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著者初の3編から成る中編集。
収録されている【オノコロ島ラプソディ】と【高原のフーダニット】の2編はどちらも地方が舞台で美しく旅情を誘われます。
【オノコロ島ラプソディ】「仕事したくない病」に罹ったアリスが
旅行中の火村に便乗して気分転換に淡路島へ。
のんびり療養中に事件に巻き込まれ忙しそうな火村と、行き詰った仕事の気晴らしにぶらぶらしている暢気なアリスとの対比がおもしろいです。
暇つぶしを兼ねた嫌がらせに火村に3回に分けて留守番電話に吹き込んだり、堅物の野上の冗談に固まるアリスが笑えます。
そして事件の真相にも笑いました。
すごくばかばかしい!火村が「バカげた悪ふざけだぜ」と言っている通りです。
このトリックの「理由」は脱力しました。
動機と廃品回収の孤独はとてもおもしろいです。
舞台の淡路島の描写がとても素敵で旅行したくなります。
【夢十夜】夏目漱石の「夢十夜」に倣った火村シリーズバージョンの夢十夜。
ノンシリーズの短編集などで有栖川さんの奇妙な味の話は見かけますが、まさか火村シリーズで読むことになるとは思わなかったです。
本格ミステリの他2編との間に挟まれた突然の異色作なので戸惑いましたが、おもしろい企画だと思います。
シリーズのレギュラーキャラクターが全員登場。
これは火村シリーズを読んでいる人でないと面白くないかもしれません。
【高原のフーダニット】タイトルの通り高原が舞台で爽やかです。おまけに「風谷人」と書いて「フーダニット」と読むミステリマニアが経営する喫茶店があり、双子まで登場するのだから楽しい。
殺人を告白し、自首する、という覚悟の電話を受けた火村ですが、その本人が何者かに殺害されるという導入がおもしろい。
自首の覚悟の電話を受けながら何も出来なかった、という歯痒さを抱く火村が犯人に対して取った行動が意外です。
事件が複雑になってきたな、と思っていた所に突然の行動だったので驚きました。
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ヒムアリシリーズ中編集。
バカミス風、幻想風、本格の3編。
うん、やっぱ火村先生大好きですが、やっぱ本格がいいです。
でも、バカミス風も真面目に始まって、トリックがバカミスってのがなんか面白かったw
幻想風は、漱石の「夢十夜」をモチーフにしてます。
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僕にとって有栖川有栖は、本格ミステリとは何かの答えのようなもの。でも今作はちょいと雰囲気が違いました。
中編3作収録。1作目はミステリのとあるトリックを斜めから見たかのような展開にニヤリとさせられました。2作目はミステリ版夢十夜。ノンシリーズ物で奇妙な味わいのものを書かれていますが、それを作家アリスシリーズでやるとは。奇妙な中にも作者のミステリへの思いも、シリーズに対する思いも込められているように見えて面白いです。3作目はフーダニット、つまり犯人探しもの。大きなトリックが仕掛けられている訳でなく、ひとつひとつの事象から犯人を導き出す。その過程が美しいんですね。また名探偵とはどういう存在なのか? これもミステリの要のひとつなんでしょうね。
ミステリの面白さの色々な面を見せられました。
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火村・アリスシリーズの最新刊。3編の物語を収録。
オノコロ島ラプソディまで読破。
[2012年3月19日購入]
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初の中編集とのことですけれど、謎解きを軸に話を進めなければならないのがミステリーなのですから、やっぱり長ければ長いほど火村の魅力に寄り道できますし次は長編をお願いしたいところです。
夢十夜は、不条理と論理とが矛盾なく共生していて鮮やかであると同時に、アリスの火村を喪失してしまうことへの恐怖を孕んでいるようで切なくて、よかった。
火村シリーズ20周年おめでとうございます。おめでたい。
ある意味同い年か、火村。
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タイトルにWHODUNITがついてる…だと…(゜゜)これは釣られるしかあるまい!
というわけで、大好きな作家アリスシリーズ新刊ですよ~(^^)わーい
今回は国名シリーズや最近続いた長編ものとはちょっと毛色の違う火村&アリスが楽しめます(^^)
論理的に考えればこれ以外あり得ないだろう!と読者の鼻先をピシャリとするような火村の推理が小気味良い本シリーズですが、今回はちょっと小休止?なのかな?大人しめな印象です。
二篇目の夢十夜は、シリーズを通して読んでるファンならより楽しめる作品(^^)
いつも以上にお茶目なアリスと、奇天烈な状況下でもしっかり探偵しちゃってる火村先生の掛け合いが堪りません(笑)。犯人アリスやSPアリス、犯人に追い詰められる火村先生や「皆を集めてさてと言い」ができない火村先生という、本編ではまず見れない二人が盛り沢山~(笑)
他二篇に関しては「それを謎の主軸にしちゃいますか⁈」「犯人に目星を付ける論理展開がちょっと物足りないな…」と少しく不満は残ります。従来の有栖川作品のファンなら尚更ではないでしょうか。
でも、表題作の根底に流れる世界観は、やっぱり「本格推理小説」なんですよね。痺れるような推理披露やトリックの肝は不発なのに、しっかり本格なのです。
あと、毎回思いますが、有栖川作品は後書きまでしっかり読み込んでこそ、作品全体を真の意味で楽しめた気持ちになれますね。あまり作家本人の解説は好んで読まない質なのですが、有栖川作品は例外です。
読者が読後に感じるだろう気持ちを、作者が淡々と語っちゃうのはどうなのよと思いそうなところを、全く嫌味なく卑屈さもなくストンと胸に落ちてくる様に、今回も有栖川先生のお人柄を偲ぶのでありました~(^^)
◉オノコロ島ラプソディ…淡路島で発生した殺人事件に偶然巻き込まれた火村を追って参戦したアリス。直ぐに見つかった最重要容疑者には、しかし元刑事の証言という立派なアリバイがあった。「決して嘘を吐いていない証言者」の謎。
◉ミステリ夢十夜…夏目漱石の夢十夜のオマージュ作品。作家アリスシリーズのキャスト総動員の十編。
◉高原のフーダニット…「弟を殺した」ーー火村にかかってきた一本の電話。近い内に必ず自首すると告げた男は、翌日遺体となって発見された。双子の兄弟の死体は、高原外部の人間が入ってこれない場所にあり、容疑者は数名にまで絞り込まれたが…。
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著者初の中編集とのこと。(そうだっけ?!って感じですが…)
火村先生シリーズで、3編収録されています。
「オノコロ島ラプソディ」
は淡路島が舞台のお話。容疑者は主に二人。
どちらもアリバイが一応あるものの崩せそうで崩せず…。
トリックは…正直……「うーん…まぁこれもありか?」
って感じでした。トリックのネタとしては短編集の雰囲気だったけれど
中編の分、長く有栖の暗中模索ぶりなども楽しめます(笑)
「ミステリ夢十夜」
こんな夢を見た…で始まる短編集10篇からなる中編。
ブラックなものもあり、くだらないものもあり、
いつもと雰囲気の違う話がたくさん読めたので面白かった。
「高原のフーダニット」
とある事件で関わった双子の男から、兄(弟だったかな?)を殺してしまったと連絡を受けた火村。しかし、自首すると言っていたその男も遺体で発見される。
その高原に住む誰が犯人か…?!
こちらの方も犯人につながる推理が私にはイマイチでした…。色々迷推理中の有栖と同じく、犯人の推察が全く出来ていないところにいきなり火村先生が解答をポーンと出してしまうので付いていけなかったのかも?!
でも久しぶりの火村アリスは面白かったです。
有栖川有栖の文体が好きなんだろうなぁ。ミステリなのにほんわか。
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なんだろう。ふつう。
シリーズファンならともかく、初見でこれだとキャラの魅力も伝わらない気が。
トリックも無理矢理な感じだし。
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『オノコロ島ラプソディ』
火村英生シリーズ
殺害された廃品回収業者・蛭川。容疑者となったのは彼に1200万の借金をしていた長益。彼のアリバイは元刑事・打保とオコノロ庵にいたというもの。絶対に嘘は言わない打保の隠された秘密。
『ミステリ夢十夜』
『高原のフーダニット』
火村英生シリーズ
かつて火村にかかっていた容疑を晴らしてもらった大朔栄輔。有栖にかかってきた栄輔からの電話。彼の双子の兄弟・光輔を殺害し自首しようと考えているという。しかし、撲殺された栄輔。刺殺された光輔の遺体を発見。
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「ミステリ夢十夜」で星四つ評価。この人の、こういうちょいとしたひねりとクスリと笑えるオチの効いたお話が好きだ。非ミステリもっと書いて欲しいわ-。
「オノコロ島~」と「高原の~」はいつもの火村さんでしたね。
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ヒムラー的には待ってましたの作家アリスシリーズ最新刊。
中編3本収録。
真ん中のはちょっと変わった趣向で夢十夜知らなかった私は最初???でしたが楽しめました。
いろいろ意味深な気が・・・してとても興味深かい。
「ラプソディ」では火村先生の身体が心配になりました(笑)
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作家有栖シリーズ新作は中編集。
しかも表題作以外は変わりダネ。
『オノコロ島ラプソディ』は淡路島を舞台にしたアリバイ崩し系。
いや~これはひどい。
ひどいトリックだ。
序盤に叙述トリックの話があったからそれ系なんだろうと思ったけど、本を床に叩きつけたくなるようなオチ。
最初のネタからは綺麗につなげたけどさ。
もはやギャグ。
まあ、あまりにあまりなトリックだし、あとがきからもトンデモ作品書いちゃったの的空気が漂ってたからいいけどさ。
ひどい~。
『ミステリ夢十夜』はこれまでなかったタイプ、夢物語。
タイトル通り有栖の見た夢十連発。
不可思議な話ばかりだけど、これはどれもかなりうまくて面白かった。
どこか見たことのあるような風景が下敷きになっていたりしてにやり。
第一話の苛立ちはだいぶ薄まった。
表題作の『高原のフーダニット』はスタンダードなミステリ。
双子の弟を殺したと火村先生に電話してきた男が何者かに殺害された事件を追う。
トリックも展開もまあまあ。
小粒だけど、久しぶりに火村先生の人間らしい部分が見えたのはよかった。
1、2話が有栖メインだったので火村先生の影が薄かった。
コマチさんがちらっと登場。火村先生とのロマンスを疑ったが気配なし。うーむ。
最近長編も出てないので、今後に期待。
あとがきでも書かれている通り、今回の装丁私も好き。
翻訳ものっぽくてオサレ。
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ホント、王道のミステリー小説だった。今までは叙述トリックなどの若干トリッキーなミステリを読んでいたので、新鮮で味があって面白かった半面ちょっと物足りないってのも正直な気持ち。(もっと早く有栖川さんを読んでいればよかった。)
しかし、推理小説に出てくる探偵ってのはカッコイイねぇ
クセがあってねぇ~
ちなみに2編目の「ミステリ夢十夜」はちょっと変わり種
全3編で2編目にこれを持ってくるのは正解だと思う。
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火村シリーズで初の中編集
3つのお話が入っています
いつも通り綺麗でそこそこ面白い上品な味付けです
最後の「高原のフーダニット」は火村ってそういう人だよなと
思い直させてもらえる感じで結構良かったと思いますが
このままこういう作品を積み重ねられても
読者としては飽きてくるかなと思ったり。。。。
焼き付くような長編を是非また作って欲しいなと
火村シリーズは様々な土地に行くのでその土地に行きたいなと
思う事も多いのですが最近はさっぱり普通すぎて。。。。。
そういう気持ちを起こさせる作品をまた書いて欲しい!とファンとして熱望します
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+++
「オノコロ島ラプソディ」容疑者には鉄壁のアリバイ。国産み神話の淡路島で、火村を待ち受ける奇天烈な事件。「ミステリ夢十夜」有栖川有栖は近ごろ怪夢を見る。火村と彼を次々と不可思議が襲う夢だ。今夜もきっと…。「高原のフーダニット」弟を手にかけました…美しい高原を朱に染めた双子殺人事件は、一本の電話から始まった。透徹したロジックで犯人に迫る、これぞ本格=フーダニットの陶酔。ミステリ界の名手、初の中編集。
+++
火村英生&アリスシリーズ。
間に挟まっている「夢十夜」が十の掌編のようで、ちょっとおもしろい構成の一冊である。アリスが見る夢が、火村に対する深層心理が表れているようで興味深い。そして、ほかの二作では、いつもアリスがいい加減に思いつきを口にしているように見えていたことが、実は火村の推理に役立っていたことも判って、勝手に胸をなでおろしたのであった。アリス本人に自覚がないところがまたいい。火村先生、もっともっと引っ張り出して欲しいと思わせられる一冊である。