探偵榊原の名推理が事件の謎を解いていく。
投稿元:
レビューを見る
誰に感情移入しても、どうなんんだろうなあ、
と思わせられる登場人物。
きっと何かがあるはず、と読むもそれぞれの物語として進んで行く。
そこから繋がる真相、
あれがないとどういう風に繋がってるのか分からなかったわ〜。
誰に、と書いたけど、
実際妹にも姉にも宝くじの方の関係も借金両親の方も、
人間関係って複雑で恐ろしいもんだよなあ、
と考えてしまうような。
元恋人だけが救いのようでした。
完全犯罪を起こし得る人間はなかなかいないんだろうなあ。
結局頭がいいのか何なのか?って計画者達。
一瞬探偵も実は?なんて勘ぐっちゃったけど。
面白かった。
投稿元:
レビューを見る
「鬼畜の家」で興味を抱き、二作目に挑んだ深木章子作品。
この作品ではイヤミスっぽさは消え、どちらかといえばスタンダードな推理小説の趣。
いわゆる連作短編形式のミステリーで、いくつかのエピソードが最後でピタっと繋が
るタイプ。
鬼畜で登場した私立探偵、榊原が連続登板。この作品では榊原の心情描写が殆ど無く、
早くも動きだけで魅せる名優に変貌。性格的には東野圭吾作品に登場する加賀恭一郎
タイプで、彼の一挙手一投足がかなり魅力的。純粋なミステリーというジャンルでも
充分通用するキャラクター。
組み立てが良く出来ていて、さっくり読める良質のミステリーであることは間違い無
いのだが、鬼畜の読了後に感じたインパクトには少し及ばない気が。あちらには紛う
こと無き悪意という劇薬的なスパイスがあったから、この感想も致し方無いのかな?
ただ、ミステリー作家としての深木章子には大きな才能を感じるのも事実。
次回作での更なる充実振りを期待しときます!
投稿元:
レビューを見る
宝くじをめぐる事件から俄然興味が湧いて一気読み。一つ一つの事件が「衣更月家」とどう関わっていくのか早く知りたくて頁を捲りました。最後に説明がつくのが見事。探偵の榊原さんについては謎だわ。彼は他にも出ているのか¨、深木さんの作品を初読みなのでわかりませんが、あったら読みたいと思います。
投稿元:
レビューを見る
「廣田家の殺人」「楠原家の殺人」「鷹尾家の殺人」それぞれ全くタイプの異なる事件が語られ、最終的に「衣更月家の一族」というパートでまとめられます。各パートで解決しなかった謎を最終パートで明かすことによって大きなサプライズを生み出しています。
所々にややご都合的な展開が見受けられますが、構図の意外性が光る力作だと思います。