紙の本
映画のあとに。
2015/08/20 01:37
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投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者が出版を断られ続けているなか、映画化権利はすでに完売という
変わったエピソードを持つ本作。 それはつまり、映像化により、
本より多くの人に伝えられる監督の狙いが感じられる。実際その通りになった。
でなければ、映画成功後に原作である本書を手に取った人はこんなにいただろうか。
分離社会のグレーゾーンが彼女たちの職場、
「白いレディ」こと白人女性の住む家庭そのもの。
ヘルプを病原菌扱いしておきながら、自分の子供はヘルプにまかせっきり。
…自分だってヘルプに育ててもらったのに?
白人女性たちは周囲の社会によって「白いレディ」に教育されたように思える。
でなければ20年後、育ての母の雇い主になれるだろうか。
その枠組みを外れたことで都会で成功するであろう、スキーター。
その枠組みに囚われない事で人間的魅力を増す、シーリア。
この2人は、それぞれヘルプを最高の相棒・親友・恩師にもつ点で非常に似ている。
その他の点での異なり方がまた面白いのだが。
エイビリーンがメイ・モブリーにかける言葉が気に入っている。
愛犬の目を見て毎日言った。 彼女は数日でこれを愛情と理解し、
最期の日まで、目を細めてじっくりと聞いていた。
そのくらい簡単で、奥深い言葉だったのだ。
訳者あとがきも魅力的で、素晴らしくよかった。
(ミニーの「風と共に去りぬ」のメイドは『無い!』は痛快・笑
あの作品を本作で肯定するのはどうかと思っていたところにビシっと決まった!)
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とうとう出版にこぎつけた『ヘルプ』
この町のことだと知られたくない、でも知ってほしい、考えて欲しい気もする。
アフリカから連れて来られ、(白)人以下の存在として長い間辛い生活を送って来た黒人たち。
白いレディ達には思いも寄らないことだっただろう。ヘルプ(家政婦)として働く黒人たちはちゃんと心がある人間であるということが。
心を込めて関わった白い子供たちもいつかは黒人を見下す白いレディになる、なんて哀しいことだったろう。
今のアメリカに住む人たちにはもう偏見はないのだろうか。染み付いた偏見を拭いきれない人はまだいるのかもしれない。
自分の中に、自分と違うものに対する偏見や蔑視がないように祈っていたい。
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最後は感動( ̄^ ̄)本が売れたからといって、差別がなくなるわけではないけど、そのなかで、差別を越えて絆があるところもあり、ちょっとづづ今にむかわって代わってきているなと感じた。
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「ミシシッピー・バーニング」と
同時代・同地域の物語であるにもかかわらず、
白いレディと(黒い)ヘルプを中心に据えることにより、
リアルでいきいきとした日常感がありありと浮かび上がる。
副題である「心がつなぐストーリー」に強く惹かれた。
じんわりと心を打つ素晴らしい作品を読めたことに感謝。
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すごくよかったー。
人種差別をテーマとする作品だけれども、ユーモアあるエンターテイメントになっていて、ぐんぐん引き込まれた。読ませるー。
ただの「感動する話」「いい話」じゃない。
閉鎖的で因習的な小さな町の、ジャーナリスト志望の型破りな若い女性スキーターがよくて。ちょっとなんだか少女小説みたいな、青春モノみたいな感じもして。彼女が母親のことや、恋人のことで苦しむシーンで泣けてしまった。
当時のアメリカ南部の社会情勢とか町の雰囲気とかそういうのもよくわかって興味深い。
ラストも、わたしが勝手に懸念していたような感動のハッピーエンドとか安易な解決とかはなく、ちょっぴりほろ苦いようなでも希望ある、しみじみとしたラストでよかった。
ちょっとネタバレになりかつあんまりどうでもいいことかもしれないけど、
スキーターのお母さんの病気がよくなったのはミニーのお祈りのせいかと思っていてすごく期待していたんだけどそうではなかったのかしらん。
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スキーター以外の白人人格による一人称の表現進行が無かったので、
被差別民(黒人)寄りに偏った視点でストーリーを追ってしまう傾向がありました。
ヒリーが悪の象徴のように描かれているので、
彼女が凋落する様を見たい!という偏屈な欲望を抱えながら読んでしまったりと、
勧善懲悪の期待が芽生えてしまい、
一方で、読む前から最も期待していた
「当時の人種問題を多角的に知る・考えること」の程度は薄かったです。
とはいえ、とても面白い小説。
・自立できず何も成し遂げていないスキーター
・幼く無垢なメイ・モブリー
この2人の女性が、
エイビリーンの高潔と愛情に感化されながら成長していく物語、
として捉えると 、とても楽しく読了できました。
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素晴らしい作品だった。上下巻をいっきに読み切った!後半は電車の中で涙をこらえるのが大変だった。早く映画を観なくては。
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映画を観て余りにも良かったので読んでみました。原作は時間の流れがゆったりしています。エイビリーンとスターキーがインタビューを始めてから本が出版されるまで2年も!かかってます。その間のエピソードも勿論小説の方が多々あり、感動出来るんですが。映画は上手にまとめたなぁ~、上手に映像化したなぁ~と感心します。ヒリーの絶叫シーンは映画ならでは!です。唐突なアンハッピーエンドだと映画を見て思っていたんですが、実はちゃんと伏線があり希望のある前向きなラストだと言う事が小説を読んで判りました。小説も映画も必読、必見です。
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そういえばトムとジェリーに出てくるメイドさんも黒人だったなあとか、NHKのドラマで放映されていたドクタークイン(もっと設定時代は古いけど)、KKKの黒人に対する制裁なんかがたくさんでていたなあ...と思い出しながら読んだ。人種差別というアメリカの暗い側面、今でも残っていないとは言い切れないと思う。日本に生きているとその感覚はきっと理解できないと思うのでこういう本は貴重だと思う。
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よかった。
最後の最後までどきどきした。
慈善パーティはハラハラもんだった。
ひらひらした格好のシーリアから目が離せなくて、
んでもって最後のヒリーとのやりとりなんか、ギャーって感じ。
でもその後ミニーがパイの話をして、
小切手の宛名に彼女がかいたことに、やるなって思った。
ジョニーは彼女を選んで正解だったと思う。
スキーターはもう完全村八分にされて、つらかった。
おまけにスチュアートとも別れるはめになるし。
でもでも、ニューヨークに行くわ、と旅立った彼女は素敵だし、
カッコいい。
これでよかったんだ、と思えた。
あれが本になったらどんなことが起こるのか、怖くて、なにもひどいことが起きませんように、とずっと読みながら思っていた。
結果、色々変化はあったけれど、それぞれが
自分の心の中になにか納得するものを見つけた、とゆーか、
なんかそんな感じで、よかった。
スキーターをルー・アンが呼びとめて話をするところがすごく好きだ。
立場の違いってゆーのはやっぱりあるにしても、
その人がいてくれることに感謝を感じられる、どんな社会であっても、
優しい気持ちが通じあうことはあるんだ、と思わせてくれる。
エイビリーンが、メイ・モブリーに対したように。
あなたは優しい子、あなたは賢い子、あなたは大切な子。
ああ、そうやって言われて育てられることの幸せを。
彼女が与えられたものはきっと消えない。
消えないで欲しいと思う。
エリザベスは変わらないのだろう、メイ・モブリーはこれからも傷つけられるだろう。でも一番奥の心はきっとエイビリーンが育てたものが守ってくれる、そう思う。
これほどまでの差別というものがまかりとおっていた時代、社会を
直接は知らないし、完全に理解することもできない。
でも、きっとどちらの立場にもなりうるのだ。
簡単に。
だけど、ヒリーのように他人を傷つける権利を自分は持っている、
自分だけが正しいと声高に叫ぶことだけはしたくない。
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映画はまだ見ていない。
だからこその、ドキドキする展開がたまらなく楽しかった。
映画のキャストを若干だけど知っていたので、もちろん頭の中では彼女たちが登場して。
サブタイトルは、ヘルプ達とスキーターだけではなく、ヘルプとその雇い主やベィビーちゃん、スキーターとその母親、そしてもちろんヘルプ同士の「心のつながり」がしっかりと描かれていた。
特にスキーターと母親の関係は、なんだか身につまされる事ばかりww
★が5つではない理由としては、やはり翻訳モノ(外国の小説)の難点かな、事前にあの時代の公民権運動や黒人差別に関してある程度の知識が必要だという部分。まったくの無知だとすんなり物語に入っていくことが出来ないところ。
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苦手な海外小説を克服。文章は少し未熟ながら、黒人を尊ぶことは周りから蔑まれた目でみられることが当たり前の時代のアメリカにおいて、その事実をありのまま本として出版することは命がけのことであろう。その危険を顧みず奴隷制度に異議を唱えたスキーターとエイビーリーンヘルプたちの勇気にとても感動した。
アメリカらしいジョークも新鮮だった。
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下巻も一気に読んでしまいました。
下巻の方がより筆がのっている感じがします。
スキーターはヒリーに喧嘩を売っておきながら、ヒリーが冷たい目で自分を見たり、村八分にすることを悲しみます。
心の中で、それは十分予想できることだろうとつっこみながら、そこが人間らしいと言えば人間らしいです。
ミス・シーリアとミニーのやり取りはこの物語にスパイスを添えてくれます。個人的には、ジョニーが何故ヒリーではなく、シーリアを結婚相手として選んだかをもっと書き込んでくれたら、より深みが出たのではないかと思いました。
シーリアは今風に言うと、いわゆる“天然”ですが、きっとヒリーより容貌が美しかっただけではなく、ヒリーにはない何かを持っていたであろうから。
エイビリーンとメイ・モブリーのエピソードは好きです。
幼いながらも、大人以上に智恵のあるメイ・モブリー。
自分の子どもには、きっとエイビリーンのように言い聞かせたいと思いました。
もともと映画が良さそうだったので興味を持った小説でしたが、当たりでした。
映画もいつか観てみようと思います。
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エイビリーンが愛情かけて育てる、幼いながらも賢くかわいいメイ・モブリー。彼女の物語も読んでみたいような気がします。
それにしても、人種差別やDV、不器用な恋愛や親子関係などの問題の中で、スキーターとエイビリーン達による1冊の本によってそれぞれの人生が変わり、成長していくのを見るのはわくわくしました。ミニーとシーリアの章は、二人に相手を思いやる気持ちが芽生えてくる様子が微笑ましくてとても好きです。
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世界一の先進国アメリカでついこの間といってもよいぐらいの時代に人種差別が堂々と行われていたんだ。
しかも日本に憲法を与えた後で。
人間の業の深さが切なくなる。
しかも女社会なので、白人の気持ちも黒人の気持ちもよくわかっちゃうんだよね。
「白人のレディの方が男たちよりひどい」というような描写があったけれどなるほど。
映画版SATC2を見たときに、日本人はあまりベビーシッターを雇わないからあまりピンとこなかったけれど、アメリカはベビーシッターが当たり前なんだという納得がやっといった。
母に原作本を読んでいると言ったら「原書で?」と言われて悔しかったので原書でも読んでみたい。訳者のせいか原文のせいか文や語句に違和感がのこる。