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この本は日下氏と増田氏の共著ですが、お二人とも主張は日本の強みを裏付けとなるデータとともに提示してくれる識者です。お二人は今まで多くの本を書かれていますが、かなりのペースで出版されています。
日本は格差が広がっているという報道がある中でも、中流層の常識力の高さ(優秀さ)が、諸外国と比較して強みであるというポイントは興味あるものです。彼等の視点には学ぶべきものが多く、今後も参考にしていきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・系が閉じられていないゲームをするとき、一番困るのは戦略思考である、戦略思考をすると、理路整然と間違える、間違いはどんどん広がる(p16)
・頭のいい人間がトップになって得する分野は5つで、軍事・外交・司法・金融・広告宣伝のみ、これ以外では百害あって一利なし(p20)
・正規軍同士には大きな戦力は有利だが、ゲリラやテロリストは惨敗することもある、ベトナム戦争のアメリカ、アフガン戦争のソ連など(p21)
・アメリカ裁判も日本と同じくらいの和解率に高まっている、そのため多額の賠償金で稼いでいた弁護士が影響を受けている、証拠開示命令という制度が影響している(p29)
・MBAなど知らない経営者のほうが良い経営をしている、英語は勉強しても良いが、それを自慢に思ったとたんに終わり(p35)
・アメリカの学生ローンの悪辣さは、住宅ローンとことなり返済から逃げることができない、サラ金なみの追い込みを合法的にかけることができる(p41)
・世界で日本と同じような規模の国家では必ずといっていいほどあった、農耕と牧畜のリスク分散がされていない、農耕・漁労・採集のみでやっていけるから(p49)
・ヨーロッパのキリスト教社会は徹底的に反ユダヤ、彼らの居住区を限定してゲットーをつくり虐殺したのは知られていて、ナチスのみでない(p57)
・キリスト教社会は「罪の文化」であるが、日本人社会は「恥の文化」、それは神や仏ではなく、世間がどう判断するかがモノサシ(p59)
・アメリカでの選挙人登録は、基本的に政党を通じて行うために、現実的には二大政党のどちらかを選ぶ必要がある(p68)
・トリウム燃料を使う原子力発電方式が放置されていた理由は、原発開発が第二次大戦中に始まったから、ウラン方式はプルトニウム爆弾を作るのが目的で、電力生産はあくまでも副産物(p87)
・車社会となったアメリカでは、市民は手取り収入の2-3割がガソリン代に消えている(p92)
・オバマ大統領肝いりの太陽光パネル産業は、すべて(サリンドラ、スペクトラワット、エバーグリン・ソラー、HPソラー社等)倒産している(p93)
・日本では、文化・経済・文明が三つ巴で相反せずに存在してきた、まず文化が栄え、それを産業化して量産(経済)する、それば進むと貯金ができて、社会資本や学校をつくって文明ができる、そして余暇ができて文化が花さくことになる(p104)
・インフレ型社会は、大企業と超資産家、国家が一方的に儲けることができる、何回でも借金ができて、合法的に踏み倒すことができる(p117)
・アフガニスタンとイラクはアメリカと戦争をして負けることで、ものすごい復興特需が入ってきてGDPがものすごく伸びた(p129)
・日本で馬車が実用化されなったのは、去勢しないオスは凶暴で人間を運ぶには危険すぎたから(p138)
・西アジアやヨーロッパ人は動物を飼い慣らして家畜化するように、古代から人間を家畜化してきた、これが奴隷である(p138)
・アメリカがドル安でいくら輸出を伸ばしても、恩恵を享受するのは株主とCEO、一部の高学歴者のみで、国民全体の8割の一般大衆や貧困層は恩恵を受けない(p143)
・フランスのサルコジ大統領がギリシアとイタリア支援に懸命なのは、フランス金融機関が貸し込んでいるから、アメリカが第二次世界大戦に参戦したのは、ドイツよりもフランスとイギリスへ貸していたから(p158)
・市民という大衆に枠組みを与えるのは一握りのエリート、この構造はアメリカや欧州で同じ、日本はエリートの知的能力が低く、大衆が高いので、国民は自分のやりたいことができる(p175)
・琉球王はペリーの上陸を拒否したので、首里城まで闖入して琉球を占領した、そこから小笠原諸島や石垣島へ砲撃(石垣島事件)している(p209)
・ソ連が石油増産に資金を回して増産がピークになったとき、日本は省エネ技術革新が終わり、それほど輸入しなくなった、これがソ連にはこたえた(p233)
・最新式の空母は原子力パワーでジェット戦闘機を蒸気カタパルトをつかうが、中国の空母は原子力ではなく子供だましのようなもの、戦闘機の離着陸ができない?(p237)
・中国海軍の最大の欠陥は、対潜水艦能力が弱いこと、自衛隊はアメリカにも負けない(p238)
・中国が空母艦隊を持ったら財政的に破綻する、交替用・訓練用・修繕用が必要なので(p240)
2012年3月11日作成
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薄々感じていることをズバっと背景も提示して述べてあるため、日本人として気持ちが良い1冊ではないでしょうか。
あるべき姿とは思えないマネーゲーム、欧米人に少なかれ感ずる乱暴さ横柄さ、など彼らの文化の根底にある略奪文化説をベースとする論は危なさを感ずるもののスイスイと腹に落ちていく感が否めません。
自国を語るには、まず他国を知ること、それも色眼鏡をかけないで。
が重要だなと考えさせられました。
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楽天家教授二人による日本に関するエッセイ集。決して学術とはいえないし、疑問な点も多いが、悲観論の多い中、日本人を元気にしてくれる安心して読める本。納得できる箇所は多く、両先生の本は、いつも楽しく読める。